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画像ファイル名:1672748878654.png-(288824 B)
288824 B23/01/03(火)21:27:58No.1011444395そうだねx5 22:28頃消えます
初めの印象は鮮烈だった
降り頻る雨の中で、突然現れた彼女の姿は今でも目に焼き付いている
学園の英雄とも呼ばれる彼女を初めて間近で見た時の感情はどんなものだったのか
少なくとも、美しいとは思ったのだろう
だけどそれ以上に、寒気がするほどに儚く脆い存在のように思えてしまって
触れれば壊れそうな彼女の姿に見惚れていた時、彼女は口を開いた

『雨宿り、させてほしいなって』

そういった彼女は、まるで……寂しさで壊れかけた人形のようだった
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
削除された記事が1件あります.見る
123/01/03(火)21:28:10No.1011444520+
いつからか、彼女は自分のところに通うようになっていた
時には当たり障りのない会話をして、時には歌っている彼女の声に耳を傾けて
聞きたいことは山ほどあった。言いたいことも山ほどあった
なぜ自分一人しかいない時にくるのか。普段自分のチームメイトたちといなくてもいいのか
それすら聞けないままに繰り返す彼女との逢瀬は、悪い気はしなかった
僅かながらの特別感。積み重なる違和感
時々はぐらかすように笑う彼女からはその奥底にあるもは読み取れなかった
それがどこか、悔しかったのかもしれない
223/01/03(火)21:28:24No.1011444638+
契機が訪れたのはいつのことだっただろうか
いつものように歌っている彼女に、どうしても我慢ができずに聞いてしまった

『寂しく、ないんスか?』

その瞬間……自分がやってしまったことの重みに気づいてしまった
ガラスの仮面を力付くで引き剥がしてしまったかのような錯覚と後悔。同時に達成感
先輩の顔が今まで見たことのない表情になったのを見て自分は取り返しのつかないことをしたのだと自覚した
事実、この日を境に……関係性は大きく変わったと思うから

『寂しい、よ?』

震えながら絞り出されたその言葉を聞いて、やっとわかったことがある
自分は、この人を助けたいんだと
323/01/03(火)21:28:34No.1011444732+
ある日、暇な時間に姉御の頼みを受けてクッキーを作っているときに先輩は姿を見せた
味見をお願いしたら、彼女はおずおずと、今までのクールな振る舞いなんてどこへやらで受け取って
美味しい、と。呆気に取られたように言った表情は今でも覚えている
今までどこか遠い場所にいたこの人が、少しだけ近くにまで寄ってきてくれた気がして
意を決してお茶に誘ったら、遠慮がちに席について
どこかまだよそよそしくても、僅かに本当の顔が垣間見えた気がして嬉しかった
同時に欲が出てきた
この人の素を見て見たいという……傲慢な欲が
423/01/03(火)21:28:46No.1011444840+
彼女がやってくる頻度は日に日に増えてきた
いつしか、自分だけではなく他のメンツがいる時にも現れるようになって
最初はみんな目を白黒させていたけど、すぐに慣れてきて。姉貴あたりが揶揄い始めたのもこの頃だったか
姐御がやたら構い倒したり、聖剣先輩がレースについての話を聞きたがったり、魔女っ娘が変に絡んだり
色々あったけど、その中でだんだん彼女の表情は柔らかく……仮面ではない、何かを見せるようになってきたと思う
ぎこちなかった笑顔もだんだんと自然なものが増えてきた。本当に少しずつ、僅かな差だけど
自分のチームに全然顔を出していないのは心配だけど……少なくとも、悪い影響ではないはずだからと
心の中で、僅かな安堵を感じていた
523/01/03(火)21:28:56No.1011444929+
軽い怪我をしてしまったことがあった
それを聞きつけるや否や………あの人は、すぐにプレハブ小屋に駆けこんできた
あの……息を切らせて、何かに縋りつくかのような必死な顔は絶対に忘れないだろう
大した怪我じゃないことを伝えると、彼女はへたり込んでしまって

