公式の丸暗記は危険
2つ目は、2012年度の全国学力テストから加わった理科の中学分野(中学3年対象)で、10%の食塩水を1000グラムつくるのに必要な食塩と水の質量をそれぞれ求めさせる問題が出題された。
これに関して、「食塩100グラム」「水900グラム」と正しく答えられたのは52.0%に過ぎなかったのである。
実は昭和58年に、同じ中学3年を対象にした全国規模の学力テストで、食塩水を1000グラムではなく100グラムにしたほぼ同一の問題が出題された。この時の正解率は69.8%だったのである。
ほぼ同一の問題で行った2つの大規模調査結果において、正答率で約5割と約7割の違いが出ることは一大事である。
2010年前後の大学生就職難時代に、本務校の就職委員長として深夜のボランティア授業「就活の算数」を行っていたとき、食塩水の濃度で学生が間違わないために次の話をしていた。その効果はてき面であったことを思い出す。
「食塩水の濃度=塩÷(塩+水)×100(%)
という公式の丸暗記だけは危険です。何らかの集団における女性の比率は~%というとき、分子は女性の人数で、分母は女性と男性の人数の合計です。そこで、食塩水の濃度というときには、比べられる量の分子は塩で、もとにする量の分母は塩+水です。」