カーラチャクラ究竟次第
「カーラチャクラ・タントラ(時輪タントラ)」は、11C頃に、おそらく中央アジア~西北インドあたりで書かれたインド仏教最後の経典です。
チベットでは、後期密教を「父タントラ」と「母タントラ」という2つの系統に分けますが、「カーラチャクラ・タントラ」は両者を統合するという性質を持っています。
「究竟次第」は気(プラーナ)をコントロールする瞑想法で、後期密教の奥義に当たるものです。
「カーラチャクラ・タントラ」の「究竟次第」は「六支瑜伽」と呼ばれ、下記の六段階の修行法から構成されています。
1 抑制:気を収束させて10のヴィジョンを得る
2 禅定:観想によってヴィジョンを堅固に
3 止息:瓶ヨガによって気を中央管に流入
4 總持:中央管に気を保持
5 憶念:上からと下からの四歓喜を得る
6 三昧:菩提心を蓄積して四身を得る
まず、父タントラ系の「究竟次第」を引き継いだ瞑想を行ない、その後に、母タントラ系の「究竟次第」を引き継いだ瞑想を行なうという構成になっています。
詳しいことは分からないのですが、「六支瑜伽」の概要を説明します。
1 抑制
「抑制」では、気を中央管、そしておそらく胸のチャクラにある心滴に流入させることでし、臨死の10のヴィジョンを体験します。
まず、「夜のヨガ」と総称されるのが、死に際した身体の4大の解体をシミュレートする瞑想の粗大なヴィジョンです。
具体的には、「煙」、「陽炎」、「蛍の光」、「灯明」の4つで、「秘密集会タントラ」の「究竟次第」と同じです。
次に、「昼のヨガ」と総称されるのが、意識の解体をシミュレートする瞑想の微細なヴィジョンです。
具体的には、「火焔」、「月」、「太陽」、「羅喉星(星のない暗黒の空)」、「閃光(空の自然な色)」、「青い滴(その中に細い黒い線の中にカーラチャクラ父母仏がいる)」の6つです。
これは、「秘密集会タントラ」の「四空」をより細かく分けたものです。
10のヴィジョンは、それぞれ、10種の気(プラーナ)と女尊に対応しているとされます。
2 禅定
「禅定」では、中央管の上部にいる父母仏になると観想します。
そして、脈管が浄化され、ヴィジョンが堅固となります。
3 止息
「止息」では、気を腹部に閉じ込める「瓶ヨガ」を行ないます。
そして、気を「中央管」に流入させます。
4 總持
「總持」では、気を中央管の中に保持します。
5 憶念
「憶念」では、自分自身をカーラチャクラであると観想し、五仏母、十女尊(シャクティ)と交わると観想します。
そして、ヘソのチャクラのチャンダリーの火を点火します。
これによって、頭頂からチャクラの中にある心滴を溶かして白い菩提心を下降させ、チャクラの場所で4つの歓喜を体験し、性器の先端に留めます。
これを「上から降りる四歓喜(順に歓喜・最勝歓喜・離喜歓喜・倶生歓喜)」と呼びます。
最後の歓喜は「不変の楽」とも呼ばれます。
また、ヘソのチャクラにある心滴から赤い菩提心を上昇させ、4つの歓喜を体験し、頭頂のチャクラに留めます。
これを「下から堅固になる四歓喜」と呼びます。
6 三昧
「三昧」では、5「憶念」を続けることで、赤白の菩提心を21,600滴、蓄積します。
すると、中央管が満杯になり、4つの心滴が仏の四身に変化するとされます。
・頭頂のチャクラにある「身の心滴」(対象の現れを生み出す)は「変化身」に
・心臓のチャクラにある「心の心滴」(無概念の意識を生み出す)は「法身」に
・喉のチャクラにある「語の心滴」(音の現れを生み出す)は「報身」に
・ヘソのチャクラにある「智の心滴」(快楽を生み出す)は「倶生身」に
「倶生身」というのは、「自性清浄身」、「理法身」とも呼ばれ、無始の真理そのものです。
