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IWAKURAは リーマンショックの影響で経営危機に陥っていました。
(浩太)みんな 聞いてくれ! 新規の仕事や!
太陽光発電の機械に使う ねじや。
ただ… 普通 3か月かかるとこ1か月半で頼むて言われた。
(一同)え~。きつい注文やけどな成功したらかなり大口の取り引きになんねん。
やってくれるか?
(一同)はい!
(悠人)さて この工場なんぼになるやろか。
♪~
♪「公園の落ち葉が舞って」
♪「飛び方を教えてくれている」
♪「親切にどうも」
♪「僕もそんなふうに」
♪「軽やかでいられたら」
♪「横切った猫に」
♪「不安を打ち明けながら」
♪「ああ 君に会いたくなる」
♪「どんな言葉が 願いが景色が」
♪「君を笑顔に幸せにするだろう」
♪「地図なんかないけど歩いて探して」
♪「君に渡せたらいい」
♪「道のりと時間を花束に変えて」
♪「君に渡せたらいい」
♪~
(舞)あっ お兄ちゃん?
何や その格好。
今 工場 手伝ってんねん。商品のこん包してる。
へえ~。
お兄ちゃん 来てくれたんやな。
仕事で近くまで来たしな。 ついでや。そっか。
工場 案内するわ。うん。
広いやろ?
人も機械も増えたからいろんなねじ作れるようになってんで。
相変わらず うるさいな。
お兄ちゃん 昔から工場の音 苦手やもんな。
うん 匂いもな。
お前 よう平気で働けんな。うん。 私は 好きやで。
あっ 笠巻さん 章にいちゃん。
兄が帰ってきました。
(笠巻)オホホホホホ。(結城)誰かぁ思たわ。
久しぶりやな。 帰ってきたんか。
はい。 仕事で ちょっと。
どや おやじさんが作った工場は。
立派なもんやろ?
この機械 なんぼぐらいするんですか?
1,500万や。 これが 5台ある。へえ~…。
お兄ちゃん 事務室行こ。
今やったら お父ちゃんおるわ。
腹減った。 うめづ行ってくるわ。
え? えっ 何で? お兄ちゃん。 ちょ…。
晩ごはん 家で食べてな!
何しに来たんやろ?
(悠人)もういけんの?(浩太)ビールも飲めると思うねけどな…。
(めぐみ)あかんよ。(浩太)ほら。 な?
医者より厳しいねんで。
ああ もう ええって。まあまあ お前は 飲め。
工場に新しい仕事が来たお祝いや。
はい お兄ちゃん どうぞ。
これ 私が作った。 食べてみて。(悠人)えっ 舞が?うん。
本場 帯広の味やで。うん おいしいで。
ホンマに言うてんの?(笑い声)
うまいやん。やろ?
悠人 もっと帰ってこられへんの?
(浩太)よう こっち来てんねやろ?
大阪には来てんねんけど予定詰まってんねん。
飯は 仕事先の人と食べるし。仕事先て お前 投資家かいな?
まあ あと 訪問先の企業の経営陣とか。(浩太)うん。
仕事の話は ええねん。
へえ~ あれ まだ飾ってんねや。
(めぐみ)うん 毎日見てたら何や かいらしなってきてな。
売ったらええのに。今 プレミアついて俺が買うた時の10倍以上の値段すんで。10倍?え~。
そんな驚くことちゃうやろ。
俺が 目ぇつけたもんは大抵 値段が上がんねん。
すごい…。せっかくもろたもん 売られへんやん。
痩せ我慢せんと売ったらええのに。
工場も。
悠人。工場て お前 何の話や。
まだ新しいし 機械もきれいやん。
今やったら 買い手もつくやろうし。
お兄ちゃん。リーマンショックのあと倒産していく会社 いっぱい見てきた。
ここらの工場もいっぱい潰れてんねやろ?
なあ おやじ。
損切りて知ってる?
