気付かぬうちにプライバシーが丸裸にされる卑劣な犯罪「盗聴」。その被害が今、相次いでいる。
受信機から謎の“カチカチ音” 古い電源タップどこから?
盗聴器の調査を20年以上行ってきた盗聴調査会社、ティー・アール・エスの酒井賢一代表。
この記事の画像(41枚)午後3時頃、都内で車を走らせていると、盗聴器の電波をキャッチした。
酒井賢一さん:
ん?盗聴器ですね。カチャッ、カチャッ、カチャッ…何の音だろうこれ?
盗聴器はどこにあるのか。手持ちのアンテナで発信源を探っていく。
反応があったのは住宅街。探すこと約7分。
酒井賢一さん:
このお店の2階ですかね。
2階建ての店に辿りついた。留守だったため、店の裏側にある住宅を訪ねてみると…。
住人:
はい?
取材スタッフ:
突然、すみません。
出てきたのはこの店を切り盛りする家族の娘。盗聴器の音を聞いてもらう。
娘:
カチカチ聞こえますね。
女性は、そのまま店の裏側から反応があった2階へ。部屋の中を整理しているその時…。
酒井賢一さん:
あ、切れた。
ガサガサという音がしたあと突然、電波が途絶えた。玄関へ入り、女性に声をかける。
酒井賢一さん:
今、何か触りました?
娘:
今、これ触りました。
酒井賢一さん:
それちょっと、さしてもらってもいいですか?
娘:
音止まりました?
酒井賢一さん:
それ!
女性が触った物が、まさか盗聴器なのか?どんな物なのか確認する。
酒井賢一さん:
これだ!
そこにあったのは、古い電源タップ。近くには置き時計が2つ。「カチカチ」と聞こえていた音の正体は、この時計だった。
女性と母親立会いのもと、電源タップを調べる。
酒井賢一さん:
これ相当古いですね。この盗聴器が、恐らく20年くらい前のものです。
分解すると、中には盗聴器の基板があった。この部屋は、父親が仕事で使っているという。
帰宅した父親に話を聞くと…。
母親:
(電源タップを)さしたのはいつ?
父親:
まだ最近。半年くらいだ。
いったい、どこで手に入れたのか。
父親:
ガラクタもらってきたじゃんか。
母親:
知らないよ、そんなの。
父親:
そのあれみたい。元電気屋さん。
酒井賢一さん:
じゃあ、電気屋さんがどこからか回収してきたやつをわからないで…。この家が狙われたんじゃないというのは、よかったと思います。
この現実に家族は。
父親:
怖いね。
母親:
人ごとみたいなのがね、びっくりだよね。
娘:
怖かったですね。
母親:
全然わからないよね。調べてもらわなかったら、ずっと付けてたんじゃない。
他人からもらった電源タップは、盗聴器の可能性もあるので注意が必要だ。
アパートの壁に埋まっていた、小さな黒いケース
午後6時頃、千葉県内を走っていると、またしても盗聴器の電波をキャッチした。
この盗聴器には、通常の物にはない特徴があるという。
酒井賢一さん:
ああ、これVOX(ボックス)ですね。人の声に反応して電波を発信するんです。声自体が止まってしまうと、電波も途切れてしまう。やっかいな盗聴器です。
近くで音がしたときだけ、電波を発する仕組みの「VOX型盗聴器」。そのため…。
酒井賢一さん:
切れちゃったなぁ…。
それでも、断続的に出ている電波を頼りに探り続ける。約10分後。
酒井賢一さん:
この家ですね。
辿り着いたのは2階建てのアパート。住人に盗聴器のことを伝える。出てきたのは、幼い子どもを抱えた20代の母親。
酒井賢一さん:
インターホン鳴らしてもいいですか?聞こえます?
母親:
ああ…。
家では夫と3人で生活しているという。盗聴器はどこに仕掛けられているのか?
酒井賢一さん:
こっちか!
寝室から強い反応が。そこにあったのはコンセント。電源タップはささっていない。
しかし、指で触ると…。
母親:
ああ~…。
受信機から音が聞こえてくる。まず、カバーを外してネジをゆるめる。
コンセントの本体を取り出すと、配線に黒いテープで何かが巻き付けられている。
テープをはがしてみると、小さな黒いケースのような物が出てきた。
酒井賢一さん:
これが盗聴器。
突然の出来事に言葉を失う母親。
酒井賢一さん:
この丸いの見えます?これマイクです。なので、この部屋はもちろんなんですけど、隣の声も全部聞こえます。
母親:
えー…そうなんですね…。
これは、クリップをコンセントに取り付けて、直接電源をとるタイプの「クリップ型盗聴器」。
酒井賢一さん:
ここから電源を取っているので、さしたら半永久的にずっと電波が出っぱなし。
いつから仕掛けられていたのか?
酒井賢一さん:
越してきてどれくらいですか?
母親:
2年ちょっとくらいですかね。
酒井賢一さん:
恐らく、越してくる前から付いてます。
母親:
えーそんな、えー…。
電波の飛び具合から、盗聴器が仕掛けられたのは約4年前。この家族を狙った物ではないという。では、なぜここに?
酒井賢一さん:
理由としては2つ考えられます。1つは前の住人が住んでいて、前の住人の人が狙われたケース。または、ここに住んでいた人が遊び目的で仕掛けて出て行っちゃう。
盗聴器が仕掛けられていたことに母親は。
母親:
そんなに頻繁にあるんですか、盗聴器って。テレビで見たことあるんですけど、まさか自分の家にあるなんて全く想像していなくて…。
酒井賢一さん:
そうですよね。自分の家に盗聴器があると思って、暮らしてはいないと思います。ただこれぐらい本当に今、頻繁に盗聴器はあります。
盗聴器はいろいろな形で仕掛けられている。もしかしたら、あなたも知らない間に被害に遭っているかもしれない。
(「イット!」12月7日放送)