ずいぶん治安もよくなった釜ヶ崎

 それでも、実際に生活に困窮している人たちがいることも事実だ。

 そこで夜の炊き出しのあとには、「パトロール」と称してボランティアたちが市内を回る。三角公園を出て北に行ったすぐのところには、暴動の標的ともなった西成警察署がある。そこにはボランティアの列が通り過ぎるのを待つように、私服の警察官たちが待ち構えていて、列のあとに付いてくる。

 1月3日の夜は、日本橋の電気屋街まで足を運んで、段ボールにくるまる路上生活者に声をかけ、弁当やカイロを配っていた。路上に横たわらなければならなかった人たちも、物心両面で居場所がなかった。ただそれも、このところ減ってはきているという。

 昔に比べると、釜ヶ崎の治安もだいぶよくなったと聞いた。『居酒屋で覚醒剤を売るな!』という当たり前のことを当たり前にうったえる標語も、むしろその証かも知れない。随分と昔に同じ場所を訪ねた時には、なかった記憶だ。治安が悪ければ、すぐにそんな標語も剥がされる。

 1日千数百円から泊まれる簡易宿泊施設もきれいになった印象だった。いまでもそこで寝泊まりしながら、働く人たちも多い。ただ、炊き出しやイベントに集まる人たちは高齢化が進み、最近では中国人をはじめ外国人が増えているとも聞いた。外国人観光客が簡易宿泊施設を利用することも多いようだ。これからの「コロナ明け」で、再び外国人の姿も増えるはずだ。