値下がりした株見限って売ることやねんけど。
それが どないしたん。
大抵の人間が この損切りが 下手でなぁ。
損失が出てんのにいつか巻き返せるはずや思て自分を信じて売ろうとせえへん。
ほんで 損失が膨らんでくんねん。
なあ おやじ。
借金 増えてってんねやろ。
傷が浅いうちに工場売んの考えた方がええんちゃうん。
悠人も知ってるはずや。
うちの工場は 長い時間かけてちょっとずつ大きしてきたんや。
従業員らと力合わしてな。
一人一人が 経験積んで 技術磨いて…。
みんなで一歩ずつ進んできたから今のIWAKURAがあんねん。
それを売るやて お前…。
簡単に言うてくれるな。
お金なんかには かえられへんのじゃ。
分からんおやじやな。お前こそ 何で分かれへんね。
何で みんな 損切りでけへんか教えたろか。
自分の失敗 認めんのが 怖いからや。何?
そやから おやじも 現実に向き合って工場売んの考えたら どうや。
株なんかと一緒にすんな。話にならん。
金にかえられんとか甘いこと言うて結局 おやじは 現実見る勇気ないねん。
お兄ちゃん やめて。お父ちゃんの気持ち 考え。
はあ? 俺が悪いん。
心配して言ったってんねん!
いらんお世話や 帰れ!
言われんでも帰るわ!
お兄ちゃん。なあ… ちょっとお兄ちゃん!
悠人!
何でお兄ちゃんお父ちゃんと いっつも ぶつかんねやろ。
悠人も 家のこと心配してくれてんねやろけど…。
あんな言い方したらお父ちゃん 傷つくやんか。
せやけど お兄ちゃんも傷ついてんのとちゃうかな…。
(戸が開く音)(津田)あっ いらっしゃいませ。
アイス 頂戴。(津田)アイス。うん。
何べんも呼び出すなや。
俺 忙しいねん。ごめん。
けど こないだは話す時間なかったやんか。
お父ちゃんと ケンカしてすぐ帰ってしもて。俺のせいちゃう。
お兄ちゃんも心配して来てくれたんやろ?
力になりたいってちゃんと伝わるように言うたらええやん。
そんな話やったら帰る。待って。
座って。
あんな お兄ちゃん。
一緒に考えてほしいねん。
工場 立て直す方法。
断る。何で?
おやじが 今 やらなあかんのは被害を最小限に食い止めることや。
これ以上 借金が増えんうちに工場売んのが一番ええ。
なあ お兄ちゃん。
私ら ちっちゃい頃からお父ちゃん ずっと工場で働いてたやろ。
朝から晩まで 休みの日も…。
そうやって工場ちょっとずつ大きくして…。
いつか飛行機の部品作るって夢に一歩ずつ近づいて…。
その大事な工場 売れって言われてもお父ちゃんは売れへんと思う。
それだけやないで。
お父ちゃんは工場で働いてはる人らのこと考えてなんとか このピンチ乗り切ろうとしてんねん。
工場売ってしもたらみんな 働くとこなくなるやん。
家族みたいにずっと一緒に働いてくれた人らやのに。
甘いなぁ。え?
おやじが どんだけ工場のことを大事に思ってようが関係ない。
利益が出されへん会社は 潰れるしかない。
何で そんな冷たいんよ。ひと事みたいに。
お前にとっても ひと事やろ。
ちゃうよ。
工場のために できることは何でもやりたい思てる。
そやから 商品こん包の仕事 始めて…。それは お前の自己満足やろ。
お前 来年には パイロットになって家 出ていくんやろ。
そのあと 工場が どうなんのか考えたことあんのか?
お前がやってることはその場しのぎの親切やねん。
どうせ 手ぇ離すんやったらはなから助けん方がええ。
無責任やぞ。
ほな行くわ。ああ それ 舞にやって。は?
♪~
(久留美)舞? アイスえらいことなってるで。
ああ…。
あ… 柏木さんと 何かあったん?
あっ ちゃうよ。 たまにメールしてるし。
メールだけ?うん。
向こうは 入社準備で忙しいやろし。
あんなぁ 遠距離恋愛いうんはなこまめな連絡が 絶対いんねん。
そうなん?うん 患者さんが言うてた。
舞は 電話して声聞きたいって思えへんの?
思う。
電話し。うん。
(悠人)お前 来年には パイロットになって家 出ていくんやろ。そのあと 工場が どうなんのか考えたことあんのか?
お前がやってることはその場しのぎの親切やねん。
どうせ 手ぇ離すんやったらはなから助けん方がええ。
無責任やぞ。
♪~
[℡](呼び出し音)
[℡](柏木)もしもし 舞?
うん。 柏木さん 今 大丈夫?