阿部:(ソニーの三つ子単焦点レンズ=E 24mm F2.8 G、FE 40mm F2.5 G、FE 50mm F2.5 G=を見ながら)廉価版でも、ちゃんと絞りリングがついているんだよね。絞りリングについては譲らない人もいるから(笑)
桃井:皆さんは、絞りリングって使ってます?
豊田:ソニーでは使いません。
阿部:俺も、ソニーのレンズをたくさん持っているわけでないけど使わないな。家にいて触ってる時なんかは楽しいけどね。
桃井:僕は、どのメーカーであっても一切使いません。レンズ側で絞りを動かす癖がない。レンズによって有無があったり、位置が違うのがストレスなんです。電子ダイヤルでしか変えないですね。
阿部:絞りリングに対する、ある種の幻想があるのは事実だよね。例えば70-200mmF2.8にも付いている。でも、高いお金払って望遠F2.8を買って、わざわざ絞って使う人はそうはいないと思う。それこそ電子ダイヤルで済ませてもいい。ところが他社との差別化もあってか、ソニーには付いている。さすがソニーだな、って言われたいのかもしれないけど(笑)。個人的には…例えば50mmF1.2だったら絞りリングはあってもいいかな。絞りがいがあるから(笑)。だけど開放F2.8やF4のレンズにはいらないね。
桃井:絞りリングで差別化ですか(笑)
阿部:付いているのがソニーのレンズっていう。実際に使うか使わないかよりもそっちなんだろうな。つまりは、もうやめられない(笑)
編集部:Gマスター(レンズ)には全部ついてるの?
豊田:全部ついてます。
阿部:付いてますね。今までついてなかったのもⅡ型になって付いてきたり。
編集部:動画屋さんは絞りリングを使っているの?
豊田:単焦点レンズでは使っていると思います。ギアリングつけて操作しているのを見たことがあります。
阿部:切り替えがあって、クリックなしでスーッと動くのが面白いよね。でも、そういう風になっちゃうとやめれない。ただね、当初「絞りリングはあった方が良い」って評価したのも俺たちなんだけどね(笑)
桃井:責任があるかも(笑)
阿部:でも別に邪魔になってるわけでもないし、その分で値段が上がってるとも思えないので。クリックそのものはいい感触だから、別に文句はない。
桃井:とりたてて邪魔にもならないので、僕も別にどっちでもいいと思います。
阿部:実際には使ってないけどね(笑)
桃井:最近はちゃんとロックできるようになったから。そういう意味では絞りリングとして使わなくても、使い勝手そのものは良くなりましたよね。
阿部:ニコンの50mmF1.2とかだと、F1.2開放で撮りたいと思ってるのにダイヤルだと触っちゃってF1.3とかになってたりすることがあるんだよね。だから絞りのロック機構は絶対に必要。ニコンZはZ 9が出てきて初めてロックができるようになったと思って「さすがはフラッグシップ」って持ち上げていたら、初代のZ 7から絞りのロック機能はあった。オレが気が付かなかっただけ(笑)。でも絞りリングがあれば、カメラを構えながら回して絞り開放を確認、fいくつって設定することもすることも一瞬。すごく細かい使い方なんだけどね。こう考えると大口径レンズでは絞りリングも悪くない。ソニーはいつの間にかどのメーカーよりも上手に絞りリングを入れるようになっちゃったとも思える。
山田:そこはやっぱり後出しの強みなんだよ。他のメーカーが試行錯誤してきて、結局ここだよね、っていうのを見てて作ってるわけだから。ひどい言い方かもしれないけど、当たり前だっていう感じがする。
阿部:でも、後出しでもできないところはあるけどね(笑)
山田:それは過去のしがらみもあるから。やっぱりαの強みはそこのところの過去を適度に上手く捨てていって、最新のものを入れていけるっていうところなんじゃないかな。
豊田:変えても、別にソニーだから、っていう言い訳もできますしね。
山田:本来はそこに甘えちゃいけないんだけど…。
桃井:ソニーに関しては、こっちもそういう見方をしているところがありますよね。
豊田:ソニーだから仕方ないか、って。
桃井:いいことも悪いことも。
豊田:その代わり新しさはある。
山田:だだねー、もうミラーレスカメラのトップに立っているわけだから。だからそういう意味ではちゃんとしなきゃいけない立場になっちゃったわけじゃない。追う立場じゃなくて追われる立場になった。これからソニーに求めらるものっていうとそこになってくるんだろうな。

カメラの未来はスマホに潰された??

