文春オンライン

2021/12/26

 この話をブログに書いたときに、SNS上で目にしたのが「直接言えばいいじゃん!」とか「そんなことも言えないの?」みたいな言葉でした。他にも「どくのが当たり前だと思っているの?」と書かれたのはやっぱりすごくショックでした。

 双子用ベビーカーで出かけることが多いと、自分がスペースを取ってしまっていることも分かるし、やっぱり遠慮してしまうというか、なかなか周りにお願いしにくいんです。もちろん言ったら移動してくださる方がほとんどなのはわかっているんですが…私以外にも、なかなかそういう勇気が出ない人も多いと思います。

初めて双子と電車に乗った際の大山さんのブログ 

単純な電車の乗り降りやエレベーター乗降も簡単ではない

 あとは電車だと乗り降りそのものも難しいですね。

 ベビーカーの場合、中の赤ちゃんの角度を考えて、乗るときは前向きに乗って、降りるときは後ろから降りないといけない。限られた車両内のスペースで双子用ベビーカーを回転させるには、乗客がいるとなかなか厳しいものがあります。停車時間も短いので、気持ち的にも焦りますね。

 ちなみに新幹線はそもそも双子用ベビーカーが乗れる幅のある入り口の車両が1つしかないので、その車両以外から乗ることはできません。

 あとは駅にあるエレベーターも意外に難易度が高いです。主要駅にも関わらずいまだにエレベーターのない駅もありますし、あってもサイズが小さかったりするところもある。もし階段やエスカレーターでも大丈夫な方の場合は、少しだけ優しい気持ちを持ってもらえるととてもありがたいなと思います。

都営バスは「双子ベビーカーを畳まずに乗せられる」としている。ただ、段差があるため乗せ降ろしはハードルが高い 都バス公式HPより

双子用ベビーカーでバスに乗る「難しさ」

 電車と並んで公共交通機関の王道のバスも鬼門です。

 私はまだ怖くてバスに挑戦できていないんですが、今夏には都営バスが「双子用ベビーカーを畳まずに乗ることができる」という方針を出してくれました。この方針には各民間バス会社も続くとも報じられていました。ですが、実態としてはまだまだ伴っていない部分が大きいと思います。

 子ども2人を乗せた20㎏以上のベビーカーは幅もあるので、乗せ降ろしは男性でも1人ではできません。どうしても運転手さんや周りの人の手も借りる必要がでてきます。でも、実際にバスに乗ろうとして「じゃあ後ろの乗降口からどうぞ」と運転手さんに言われたけれど、手助けもしてもらえず、スロープも出してもらえず「え、どうやって?」となった話も聞きました。