「介護保険との統合」話題に出る
-第7回地域生活支援検討会行われる-
この8月末、厚生労働省の人事が大きく変わった。社会・援護局長に小島比登志さん、障害保健福祉部長に塩田幸雄さん、そして、同部の企画課長に村木厚子さんが新任した。
9月8日の第7回障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会は、厚労省の新体制になってはじめての会議となった。
小島社会・援護局長は冒頭挨拶し、「これから障害者の地域生活支援のシステムの在り方や、各検討事項について議論してもらいたい」と述べた。
この日は、「地域生活を支えるサービス体系の在り方について」をテーマに、3名の事業者委員から、支援費制度移行後の実績等についての報告があった。
中西委員は、今年の5月に東京と大阪の自立生活センター利用者約700名を対象にアンケート調査したものを報告した。その中で「平均利用時間の8割を自立生活センターでサービスを提供していることが明らかになっている」と語った。「移動介助においては自立生活センター提供が9割を超えている」とのことであった。さらに、「利用者の多くは時間延長等対応が柔軟など、おおかた自立生活センターのサービスに満足している」などと付け加えた。
続く早崎委員は、大垣市社会福祉協議会におけるサービス利用状況を報告した。「5月から6月にかけて一部の全身性障害者が抜けたため、少し減少したが、7月に入りまた支給量が増えてきた」とし、「サービスを提供する中で、どういうサービスをその人に提供すればよいのかわかってきた。アセスメントやケアマネージメントが今後重要となる」と述べた。
最後の室崎委員は島根県の西部にある自身の法人の事例を紹介した。サービスの組み合わせによって、障害者の生活が良い方向へと変化していっている状況が報告された。また「市町村によって支給量の違いが出ていること」を指摘し、ケアマネージャーを配置していくことの必要性を強調した。
これらの報告に対し、谷口委員は「今後の議論として、ADLに基づいた支給量のあり方と、社会参加などその人のニーズに基づいた支給量のあり方とは同じでないはずなので、その辺の検討をしていく必要がある」と感想を述べた。
支給量の決定のあり方について中西委員は質問に答える形で「社会参加部分を十分に考慮していかなければならない」とも発言した。
ケアマネージメントの必要性について太田は発言し、「多くの障害者は受身的な生活を強いられている。ケアマネージャーのような存在がいると、余計に受身的になってしまいやすく、慎重な議論が必要である」とした。
高橋委員からは「高齢者介護研究会報告書」について説明が行われた。6月にこの報告書がまとめられたが、内容は「障害者介護のあり方に近づきつつあり、『要求する高齢者』という像を前提で政策化していくべきであるという立場に立っている。在宅か施設かという二者択一ではなく、グループホームというような中間的な居住形態や、施設機能のユニット化、地域展開も必要となる。介護保険の利点は赤字を出しても良いということ、つまりあとで被保険者などが穴埋めをしていけば良いということである。2015年を目標に新しい高齢者介護システムの構築を提起している」とのことである。
関連して京極委員が発言し、「この研究会を注目していた。障害者の地域生活支援にも示唆を与える内容となっている。支援費の検討の際、審議会で基本的な介護については今の介護保険的なもの、社会参加部分については障害者施策という考えで検討した経緯もある。いずれの日にか障害者団体や国民の合意を得、支援費も介護保険の中に組み込んでいく必要があると考えている」とした。
最後に高原障害福祉課長より来年度予算の概算要求について説明がなされた。「基本方針は義務的経費(年金・医療を除く)の増加を認めない。裁量的経費の総額を2%減(科学技術振興費を除く)」とする。ただし、裁量的経費の要望額については、2%減の額の2割増まで認める、という厳しいものとなっている。支援費の居宅介護については12ヶ月分17.6%増を要求し、支援費全体では16.7%増を要求している」などの説明があった。
次回の検討委員会は9月30日(火)10時から12時、厚労省17階専用第18会議室で開催される。
お知らせ
9月13日(土)シンポジウム「脳性マヒをはじめとする全身性障害者の社会的自立に向けて」午後1時、総評会館501会議室で行います。
皆様のご出席をお待ちしております。
◆訂正と補足(介護保障協議会HP編集担当より)
FAXレターに一部間違いがありました。
中西委員のアンケートの発表は正しくは以下のとおり全国の調査でした。
正確にいうと、 東京・大阪の障害者 250名 、東京・大阪以外の障害者 250名 のデータをとるために 747名の障害者に対してアンケート調査を行い、
464名のアンケートが回収できた(回収率62.1%)。
そのうち、232名が東京・大阪、220名が東京・大阪以外 12名が不明であった。
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