『本当に、よかった』

そう言った時のその顔は………初めて見るものだった
ふにゃりと崩れかけた、脱力しきったような、だらしない笑顔
何か、本当に大切なものを勝ち取ったような………そんな気分だった
623/01/03(火)21:29:07No.1011445009+
レースの帰り、彼女は出迎えてくれた
人目につかないようにこっそりと、プレハブ小屋の前で待っていて
そのまま彼女を誘ってお茶にした時……変な声が聞こえた
『美味しいプイ』なんて、今まで彼女が口にしたことが無かった冗談めかした声、喋り方
その突然のジョークにコーヒーを吹きだしかけてむせてしまい、慌てた彼女が背中をさすってくれる事態になった
やっと落ち着いたと思ったら、また『大丈夫プイ?』なんて言い出して
思いっきり笑ってしまって、気づいたら彼女も笑い転げていて
まさかその後ずっと尾を引くだなんてその時は思いもよらなかったけど、少なくともはっきりしていることがある
この日。遥か高みの『英雄』は……自分たちにとって普通の『先輩』になったんだ、と
723/01/03(火)21:29:19No.1011445110+
幾ばくかの時が流れて、桜の季節になった
新たなる後輩たちの噂を聞いて、さあ忙しくなるぞと楽しみ半分心配半分で気合を入れて
自分は『先輩』になれるんだろうか。そんな風に心配していた心は……いともたやすく、解きほぐされた
小屋の前で、手を振って待っている人影
あの雨の日の影は欠片もない、へにゃっと溶けたようなだらしない笑顔で
ああ、随分変わったなぁこの人も……と感慨深くもあれば、なんか大分変な方向に変えてしまった気がして罪悪感も少しあったりして
『一緒に走るプーイ』なんて、あの日の彼女だったら絶対に言わない口調と顔で
全く、気が抜ける。大きくため息をつきながらも、マスクの下で口元は緩んで
だけど、きっとそれでいいのだろう。自分が望み、彼女が望み、その結果が今ここにあるというのなら
手をあげて、挨拶して。彼女のもとへと歩みを進める
923/01/03(火)21:29:57No.1011445409そうだねx4
今日も、きっと楽しい一日になる
1023/01/03(火)21:30:07No.1011445478+
幾ばくかの時が流れて、桜の季節になった
聞けばあの場所にも後輩が入る予定だとかなんとか。また騒がしくなりそうだなぁなんて、少し楽しみで
気合を入れてるあの子も、きっともうすぐここに来る。この、いつものプレハブ小屋の前に
やってきたあの子に向けて、笑って手を振る
あの雨の日のような悲しみも寂しさも無い、我がことながらだらしない笑顔で
ああ、私も変われたんだと。きっと、それはみんなが………あの子が変えてくれたんだと、ただひたすらの感謝を胸に
『一緒に走るプーイ』なんて、あの日の自分だったら絶対言わなかったようなことを彼女に告げて
気が抜けたように笑う彼女。ため息をついてるけど、マスクをしてても笑ってるのがわかる
きっと、これでいいのだろう。自分が望み、彼女に助けられ、こうして今があるのだから
歩み寄る彼女を、笑顔で出迎えて。さぁ、と手を差し伸べる
1123/01/03(火)21:30:17No.1011445558+
あの子のレースの帰りを、プレハブ小屋の前で出迎えた
人目につかないようにするのが面倒だったけど、上手く抜け出して
そのままお茶に誘われて楽しんでいる時………ふと、冗談を思いついた
『美味しいプイ』なんて。今までの自分が、一度も言ったことも無ければ思いつきもしなかった、くだらない冗談
すると彼女は思いっきりコーヒーを吹きだしてしまって。慌てて背中をさすったけど………イタズラ心に火が付いてしまった
落ち着いたところを見計らって、『大丈夫プイ?』なんて。ちょっと追い打ちをかけてみて
思いっきり笑いだした彼女に釣られて、私も気づけばおなかを抱えて笑ってしまっていた
まさかこの後ずっと尾を引くなんて私も思ってなかったけど………彼女が笑うのが、嬉しくって
この日。私は『英雄』なんかじゃなくて………普通の『先輩』になれたのかもしれない
1223/01/03(火)21:30:28No.1011445657+
あの子が怪我をしたと聞いた
それを聞いてすぐに……頭の中が真っ白になって、プレハブ小屋に駆けこんでいた
きっとその時私は………余裕なんて欠片も無い顔をしていたのだろう
大した怪我じゃないと言って彼女は、見たことのない笑顔で

『心配してくれてありがとうッス』

そう言った彼女は……初めて見る姿だった
ニカッと、どこか苦笑いも含みながらも……優しい笑顔
大切なものを失わずに済んだ………その安心感で、力がぬけてしまった
1323/01/03(火)21:30:39No.1011445745+
彼女のもとに通う頻度は日に日に増えていった
いつしか、彼女だけではない他の子達がいる時にも顔を出すようになって
最初はみんな目を白黒させていたけど、すぐによそよそしさは無くなって。あの子のお姉ちゃんがやたら揶揄ってくるようになった
芦毛の子はよく話しかけてきてくれて、凛としたある子は走る事について貪欲に聞いてきて、魔女のような恰好の子に魔法に付き合えと言われたり
色々あったけど、その中で少しずつ肩の力は抜けて………普段誰にも見せなかった部分を、少しずつ見せられるようになってきた
ぎこちなかった笑顔もゆっくりと自然なものになって。本当に少しずつ、僅かな差だけど
色々気遣ってくれる彼女に感謝しながら………きっと、いい方向に変われていたと思う
心の中で、確かな安堵を感じていた
1423/01/03(火)21:30:51No.1011445838+
ある日、いつもの様に隙を見て顔を見せたらいい匂いが漂ってきた
クッキーを焼いているという彼女から味見をお願いされて、おっかなびっくりそれを引き受けて
美味しい、と。呆気に取られて気の抜けた顔をしてしまったのを覚えてる
普段知らなかった一面に、どこか一歩近づけた気がして
お茶にでもしますか、と誘われて。意を決して席について
お互い探り探りみたいなやりとりだったけど、少しだけ今までより近くなった距離が嬉しくて
同時に、欲が出てきた
この子に全てをさらけ出して助けてほしいという……傲慢な欲が
1523/01/03(火)21:31:02No.1011445919+
その時のことは今でもはっきり覚えている
いつもの様に歌っていた時、彼女はそれを口にした

