陶器職人の主人公・誠治と、海外で活躍する彼の息子・学、そして主人公が知り合う在日ブラジル人青年・マルコス。リアルな今を生きる3人の関係を軸に、独自の視野から「家族」という普遍的なテーマに挑んだ感動作が誕生した。
主人公・神谷誠治を演じるのは日本を代表する名優、役所広司。焼き物を本格的に練習して撮影に臨んだ本作では、親の愛を知らずに育ち、不器用だが家族を深く愛する男の複雑な心情をまさに唯一無二の演技で表現している。息子の学には、NHK大河ドラマ「青天を衝け」に渋沢栄一役で主演した吉沢亮。マルコス役のサガエルカス、彼の恋人エリカ役のワケドファジレらオーディションで選ばれた、実際に日本で暮らすブラジル人の若者や、日系4世らのヒップホップグループGREEN KIDSの“当事者”による演技は、“演技”の域を超えた本物の煌めきを放つ。さらに“サムライギタリスト”として世界的に知られるMIYAVIが強烈な印象を残し、佐藤浩市、松重豊、中原丈雄、室井滋らベテラン俳優が絶妙なアンサンブルを見せる。
現在、約280万人の外国人が暮らしている日本。その中のブラジル人に光を当てた本作は、実際に起きた事件などをヒントにした、いながききよたかのオリジナル脚本の映画化。『八日目の蟬』『ソロモンの偽証』の名匠・成島出監督が、フィクションとノンフィクションの境界線上のリアリティーを鮮やかに描き出した。
誠治をはじめとする彼らの、国籍や育った環境、話す言葉などの違いを超えて家族を作ろうとする想い、大切な人と共に生きていきたいという願いは、どんな憎しみよりも強靭な無償の愛へと昇華し、殺伐としがちな現代に温かい希望の明かりをともしてくれるだろう。