諏訪:今の20代の子たちとかは、仕事してても貯金するお金すらない人もいっぱいいる。カメラなんてそうそう買えない。
阿部:カメラの値段って難しいよね。どんどん高くなっていって、今ではお手頃なカメラってほとんどない。でも、逆に言えばお手頃のカメラをたくさん作ってたのに、それを買ってくれないからお手頃じゃなくなった、というのもある。結果的に価値がわかる人だけに買ってもらえばいい、みたいになった。やっぱりスマホにシェアとられて売れなくなったからなんだよね。
諏訪:それもあると思いますね。
阿部:頑張ってお手頃なカメラを今出しても、やっぱりスマホでいいやってなるとやっぱり売れない。そうするとカメラは高くするしかない。なんかここって難しいね。
編集部:スマホとあんまり変わらねーじゃん、とかって思っているのかな?
諏訪:そう思ってる人は圧倒的に多いと思います。
阿部:だってカメラメーカーの人に会ったって「いやー、スマホを買い替えたらすごいんですよ」って言われるから(笑)
諏訪:そもそもプリントしないから粗が分からない。ある程度違いがあっても、違いの見方が分からない。そのクオリティの違いに気づかない人はいっぱいいるんですよ。
阿部:まあ、スマホの鮮やかな液晶を見ちゃうとねー。
森田:彩度マシマシ。ずっと見ていると疲れるけど、そこまでは見ない。
   ■   ■   ■
山田:そもそも論の話に戻しちゃうけど…。そもそもフィルム時代にカメラが売れたっていうのは、カメラが欲しかったから売れてたとメーカーの人は思っていた。でも「写ルンです」が出てきて、実はカメラが欲しかったんじゃなくてプリントが欲しかった、ということがわかった。
阿部:写真が欲しかったんだよね。
山田:で、その後スマートフォンとかデジタルの時代になって、同じようにプリントできるようにしたんだけど、今度はみんなが欲しがっていたのは、プリントではなく映像だった。
阿部:そう。送り飛ばせるデータ。
山田:で、カメラメーカーはそこで画質をアピールしてきた。でも、多くの人にとって、映像は思い出すきっかけが大切なのであって、画質どうこうではなかった。スマートフォンで撮った写真で、その時のいいことを思い出せればそれで十分。スマートフォンだと画質が…とか言い出すのはごく一部の人であって、スマートフォンで撮って何が悪いのって。僕なんか純粋に思っちゃうわけですよ。
阿部:そういった意味では、ある種、カメラの役割は終わってるのかもしれないね。
山田:もちろん、その中にはやっぱりプリントが好きだっていう人は当然いていい。じゃあプリントするんだったらいいカメラでいい画が欲しいよねって。
阿部:だから高いカメラになるんだよ。高価で、画質が良くて、へーっていうのが撮れるようなカメラ。そもそもプリントを額に入れて飾ろうなんていうのは、それなりの余裕がある人だから。若い人にそれを求めるのはどう考えても無理がある。せいぜいモニターで見るくらい。ほとんどはスマホで足りるから。
編集部:つまりカメラは贅沢品?
阿部:趣味性が強いものになっていくのは仕方ないんじゃないのかな。時代の波に押されて、動かされてるから。
森田:元々写真なんて趣味の世界ですからね。このムックにしても、読者は40代以上の男性が圧倒的で、10代とか女性はほとんどいません。まあ、重箱の隅をつつくような画質評価とかボタンの押し具合なんて、言っちゃえば変態の世界ですからね(笑)
阿部:そう考えると来年(2023)のCP+のポスターなんて大きな誤解だよね。
諏訪:ね。今、俺もそれ言おうと思ってた(笑)
阿部:かわいい女の子がカメラ持って出てくるとか、毎年ああいう路線でやってるけどさ。まったく現状がわかってない。
諏訪:そう。実態と違うところに思いっきりアプローチしようとしてますよね。
森田:変に若い人に媚びて、無理に広げようとか一切しないほうがいいんじゃない?
編集部:かと言ってオッサンばかりを見てても先がない。
阿部:それもあるよね。
