◇第99回箱根駅伝・往路(1月2日:東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
第99回箱根駅伝の往路が行われ、往路優勝を果たした駒大の2区に入ったのが田澤廉(4年)だった。
序盤は「抑えて入り」、徐々に上げていく。一時はトップに立ったものの、最後は中大・吉居大和(3年)に突き放された。田澤の走りを知っていれば、本調子ではないのは明らかだった。
実は12月上旬に新型コロナウイルスの陽性反応が出ていたことを明かす。高熱も出て、咳も止まらなかった。「そこから1週間は歩いてもいない」。自身をもってして「やばい状態」だったと振り返り、「合宿できないまま練習は2週間くらいしかできなかった」と言う。
だが、そんな状況でも大八木弘明監督が2区に送り出したのは田澤。3冠の懸かる大舞台。期待の証であり、その期待に応えられると信じていたからこそだろう。そして、田澤はそれに応えてみせる。「言い訳にして負けたというのは嫌」とエースらしい走りで2位を死守。結果的に、この粘りが往路優勝に導いたと言える。
|
|
「絶対に1番で渡したかったという気持ちはあったんですけど、最後はもう踏ん張れなかった。ベストの走りができなくて残念だし、申し訳ない」
今季は10000mでオレゴン世界選手権にも出場。ただ、1年間通してなかなかコンディションが整わなかった。三浦龍司(順大)と同じく、トラックで夏場まで勝負してから駅伝へ移行するのは簡単なことではない。世界を経験したからこそ、箱根駅伝とトラックの両立の難しさを痛感。「そんなに甘くはない」と語っていた。それでも、仲間、そして「自分をここまで育ててくれた、大恩師」への恩返しとして、3冠を誓っていた。
「大学の4年間はもう終わりですけど、監督とはこれからもオリンピックとか世界陸上とか。日本を代表する選手を監督と一緒に目指して、これからも頑張っていきたい」
3冠は監督への恩返しと話していた田澤。最後の箱根で役割を果たした大エースは、1月3日、仲間を信じて大手町で3冠のフィニッシュを待つ。
■田澤廉の4年間の箱根駅伝成績
1年時 3区3位(総合8位)
2年時 2区7位(総合1位)
3年時 2区1位(総合3位)
4年時 2区3位
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
Latest articles 最新の記事
2023.01.04
順大 往路苦戦もトップ5は死守「イチから作り直す」10区主将・西澤侑真が意地の区間賞/箱根駅伝
◇第99回箱根駅伝(1月2、3日:東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 2007年以来の総合優勝を目標に掲げていた順大は5位。長門俊介駅伝監督は、「最低限の結果」と言葉少なにレースを振り返った。 往路 […]
2023.01.04
中大は復路も順位キープで準優勝 22年ぶりトップ3も指揮官は「うれしさ半分、悔しさ半分」/箱根駅伝
◇第99回箱根駅伝(1月2、3日:東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km) 往路は2区の吉居大和(3年)と3区の中野翔太(3年)の連続区間賞で、一時トップを快走した中大。4区で駒大と青学大に逆転されるも、 […]
Latest Issue
最新号
2023年1月号 (2022年12月14日発売)
特別付録
箱根駅伝観戦ガイド 全国高校駅伝総展望
To The World 2023 三浦龍司(順大)
・男子100m特別対談 山縣亮太×桐生祥秀
U20世界選手権 特別座談会 など