ベビーカーでのバス乗車体験で思い知らされたこと

大山:多胎家庭での困りごとといえば、まだあって外出が本当に大変です。

今西:双子や三つ子の親御さんは、公共の乗り物での移動でも苦労されていますよね。

 

大山:まず1番のハードルが「2人一緒に泣いたらどうしよう」ということですね。周りの目が気になって仕方がない多胎児の親御さんたちは多いと思います。双子ベビーカーは場所もとりますから、恐縮してしまうんですよね。電車だとベビカーが置ける車両までたどり着けないこともあります。バスはさらに鬼門です。

都営バスが「双子用ベビーカーを畳まずに乗ることができる」という方針を出してくれたと聞いて、意を決して初めて乗ったのが今年の3月。結果は「1人でなくてよかった」に尽きます。

まず乗り込む所で、前からか後ろから乗るのかわからない。運転手さんは指示もくれず、冷たくて。後ろから乗り込むことになり、なんとか持ち前のパワーでベビーカーを持ち上げて乗り込みましたが、歩道と乗車口が離れていて大変でした。子ども2人を乗せた20キロ以上のベビーカーは幅もあり、普通のお母さんではまず無理なのでは…と思いました。

乗り込んだ後も、ベビーカー席に座っていらした女性が席を移動してくれましたが、椅子を畳むのかもわからずあたふた。運転士さんからは「前払いです」「発車しますの声」。知人の女性がいてくれたからよかったですが、一人だったら完全に心折れていたと思うんです。たくさんの子を連れている親御さんは、やっぱり他の方に嫌な顔をされたら…という思いが常にあります。そんなとき、少し時間がかかっても温かい気持ちで対応してくださったらとても助かります。「自分が同じ立場なら」という想像力を持っていただけたらうれしいですね

双子用ベビーカーでバスチャレンジをした日の写真。やはり一人だと厳しいなぁと実感。写真提供/大山加奈