富大理学部・氷見市連携研究室「ひみラボ水族館」(同市惣領)は20日までに展示をリニューアルし、国天然記念物の淡水魚イタセンパラの水槽や展示物をまとめたコーナーを設けた。人気声優に依頼した生態や保護活動を紹介する音声案内や、記録映像を流すモニターも新たに配置し、オリジナルの缶バッジも作成。氷見に生息する希少な魚に興味を持ってもらう。
新たに設けたコーナーには、イタセンパラの水槽を中央に、生息地の万尾川での繁殖行動を紹介するパネルや、産卵方法を解説したペーパークラフト、標本、新聞記事などを配した。展示物を1カ所にまとめ、学びやすい環境を整えた。
新たに4分ほどの音声案内も作成し、声は人気声優緑川光さんが務めた。緑川さんの出身地・栃木県大田原市が、イタセンパラと同じタナゴ類の国天然記念物「ミヤコタナゴ」の生息地であることから依頼した。稲作に関わる水管理の中で保護されてきたことを紹介し、生息環境の保全を呼び掛ける内容となっている。
●缶バッジも作成
コーナーの一角には、イタセンパラなど館内で展示する淡水魚のイラストが描かれた缶バッジが入ったカプセルトイ(通称・ガチャガチャ)も設置した。同館のパート浮橋真由美さん(40)が絵を手掛け、愛らしいデザインで親子連れらに親しみを持ってもらう。
新設のモニターでは、イタセンパラの特集番組のほか、職員が撮影した産卵行動などの動画も公開する予定で、コロナ下で中止していたキッズルームや図書館も再整備した。同館職員の川上僚介さん(30)は「展示を通して、多くの人が保護活動に加わってくれるとうれしい」と話した。
★イタセンパラ 環境省の「絶滅危惧IA類」。成魚は体長5~6センチで、雄が赤紫色、雌が銀色の美しい体が特徴。氷見市の万尾川以外では、岐阜・愛知の木曽川水系、大阪の淀川に生息する。