たった500文字で百人一首をマスター!?
『5文字で百人一首』は、小倉百人一首の歌をそれぞれ5文字で要約してしまおうという本です。
たとえば
「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」→「洗濯日和だ」
といった感じです。
すでに歌の意味を知っている方にはその無理やりさを笑ってもらって、知らない方には親しむきっかけとしてインパクトのあるものを提供します。
さらに興味のある人のために、元の歌と要約を繋ぐ「直訳」と「意訳」を用意しました。また、それぞれの歌が読まれた背景と歌に使われている表現技法に関して「解説」もつけました。さらに、小倉百人一首全体に関する知識を補足する「コラム」も設けてあります。
本文は猫がしゃべっていることになっており、かなりフランクな口調です。歌の内容をなんとなく反映した猫のイラストが各所に入っています。
総じて、小倉百人一首について楽しく学べる本になったのではないかと思います。
個人ウェブサイト「ねこいりねこ」が大バズり
最初のきっかけは、ぼうずめくりのブラウザゲームを作ろうとしたことです。表示用に、実家にあった百人一首かるたに書いてあった文字を打ち込みました。せっかく打ち込んだので、打ち込んだ文字を表にして単独で公開することにしました。たしか2000年代の早いうちのことです。
歌と作者だけだとオリジナリティがないので、要約をつけることにしました。
5文字にしたのは、当時使っていたモニターだと折り返さずに表示できるのがあと数文字程度だったからです。何首分か書いたところで、全部5文字にしたほうが見た目も内容も面白くなりそうだと気がつきました。
初期の要約は、かるたに付いてきた解説書の文言を抜き出しただけなど、今よりもさらにいいかげんでした。それでも引用して面白がってくれる人が時々いたので、うけたところは残しつつ、いまいちなところを歌の意味から調べ直して少しずつアップデートしていきました。
特に2017年にTwitterで大きくバズったあと、いろいろ気になってきて半分ぐらい作り直しました。
その後、2020年に講談社さんから書籍化のお話をいただきました。5文字の要約とイラストを組み合わせて子供たちが楽しく百人一首を学べる本を、とのことでした。
イラストは素人だし作文は大の苦手でしたが、出版には興味があったのでお受けすることにしました。楽しくとはいえ嘘があってはいけないので、図書館で百人一首の本をたくさん借りて勉強しなおしましたよ。