ドイツ、緑の党が支持率首位 二大政党の退潮止まらず
【ベルリン=石川潤】欧州議会選挙で躍進したドイツの環境政党「緑の党」が1日公表の世論調査で初めて支持率トップになった。メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、国政第2党のドイツ社会民主党(SPD)は支持率を落とし、退潮に歯止めがかからなくなっている。二大政党を与党とするメルケル政権の先行き不透明感もにわかに強まってきた。
調査機関のフォルザが実施した世論調査では、緑の党の支持率が前の週に比べて9ポイント高い27%となり、2ポイント落としたCDU・CSUの26%をわずかに上回った。SPDは5ポイント低下の12%にとどまった。極右、ドイツのための選択肢(AfD)が2ポイント低下の11%ですぐ後ろに迫っている。
緑の党は5月26日投開票の欧州議会選挙で、20.5%の票を集めて第2党に躍り出たばかりだ。温暖化ガスの排出抑制などへの関心が高まるなか、若者を中心に幅広い支持を集めている。
緑の党は二大政党に失望した有権者の受け皿にもなっている。欧州議会選では、大連立政権に参加して大胆な政策を打ち出しにくくなった中道左派、SPDの支持層から大量の票が流れ込んだ。
さらに、中道右派のCDUは2018年12月にメルケル首相からクランプカレンバウアー氏に党首を交代した。新党首は保守派の支持をつなぎ止めるために移民政策などで右寄りの姿勢を強めており、メルケル首相の中道路線を支持していた有権者の一部が緑の党に流れている。
欧州議会選挙での大敗をきっかけに、SPDではナーレス党首の責任論が浮上し、CDU・CSUでもクランプカレンバウアー氏の将来の首相としての資質を疑う声が強まっている。二大政党の退潮が止まらなければ、両党で大連立の維持に懐疑的な声が高まり、メルケル政権の基盤を揺さぶりかねない。