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NHKネット進出の欺瞞 稲葉新会長が取り組むべき小泉政権の“宿題”とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2023年1月9日 7時53分

(関連記事:“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”を製品化 ドンキの狙いは?)

●一筋縄ではいかないNHK改革

 そんな中で公共放送を掲げたNHKが国民から一律で受信料徴収することが正当なものと考えられるのか、という議論は以前にも増して高まりつつあるといえます。だからこそ、NHKはその必要性を増すべくネット業務の拡大を目論むわけなのですが、そこには民業圧迫という民間事業者の反発が付いて回るわけで、一筋縄ではいかないというのが現状なのです。

 ならばいっそのこと民業に委ねられる業務は分割民営化し、真に公共放送にふさわしい部分だけを公共放送NHKとして残せばいいのではないか、という議論になっていくわけなのですが、これがまたそう簡単な話ではないのです。

●NHK民営化に反対の民放各社 事実上の“援軍”に

 分割民営化論は簡単に言うと、報道や教育部分を公共NHKとして残し、民間放送と業務的にダブるドラマ、バラエティ、スポーツ中継などの娯楽部門を民営化して、民間放送と同じスポンサー提供かあるいは有料放送としてスクランブル化するのが望ましいという案です。受信料は劇的に安くなることは必至であり、月額1225円の地上波受信料が500円以下になることは確実視されています。

 個人的にはこの分割民営化案には大賛成なのですが、これにはまた強力な反対勢力が存在しているのです。それは既存の大手民間放送局(以下民放)をはじめとした民間放送媒体企業です。NHKが娯楽部門を民営化するなら、民放にとっては強力なライバル企業が出現することになるためです。

 ただでさえ、21年の広告費でネットが「テレビ・新聞」が上回る(電通調べ)など広告媒体としてのテレビ一強の時代が終わりを告げ、スポンサー確保に四苦八苦している現状で、巨大な内部留保を持つNHK娯楽部門が民間参入するのは大反対であるわけなのです。

(関連記事:2021年のネット広告費2.7兆円、初の「テレビ・新聞」超え 電通調査)

●政治家もNHK改革に及び腰

 そもそもNHKがこれまで何度かの行政改革や事業仕分けなどの変革期に国の外郭団体の組織見直しをことごとくかわしてこられたのには、こういった同業の「援軍」がいたおかげでもあるのです。民放各局はNHKの民営化反対を高らかに叫ぶというよりは、報道機関として民営化問題を積極的には取り上げないことで世論を盛り上げない、という戦略をとってきました。

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