デルフィニア戦記、終幕 | 梅津瑞樹 オフィシャルブログ【梅津の思考回廊】

デルフィニア戦記、終幕

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デルフィニア戦記、全九公演の幕も降り、また皆がそれぞれの道へと戻って行きました。

忘れもしない11月初旬に某所にて行われた本読みの日、なんとなく互いが互いを探り、妙な空気感が醸造されていたあの日から1カ月。
あんなにも和気藹々としたカンパニーへと変貌するなんて 笑

パンフレットにも書かせていただいたのですが、今回「デルフィニア戦記」という舞台に出演させていただくにあたって、これが2作目であるということ、アンサンブルかつ原作に登場するキャラクターを任せていただけるということで、既に作り上げられてきた原作と舞台の空気感へ溶け込むことができるか当初、本当に不安で仕方がなかったです。
しかも、いざ台本を戴いて開いてみれば最後の最後に皆美さん演じるリィと一騎打ちなんてことをしてしまっている。空想の中でならいざ知らず、お芝居で剣を振るなんてここ数年やってないぞ、と。
慌てて原作を読んだところナジェック王子、一瞬でやられて引き摺られていっちゃうじゃありませんか。
これは大変なことになったと心中穏やかではなく、遂に市瀬さんに殺陣をつけていただいた日、帰る道すがら立ち寄ったコンビニの前でコーヒーを飲みながら稽古を思い出して腕を振っていたり、家に着いても眠れず、近所の公園に出て練習したりと不安な日々を過ごしましたが、稽古場から劇場に至っても悔しい思いをする度に宮川さん、本多さん、皆美さんにどうしたらいいか相談させていただいたその末に、どうにか千秋楽まで漕ぎ着けることができました。

お芝居に関してもそれは一緒で、喋る頻度は多くはないにせよ、もっと面白くしたいという思いと自分の力量との差に四苦八苦していました。
特にリィとの婚約にこぎ着ける為に各国の使者が押し寄せるシーンでは、本多さん、小塚さんと三人で休憩の度にああでもないこうでもないと案を出し合ったり、悩ましくもあの時間は本当に楽しかったです。
そして、役者としては当たり前のことではありますが、そうした試行錯誤の末に生まれたものを演出家に提示するというのはなかなか勇気がいることなのです。
しかし、それを五味さんや宮川さんはそれを恐れずに仕掛けていくのです。
五味さんは凄く周囲のお芝居を観察していて、いつもこっそり呼んでアドバイスをくれました。
しかも、自分のあのシーンのあの芝居はどうだったかを僕なんかに訊ねてくるのです。
芝居をより良いものにしていこうとするその貪欲な姿勢に、深く尊敬の念を抱きました。
寺田さんは人見知りの僕に気さくに話しかけてくださり、いつもステージングの練習に付き合ってくださいました。そしてそれを見ていたマスターこと大澤さんが細かくチェックしてくださったり。今回初舞台だったという佐渡山くんは何事にも一生懸命で、その姿を見て改めて自分も襟を正す思いでした。
出演者とスタッフの方々、本当に暖かい方々ばかりでこんなにも恵まれた環境でお芝居をさせていただけたことが、平成最後にして最高の経験となりました。
願わくば、またご一緒したいです。その日を夢見て、また精進して参ります。






最後になりましたが、ご来場いただいて毎公演支えてくださった皆々様、そして出演の情報が解禁された段階で既にチケット完売だったにも関わらず駆けつけていただいた応援してくださっている方々に深く感謝致します。
また何処かでお会いしましょうね。
ちょっと邪悪な笑みと共に。



梅津