ウソか本当か?「恐怖の略奪者」バイキングを巡る6つの通説

どくろの杯から「血のワシ」の儀式まで、膨らんだバイキング伝説

2023.01.08
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1943年に発掘された兜。ばらばらに破損していたが、修復されて、現在はノルウェーのオスロ大学歴史博物館に展示されている。(PHOTOGRAPH BY BERIT ROALD, NTB SCANPIX / ALAMY STOCK PHOTOS)
1943年に発掘された兜。ばらばらに破損していたが、修復されて、現在はノルウェーのオスロ大学歴史博物館に展示されている。(PHOTOGRAPH BY BERIT ROALD, NTB SCANPIX / ALAMY STOCK PHOTOS)
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通説5:角がついた兜をかぶっていた

 バイキングと言えば、角のついた兜というイメージが強い。しかし、バイキング時代の兜はノルウェーのリンゲリケで発見されたものが唯一で、バットマンのマスクのような形をしている。ただし、とがった耳はなく、もちろん角もない。

 バイキング時代の描写を見ると、戦士たちは何もかぶっていないか、鉄もしくは革でできた簡単な兜をかぶっていた。北欧芸術には、角が生えた人物も描かれているが、それらは神や怪物であって、人間の戦士ではないと、マクマホン氏は指摘する。

 では、角がついた兜と言うイメージはどこから来たのだろうか。その起源の一つとしてはっきりわかっているのは、1876年、バイロイト音楽祭で「ニーベルングの指輪」の初公演の際に、衣装係だったカール・エミール・ドープラーが、角付きの兜を採用したというものだ。さらに、19世紀のスウェーデン人画家であるヨハン・アウグスト・マルムストレムも、北欧武勇伝の挿絵に同じような兜を描いた。

 ちょうどこの時代に古代の角付き兜が発掘されているため、ドープラーやマルムストレムらはそこから着想を得たということも考えられる。しかし、発掘された兜は後に、バイキングの時代より古い時代のものであることがわかった。

通説6:バイキングは背が高く金髪だった

 バイキングには、長身で金髪、そして青い目をしていたというイメージもある。しかし、デンマークにあるコペンハーゲン大学のリセ・ロック・ハーヴィ氏は、中世の墓から見つかった遺骨のDNA解析結果から、当時の人々は現代と同様に、金髪、赤毛、茶髪など様々な髪の色をしており、純粋にスカンディナビア人の子孫だけで占められていたわけではないと結論付けた。「この頃既に、文化と民族が混じり合っていました」。瞳の色も同様に、様々だった。(参考記事:「有名なバイキング戦士、実は女性だった」

 背が非常に高かったというのもまた誤解であると、マクマホン氏は言う。北欧地域の当時の男性の平均身長は173センチで、平均的なヨーロッパ人男性と変わらない。それには、栄養が関係していると考えられる。夏が短く冬が長いスカンディナビアでは、食料が手に入りにくく、略奪することによって栄養を得ていた可能性がある。

 背が高かったという誤解は、おそらく19世紀から20世紀に起こったナショナリズムの結果だろうと考えられる。その愛国心が、北欧人とアーリア人の原型としてバイキングのイメージを広めたのではないだろうか。

 ちなみに、バイキングは身だしなみに無頓着だったという通説まである。しかしこれに関しては、考古学的証拠によって誤りであったことがわかっている。バイキングの墓やその他の遺跡で発見された遺骨のそばでは、男であっても女であっても、櫛やピンセット、かみそりなどが数多く見つかっている。さらには、シラミを防止するために苛性(かせい)アルカリが多量に入った石鹸を使用していた可能性もある。苛性アルカリには、髪の色が抜けるという副作用がある。(参考記事:「バイキングの櫛を発掘、刻まれた文字に研究者興奮」

参考ギャラリー:バイキング 世界をかき乱した海の覇者 19点(2017年3月号特集)(写真クリックでギャラリーページへ)
参考ギャラリー:バイキング 世界をかき乱した海の覇者 19点(2017年3月号特集)(写真クリックでギャラリーページへ)
バイキングの伝統をたたえる英国シェトランド諸島の祭り「ウップヘリーアー」で、船のレプリカが燃やされる。戦士役の島民がかぶる羽根付き兜(かぶと)は史実とは異なり、彼らがアレンジしたものだ。(PHOTOGRAPH BY ELLIOT ROSS)

文=ROBERT KOŚCIELNY/訳=ルーバー荒井ハンナ

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