諏訪:俺が作っているYouTubeとかでも、カメラの製品の紹介をしている動画なんかはもう絶対40代以上なんですよ。ほとんど。だけど、時計だとか関係ない話をした回は10代、20代がいっぱい見てる。どれだけカメラに興味がないかっていうのが(笑)
編集部:自分の子供とか赤ちゃんの写真を撮って、アルバムに貼るなんて習慣はもうないのかな?
諏訪:微妙にあるみたいですよ。
編集部:紙焼きにして?
諏訪:はい。後でゆっくりめくって懐かしめるように。
阿部:フォトブックみたいなのを作ってあげたりはするでしょう。孫の写真をおばあちゃん、おじいちゃんにあげるとか。
諏訪:スタジオアリスとかで、いわゆるメモリアルブックとかを作っている家はけっこうありますね。
森田:七五三とかね。
諏訪:かなり盛況だとは聞いています。宣伝もけっこう目にしますしね。
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森田:たしかにスマホは便利だと思います。すぐSNSにアップできるし。でも、いまの若い子たちにしても学校写真だったり成人式だったりで、プロの撮った写真に触れているわけじゃないですか。そこで一目置くというか、ここぞというときはちゃんとした撮影機材が必要だっていう認知度くらいはみんなあると思いますが。
阿部:それはあるんじゃない? 以前テレビを見てたら、マッチングアプリで女の子が男性を決めるときの、写真の選び方みたいなのがあった。スマホで簡単に撮った写真ではなく、プロカメラマンに頼んだような写真の人だと、まじめに相手を探しているとか。へーって思って見てたんだけど。
編集部:撮影:赤城耕一とかクレジットが入ってたらすごいことになる(笑)
山田:婚活などのプロフィール写真をやっている人が知り合いにいます。単純に写真を撮るんじゃなくて、まずは面接から始まるんだって。その男性が自分はどういう風に見られたいかっていうのを一時間くらいディスカッションして決めるらしい。だから撮る側も女性が多いんだって。阿部:それなりに大変なんだな。
山田:ちゃんとシステムになってるんですよ。スタジオもあって、スタイリストもヘアメイクもつくし。
阿部:そうなると、なんか高そう。
山田:でも5万円くらいだよ。5万円で一生が決まると思えば。
大門:それは紹介所が全部一式やってるってことなんだ。
坂本:俺の身内に婚活アドバイザーがいるから、よく手伝っています。何カットも撮った中から、どれを選ぶか相談されたり…。この俺がそいつの人生決めていいのかよって思いながら(笑)。でも、最初の写真の印象で7割から8割決まるらしいから、けっこう重要なんだって。
山田:写真を撮る時は、男性でも普通にメイクしますからね。当然レタッチもあるだろうし。
(続く 残り40000字)
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12/27発売の『カメラマン リターンズ#7_間違いだらけのカメラ選び!』の表紙を飾ってくれた北乃きいちゃんが、ショートムービーで告知してくれましたよヽ(^0^)ノ
画像: カバーガール北乃きいさんが『カメラマン リターンズ#7 間違いだらけのカメラ選び!! & デジカメBOOK 2022-2023』をPR! 2022年12月27日発売です! youtu.be

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撮影は表紙撮影と中のグラビアを担当してくれた魚住誠一さん。

もーねー、感謝しかありません(T_T)

ま、冒頭にきいちゃん、「12/26発売〜」って言ってますが、12/27発売ですからね〜(^_^;)

…ってなわけで、きいちゃんの舞台の告知もあるから、最後まで見てね〜。

ムックに関する詳細はこちら!

カメラマンリターンズ、こちらも好評発売中です!

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