ファストリ、国内人件費15%増へ 年収最大4割上げ
「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは3月から国内従業員の年収を最大4割引き上げる。パートやアルバイトの時給の引き上げも既に実施しており、国内の人件費は約15%増える見込み。ファストリは現在、欧米を中心に海外従業員のほうが...
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(更新)- 田中道昭立教大学ビジネススクール 教授ひとこと解説
足元の物価・都区部は4%上昇、実質賃金は8ヶ月連続減。ここで物価上昇を上回る賃上げが実行されないとマクロでは消費が低迷し、景気悪化に陥るリスクが高まっています。そんな中でのファストリの国内人件費15%増、年収最大4割上げのニュース。国際人材獲得も狙った攻めの人材戦略であり、日本のリーダー的企業としてこのタイミングで優れた指針を示したものであると高く評価されます。各業界のリーダー的企業が率先して大胆なビジョンと賃上げを含む人事戦略を示すこと、社員はそれを意気に感じて生産性向上に貢献すること、政府にはそれらへの支援が求められています。重要なのは大胆なビジョンや戦略から人事を考えることだと思います。
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(更新) - 風早隆弘クレディ・スイス証券 株式調査部 株式調査統括部長ひとこと解説
柳井正会長は、ファーストリテイリングは 小売業であり、サービス産業であり、情報産業であり、システム産業であり、またイノベーションカンパニーでもあるとした上で、目標は大きなアパレル企業になることではないと明言しています。人材は、企業の成長の要といわれます。人材の争奪戦が激しくなる中で、小売業界での背競べを超えた人事制度のアップデートは、ファーストリテイリングが掲げるビジョンとも整合性が取れたものともみてとれそうです。なお、記事にあるファーストリテイリングの国内で働く従業員の平均給与959万円は、単体の従業員の22年8月末時点での実績で、 国内ユニクロの平均給与を指しているものではありません。
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(更新) - 柳良平早稲田大学大学院会計研究科 客員教授別の視点
賃上げは一律●%といった要請より、こうした個別企業ごとの独自で前向きな取り組みを評価したい。”柳モデル”の回帰分析でも、エーザイでは10%の人財投資増が5年後のPBRの14%近い上昇、TOPIX100でも人件費一割増が7年後のPBRが3%近い改善になるという正の相関が示唆された。人件費は会計上は費用として利益にマイナスだが、将来企業価値を高める非財務資本への投資と考える。そして記事の事例が相関から因果を証明するベストプラクティスになることに期待したい。ESGと企業価値の定量化やインパクト会計の開示なども重要だ。ただし、長期の時間軸が要諦であり、市場の短期志向を克服しなければならない。
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(更新) - 為末大元陸上選手/Deportare Partners代表別の視点
「お客様に価値を提供し、社員に給与を払う」ということが、企業にできる社会貢献の一番根幹の部分なんだと再認識させられました。
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(更新) - 菅野幹雄日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員ひとこと解説
一律の賃上げでなく「数%から最大40%近く」というところが興味深いです。人材獲得、国際競争、社員の士気向上といった狙いを満たすため、十分な底上げとともに能力や意欲を一段と反映した賃金の仕組みを作る。このような例がどんどん増えてほしいです。 賃上げが今年のキーワードですが、春闘という機会に向けて、多くの企業経営者は依然として「他社はどうする」という横並びの発想から抜け出せていないのではないでしょうか。賃上げのスタイルがどんどん多様となり、またそれが企業の将来性や魅力を左右するようになれば、賃上げと経済成長の好循環も生まれやすくなると思います。
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(更新) - 坂田亮太郎日経BP 「日経バイオテク」編集長別の視点
誰もが知る有名企業のド派手な賃上げニュースに驚きます。注目すべきは、欧米を中心とする海外従業員の方が母国の本社従業員より年収水準が高かったということ。考えてみれば当然で、グローバルに事業を展開するファーストリテイリングは、現地の賃金水準以上のフィーを提示しなければ優秀な人材を確保できなかったからでしょう。20年近く続いたデフレの影響で、日本の賃金水準は、欧米はともかく中国などよりも劣後していたという事実が、このニュースで日本の産業界に広く知られるきっかけになればと思います。『現実を視よ』という柳井正さんの声が聞こえてきそうです。
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