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(垣内)ああ 岩倉さん。(舞)はい。
会議行ってくる。 何や 緊急やねんて。分かりました。
ほな お願いします。はい。
(浩太)試作の合格もろた仕様でこれから量産することになります。
あちらさんの話やと注文は 月に100万本以上になるいうことや。
(宮坂)100万本!?(尾藤)めっちゃ多いっすね。
アホ! 喜んでばっかりいてられへんで。(相良)ホンマや。
機械フル稼働しても一日に出来んのは せいぜい5万本。
(笠巻)社長 納期は?
2週間後や。(一同)2週間…。
ほな もう作り始めな間に合えへん。結城もいてへんねんし。
(古川)しかし 本注文は まだ来てません。
いや 来てへんけど そのうち来るやろ。試作に合格できてんねんから。
本注文の前に作り始めんのはリスクがあります。
本注文 待ってて納期に間に合えへんかったらそれこそ大事な取引先なくすことになる。
どっちにしてもリスクありっちゅうことすか…。
社長 ご決断ください。本注文を待つか 作り始めるか。
♪~
作り始めよ。
(宮坂)っしゃ! すぐやろ!せやな。お願いします。
♪~
♪「公園の落ち葉が舞って」
♪「飛び方を教えてくれている」
♪「親切にどうも」
♪「僕もそんなふうに」
♪「軽やかでいられたら」
♪「横切った猫に」
♪「不安を打ち明けながら」
♪「ああ 君に会いたくなる」
♪「どんな言葉が 願いが景色が」
♪「君を笑顔に幸せにするだろう」
♪「地図なんかないけど歩いて探して」
♪「君に渡せたらいい」
♪~
(浩太)どや。
お~ ええやん。
(垣内)ほな ここに固めといて。(一同)はい。
ああ。 お疲れさん。
(めぐみ)スピードアップしたなぁ。
ちょっとずつ慣れてきたから。
ねじ入れる時なこないしたら 見えやすいねんで。
ホンマや。
お母ちゃんも これ ず~っと一人でやっててんな。
あのころは 商品のこん包も全部一人でやってて…。
いっぺん工場で寝てしもたことがあってな。
夜更けに目ぇ覚ましたらそばに お父ちゃんがいてた。
心配して捜しに来てくれたんやな。
「苦労かけて 堪忍な。いつか 工場大きして 人増やしてめぐみのこと楽にするからな」て言うてくれてん。
大きい工場なんて夢みたいな話やて思てたけどお父ちゃん かなえてん。
はい。 やってみて。うん。
はよ寝えよ。
浩太さんこそ。 しんどないの?うん。
なあ めぐみ。ん?
いつまでたっても 楽にしたられへんな。
楽やないけど 楽しいで。
ホンマ?うん。
(藤沢)はい 少々お待ちください。社長 栗東工業の住田さんからお電話です。
分かった。
お電話代わりました 岩倉です。
℡(住田)お世話になってます。こないだお願いした試作品なんですけどね設計が変更になりましてん。え?
℡(住田)せやから 申し訳あれへんのですけど本注文は なしということでお願いします。
ちょっと待ってください。 なして…。
℡(住田)すんません そういうことで。いや 待ってください。
今 そちらに伺います。
藤沢 行くで。
行くで!はい!
(住田)設計が変わった以上ねじも変えることになりましてね。
いや そんな…。
本発注に向けて もう量産してるんです。
それは うちが お願いしたことではありませんから。
あれだけ在庫抱えてしもたらうちは終わりです。
なんとかなりませんか?
どうしようもないことで。
お父ちゃん?
おう 舞か。
大丈夫?
今は ちょっとな… 大丈夫やないな。
発注なくなってしもてんな。
今までで一番しんどいわ。
けどな ここ なくすわけにはいけへん。
ここはな おじいちゃんの代から岩倉で働いてきた全員で作り上げた工場なんや。
今までに何億という数のねじ作ってきたんやろなぁ。
どんなねじ作ったんかも全部 記録してあんねんで。
そうなん?ああ。
笠やんなんかな 難しねじ頼まれたら27年前に作った あのねじがヒントになるんちゃうかて記録捜しに行ったりしてな。すごいなぁ。
そやけど レシピがあっても材料とか道具とか 作れる料理人がおらな料理はでけへんやろ。うん。
今 ここには 全部そろてる。
ええレシピも 機械も 職人もな。
工場が潰れてしもたらそれが 全部散り散りになってしまう。
二度と作られへん ねじかて 出てくる。
ここには 全部詰まってる。
従業員らと力合わして進んできたこれまでの思い出も…。
これからの夢もや。
お父ちゃん。ん? 何や。
私も… 私も 手伝いたい。
もう 十分 手伝うてもろてる。違う。
もっと お母ちゃんみたいに工場を支えたい。
舞。 お父ちゃんはな舞が 自分の夢に向かって頑張ってるのがうれしいねんで。
悠人も いつか ホンマの自分の夢見つけてくれるて 信じてるわ。
舞は パイロット目指して頑張ったらええね。
♪~
[℡](呼び出し音)
まだ起きてたん?うん。 何や 寝られへんかって。
お母ちゃんは? 電話してたん?うん 工場にな。
けど お父ちゃん 出ぇへんねん。
ちょっと見てくるわ。
私も行く。
・(めぐみ)電気ついてる。
あれ…。
お父ちゃん?
お父ちゃん。
え…。
お父ちゃん。
(2人)お父ちゃん!ねえ お父ちゃん!
なあ お父ちゃん!お父ちゃん!
♪~
お母ちゃん。
♪~
バイパスの手術をしましたが心臓の動きが戻ってきませんでした。
手は尽くしましたが…。大きな発作で お助けできませんでした。
うそ…。
うそや! なあ。
(泣き声)
お父ちゃん!
工場 どないするん。会社を畳む…。
お母ちゃんが社長になるんやったら手伝いたいと思てる。
奥さんに会社の経営は無理や。
もっと力になりたいのに…。
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