気付かぬうちにプライバシーが丸裸にされる卑劣な犯罪「盗聴」。その被害が今、相次いでいる。

受信機から謎の“カチカチ音” 古い電源タップどこから?

盗聴器の調査を20年以上行ってきた盗聴調査会社、ティー・アール・エスの酒井賢一代表。

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午後3時頃、都内で車を走らせていると、盗聴器の電波をキャッチした。

都内で車を走らせていると…
都内で車を走らせていると…

酒井賢一さん:
ん?盗聴器ですね。カチャッ、カチャッ、カチャッ…何の音だろうこれ?

「何の音だろう?」と酒井さん
「何の音だろう?」と酒井さん

盗聴器はどこにあるのか。手持ちのアンテナで発信源を探っていく。

反応があったのは住宅街
反応があったのは住宅街

反応があったのは住宅街。探すこと約7分。

酒井賢一さん:
このお店の2階ですかね。

2階建ての店に辿りついた。留守だったため、店の裏側にある住宅を訪ねてみると…。

住人:
はい?

取材スタッフ:
突然、すみません。

出てきたのはこの店を切り盛りする家族の娘。盗聴器の音を聞いてもらう。

店を切り盛りする家族の娘に盗聴器の音を聞いてもらう
店を切り盛りする家族の娘に盗聴器の音を聞いてもらう

娘:
カチカチ聞こえますね。

女性は、そのまま店の裏側から反応があった2階へ。部屋の中を整理しているその時…。

酒井賢一さん:
あ、切れた。

ガサガサという音がしたあと突然、電波が途絶えた。玄関へ入り、女性に声をかける。

酒井賢一さん:
今、何か触りました?

娘:
今、これ触りました。

酒井賢一さん:
それちょっと、さしてもらってもいいですか?

娘:
音止まりました?

酒井賢一さん:
それ!

女性が触った物が、まさか盗聴器なのか?どんな物なのか確認する。

酒井賢一さん:
これだ!

そこにあったのは、古い電源タップ。近くには置き時計が2つ。「カチカチ」と聞こえていた音の正体は、この時計だった。

女性と母親立会いのもと、電源タップを調べる。

酒井賢一さん:
これ相当古いですね。この盗聴器が、恐らく20年くらい前のものです。

電源タップを分解すると、その中に…
電源タップを分解すると、その中に…

分解すると、中には盗聴器の基板があった。この部屋は、父親が仕事で使っているという。

帰宅した父親に話を聞くと…。

母親:
(電源タップを)さしたのはいつ?

父親:
まだ最近。半年くらいだ。

電源タップはいつから部屋に?
電源タップはいつから部屋に?

