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齋藤法務大臣年頭所感

 令和5年1月6日(金)、齋藤健法務大臣が法務省において法務省職員に対し、年頭所感を述べました。
 
 

年頭所感を述べる齋藤法務大臣

年頭所感

 新年、明けましておめでとうございます。
 こうして皆様とともに新しい年を迎えることができて、大変うれしく思います。
 令和5年の新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、法務大臣としての所感の一端を申し述べたいと思います。
 これまで私は、希望の仕事を聞かれますと、必ず「困難な仕事」と答えてきました。
 そのためか、これまで様々な困難な仕事をいただいてまいりましたが、昨年の臨時国会の審議途中における法務大臣就任は、その中でも一番の驚きでした。
 そして、法務大臣就任直後から挑戦の日々が続きましたが、皆様のおかげをもちまして、民法など国民にとって重要な法案が成立するに至るなど、法務行政は着実に前に進んでいると思います。
 まずは、昨年中、支えてくださった皆様に心から感謝申し上げたいと思います。
 そのような法務大臣就任から、もうすぐ2か月を迎えますが、その中で感じるのは、やはり、法務行政の重要性です。
 法務行政は、法秩序の維持と人権の尊重といった極めて重要な任務を帯び、国民生活の基盤を支えています。
 まさに、我が国を我が国たらしめているのは法務行政ではないかと思います。
 そのような法務行政を第一線で支えているのが、法務局、検察庁、矯正官署、更生保護官署、出入国在留管理局、公安調査局などの現場で職務に当たる皆様です。
 私は、様々な報告や視察に際し、皆様が、日々、極めて高い緊張感の中で職務と向き合っていると感じ、その実直な姿に感銘を受けています。
 皆様には、そのような高い緊張感の中にあるからこそ、ぜひとも、自らの職務は極めて重要な任務であるという誇りと強い使命感を常に胸に抱いて職務に当たっていただきたいと考えています。
 他方で、この間、法務行政における課題も感じているところです。
 そのような課題については、今後、皆様としっかりと議論してまいりたいと思いますが、ここでは、その議論の土台、出発点として、一つだけお伝えしておきたいと思います。
 それは、経営学者で一橋大学名誉教授、カリフォルニア大学バークレー校特別名誉教授でもある、野中郁次郎先生の教えです。
 私が現在の経済産業省に勤務していた当時ですから、かなり以前のことになりますが、野中先生をお招きして、お話を伺う機会を得たことがありました。
 これは、優秀な人材が旧帝国陸海軍に集まっていながら、なぜあのような戦いをしてしまったのかについて、現在の若手官僚に教訓として伝えるべきことを話してほしいということで私が企画したものでした。
 そのときの野中先生の伝えるべき教訓というのは、たった一言でした。
 「何が物事の本質か」
 日本人が寄り集まる組織は、できた当初は若手の抜てきも行われますし、様々なチャレンジも行われる。ですが、30年も経つと、誰々が言っていたからとか、前例がこうだからということで、重要な決定が行われてしまう。そのようなときに、それはおかしいのではないかと水を差す人間を大切にし、それを許容する組織風土を守り続けること、それに尽きる。
 これが、野中先生の教えでした。
 野中先生のこの教えは、時代が流れ、社会がますます複雑化している現在におきましても、なお通用すると考えています。
 皆様には、何が本当に大切なのか、その「本質」を見極め、それを追求する姿勢で、物事に取り組んでいただきたいと思います。
 そして、私自身も、国家的見地に立って、法務行政はどうあるべきか、本質を見据えた議論を重ね、課題の解決に当たってまいりたいと思います。
 今年も、たくさんの「困難な仕事」が待っていると思います。
 外国人との共生社会を実現するための方策や、再犯防止に向けた取組、様々な人権問題等への対応、児童虐待防止対策、犯罪被害者等の方々への支援、総合法律支援の充実・強化、デジタル化・IT化の推進、経済安全保障の確保、司法外交の展開など、法務行政において取り組むべき課題はたくさんあります。
 また、次の通常国会においても、重要な法案が多数控えています。
 大きな曲がり角を迎えている我が国の将来を見据え、共に全力を尽くしてまいりましょう。
 最後となりましたが、本年が皆様一人ひとりにとって、実り多きすばらしい一年となりますよう、心よりお祈りします。
 今年も一年どうぞよろしくお願いいたします。
(以上)