『寂しく、ないんスか?』

その瞬間………心臓をえぐり取られたかのような錯覚を覚えた
薄っぺらな仮面を引きはがされたかのような恐怖と、『聞いてくれた』という歓喜
彼女の顔が苦悩に歪むのを見て、何故か……ここで逃げてはいけないのだと思えて
震えるように、絞り出すように、初めて求めた彼女への『SOS』

『寂しい、よ?』

それを聞いて目を細めたその子を見て、やっとわかったことがある
私はこの子に、助けてほしかったんだと
1623/01/03(火)21:31:12No.1011445993+
いつからか、私はあの子のところに通うようになっていた
時には社交辞令のような会話をして、時にはただ彼女のそばで歌って
聞きたいことは山ほどあった。言いたいことも山ほどあった
何故別チームの自分を受け入れてくれてるのか。何故押しかけても何も言わないのか
それすら聞けないままに繰り返される日々は、少なくとも悪い気はしない物だった
僅かながらの解放感。積み重なる罪悪感
勝手に自分の気晴らしに付き合わせているという負い目は消えなかった
それがどこか、哀しく思えた
1723/01/03(火)21:31:22No.1011446072+
初めの印象は鮮烈だった
降り頻る雨の中で、突然現れた彼女の姿は今でも目に焼き付いている
金色の暴君と呼ばれた後輩はその姿を雨に濡らしたままこちらを見つめていて
レース場で遠目に見た印象とは大きく違って
だけどそれ以上に、変な所を見られてしまったと後悔して
何も言わずにこちらを見つめてくる彼女に、かける言葉を必死に探して

『雨宿り、させてほしいなって』

そう言った時の彼女の反応は……今までの人達とは違う、何かを感じるものだった
1823/01/03(火)21:31:35No.1011446168そうだねx9
以上。三が日も終わりなので酒飲んで舎弟した
1923/01/03(火)21:32:07No.1011446441そうだねx1
連日舎弟してる…
2023/01/03(火)21:34:20No.1011447583そうだねx3
オルプイの持つ栄養素は特殊だが効能が高い
2123/01/03(火)21:36:12No.1011448548+
四日連続!?
2223/01/03(火)21:40:35No.1011450833+
4日連続で舎弟してる…
有難いけど「」の肝臓は大丈夫かい…?
2323/01/03(火)21:42:21No.1011451677そうだねx8
なお今回でプレハブ80作目となりましたので年末にもまとめましたが改めてまとめました
[MATOME_2022_0254.zip]
2423/01/03(火)21:44:38No.1011452819そうだねx3
80!?
2523/01/03(火)21:45:10No.1011453108そうだねx3
最終回っぽいしっとりした雰囲気出しやがって…
2623/01/03(火)21:45:46No.1011453412そうだねx3
半公式のキャラで80も創作できる「」は凄く凄いよ…
2723/01/03(火)21:45:48No.1011453423+
>最終回っぽいしっとりした雰囲気出しやがって…
これで終わりじゃないよね…?
2823/01/03(火)21:49:01No.1011455031そうだねx5
>>最終回っぽいしっとりした雰囲気出しやがって…
>これで終わりじゃないよね…?
ご安心くださいまだまだ続きます
2923/01/03(火)21:53:28No.1011457204+
これお互いもう離れられないよね
3023/01/03(火)22:00:42No.1011460803そうだねx7
    1672750842870.png-(139835 B)
139835 B
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
3123/01/03(火)22:02:09No.1011461525+
>No.1011460803
果たしてこの時のプイの顔は……
3223/01/03(火)22:04:00No.1011462541そうだねx1
>1672750842870.png
仮面が剥がれる音がした
3323/01/03(火)22:10:44No.1011466035+
舎弟に会えなかったらプイはどうなってたんだろうか
3423/01/03(火)22:14:27No.1011467915そうだねx5
    1672751667748.png-(154669 B)
154669 B
>No.1011460803
3523/01/03(火)22:15:28No.1011468454そうだねx1
>1672751667748.png
ガラスの仮面が砕けた…
3623/01/03(火)22:19:14No.1011470417+
>1672751667748.png
舎弟はこの瞬間何かの覚悟を決めたのかな
3723/01/03(火)22:23:52No.1011472915+
3日連続と聞いてて慌ててッチーを見に行ったけど全て尊かった……

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