いったい、どこで手に入れたのか。

父親:
ガラクタもらってきたじゃんか。

母親:
知らないよ、そんなの。

父親:
そのあれみたい。元電気屋さん。

古い電源タップは、父親が元電気屋さんからもらった物だという
古い電源タップは、父親が元電気屋さんからもらった物だという

酒井賢一さん:
じゃあ、電気屋さんがどこからか回収してきたやつをわからないで…。この家が狙われたんじゃないというのは、よかったと思います。

この現実に家族は。

父親:
怖いね。

母親:
人ごとみたいなのがね、びっくりだよね。

母親「調べてもらわなかったら、ずっと付けてたかも」
母親「調べてもらわなかったら、ずっと付けてたかも」

娘:
怖かったですね。

母親:
全然わからないよね。調べてもらわなかったら、ずっと付けてたんじゃない。

他人からもらった電源タップは、盗聴器の可能性もあるので注意が必要だ。

アパートの壁に埋まっていた、小さな黒いケース

午後6時頃、千葉県内を走っていると、またしても盗聴器の電波をキャッチした。

この盗聴器には、通常の物にはない特徴があるという。

「やっかいな盗聴器です」と酒井さん
「やっかいな盗聴器です」と酒井さん

酒井賢一さん:
ああ、これVOX(ボックス)ですね。人の声に反応して電波を発信するんです。声自体が止まってしまうと、電波も途切れてしまう。やっかいな盗聴器です。

近くで音がしたときだけ、電波を発する仕組みの「VOX型盗聴器」。そのため…。

酒井賢一さん:
切れちゃったなぁ…。

それでも、断続的に出ている電波を頼りに探り続ける。約10分後。

断続的に出ている電波を頼りに探り続ける
断続的に出ている電波を頼りに探り続ける

酒井賢一さん:
この家ですね。

辿り着いたのは2階建てのアパート。住人に盗聴器のことを伝える。出てきたのは、幼い子どもを抱えた20代の母親。

辿り着いたのは2階建てのアパート 20代の母親に盗聴器のことを伝える
辿り着いたのは2階建てのアパート 20代の母親に盗聴器のことを伝える

酒井賢一さん:
インターホン鳴らしてもいいですか?聞こえます?

母親:
ああ…。

家では夫と3人で生活
家では夫と3人で生活

家では夫と3人で生活しているという。盗聴器はどこに仕掛けられているのか?

酒井賢一さん:
こっちか!

寝室から強い反応
寝室から強い反応

寝室から強い反応が。そこにあったのはコンセント。電源タップはささっていない。

しかし、指で触ると…。

母親:
ああ~…。

指で触ると、受信機から音が聞こえる
指で触ると、受信機から音が聞こえる

受信機から音が聞こえてくる。まず、カバーを外してネジをゆるめる。

カバーを外してネジをゆるめる
カバーを外してネジをゆるめる

コンセントの本体を取り出すと、配線に黒いテープで何かが巻き付けられている。

コンセントの本体を取り出すと、配線に黒いテープで何かが巻き付けられていた
コンセントの本体を取り出すと、配線に黒いテープで何かが巻き付けられていた

テープをはがしてみると、小さな黒いケースのような物が出てきた。

テープをはがして現れたケース 「これが盗聴器」と酒井さん
テープをはがして現れたケース 「これが盗聴器」と酒井さん

酒井賢一さん:
これが盗聴器。

突然の出来事に言葉を失う母親。

ドライバーをあてて示す丸い部分がマイクだという
ドライバーをあてて示す丸い部分がマイクだという

酒井賢一さん:
この丸いの見えます?これマイクです。なので、この部屋はもちろんなんですけど、隣の声も全部聞こえます。

盗聴器のあった寝室だけでなく、隣まで聞こえていると説明
盗聴器のあった寝室だけでなく、隣まで聞こえていると説明

母親:
えー…そうなんですね…。

これは、クリップをコンセントに取り付けて、直接電源をとるタイプの「クリップ型盗聴器」。

酒井賢一さん:
ここから電源を取っているので、さしたら半永久的にずっと電波が出っぱなし。

いつから仕掛けられていたのか?

酒井賢一さん:
越してきてどれくらいですか?

母親:
2年ちょっとくらいですかね。

酒井賢一さん:
恐らく、越してくる前から付いてます。

母親:
えーそんな、えー…。

この家族を狙った物ではないという
この家族を狙った物ではないという

電波の飛び具合から、盗聴器が仕掛けられたのは約4年前。この家族を狙った物ではないという。では、なぜここに?

「または、ここに住んでいた人が遊び目的で仕掛けて出て行っちゃう」
「または、ここに住んでいた人が遊び目的で仕掛けて出て行っちゃう」

酒井賢一さん:
理由としては2つ考えられます。1つは前の住人が住んでいて、前の住人の人が狙われたケース。または、ここに住んでいた人が遊び目的で仕掛けて出て行っちゃう。

盗聴器が仕掛けられていたことに母親は。

「まさか自分の家にあるなんて全く想像していなくて…」
「まさか自分の家にあるなんて全く想像していなくて…」

母親:
そんなに頻繁にあるんですか、盗聴器って。テレビで見たことあるんですけど、まさか自分の家にあるなんて全く想像していなくて…。

酒井賢一さん:
そうですよね。自分の家に盗聴器があると思って、暮らしてはいないと思います。ただこれぐらい本当に今、頻繁に盗聴器はあります。 

「自分の家に盗聴器があるとは思わないかもしれませんが」と酒井さん
「自分の家に盗聴器があるとは思わないかもしれませんが」と酒井さん

盗聴器はいろいろな形で仕掛けられている。もしかしたら、あなたも知らない間に被害に遭っているかもしれない。

(「イット!」12月7日放送)