一方、「法身」は「智法身」とも呼ばれ、真理を認識してそれと一体化した智です。
21,600というのは、一日の呼吸数に当たり、同時に動く気の数になります。
密教では、気も含めてすべては業によって生まれるものです。
ですから、21,600の心滴によって、すべての業が浄化されると考えられたのでしょう。
また、おそらく四身とは別の「空色身(空の影像)」を獲得します。
これは「滴」が尽きた時に現れるもので、微細身も極微身も越えた次元の身体でしょう。
また、この時に体験する最高に高められた歓喜を「最高の不変大楽」と呼びます。
もちろん、この時、「空」の認識を得ていますが、それは後期密教の創造的な母体としての「空」の認識です。
チベットでは、後期密教を「父タントラ」と「母タントラ」という2つの系統に分けますが、「カーラチャクラ・タントラ」は両者を統合するという性質を持っています。
「究竟次第」は気(プラーナ)をコントロールする瞑想法で、後期密教の奥義に当たるものです。
「カーラチャクラ・タントラ」の「究竟次第」は「六支瑜伽」と呼ばれ、下記の六段階の修行法から構成されています。
1 抑制:気を収束させて10のヴィジョンを得る
2 禅定:観想によってヴィジョンを堅固に
3 止息:瓶ヨガによって気を中央管に流入
4 總持:中央管に気を保持
5 憶念:上からと下からの四歓喜を得る
6 三昧:菩提心を蓄積して四身を得る
まず、父タントラ系の「究竟次第」を引き継いだ瞑想を行ない、その後に、母タントラ系の「究竟次第」を引き継いだ瞑想を行なうという構成になっています。
詳しいことは分からないのですが、「六支瑜伽」の概要を説明します。
1 抑制
「抑制」では、気を中央管、そしておそらく胸のチャクラにある心滴に流入させることでし、臨死の10のヴィジョンを体験します。
まず、「夜のヨガ」と総称されるのが、死に際した身体の4大の解体をシミュレートする瞑想の粗大なヴィジョンです。
具体的には、「煙」、「陽炎」、「蛍の光」、「灯明」の4つで、「秘密集会タントラ」の「究竟次第」と同じです。
次に、「昼のヨガ」と総称されるのが、意識の解体をシミュレートする瞑想の微細なヴィジョンです。
具体的には、「火焔」、「月」、「太陽」、「羅喉星(星のない暗黒の空)」、「閃光(空の自然な色)」、「青い滴(その中に細い黒い線の中にカーラチャクラ父母仏がいる)」の6つです。
これは、「秘密集会タントラ」の「四空」をより細かく分けたものです。
10のヴィジョンは、それぞれ、10種の気(プラーナ)と女尊に対応しているとされます。
2 禅定
「禅定」では、中央管の上部にいる父母仏になると観想します。
そして、脈管が浄化され、ヴィジョンが堅固となります。
3 止息
「止息」では、気を腹部に閉じ込める「瓶ヨガ」を行ないます。
そして、気を「中央管」に流入させます。
4 總持
「總持」では、気を中央管の中に保持します。
5 憶念
「憶念」では、自分自身をカーラチャクラであると観想し、五仏母、十女尊(シャクティ)と交わると観想します。
そして、ヘソのチャクラのチャンダリーの火を点火します。
これによって、頭頂からチャクラの中にある心滴を溶かして白い菩提心を下降させ、チャクラの場所で4つの歓喜を体験し、性器の先端に留めます。
これを「上から降りる四歓喜(順に歓喜・最勝歓喜・離喜歓喜・倶生歓喜)」と呼びます。
最後の歓喜は「不変の楽」とも呼ばれます。
また、ヘソのチャクラにある心滴から赤い菩提心を上昇させ、4つの歓喜を体験し、頭頂のチャクラに留めます。
これを「下から堅固になる四歓喜」と呼びます。
6 三昧
「三昧」では、5「憶念」を続けることで、赤白の菩提心を21,600滴、蓄積します。
すると、中央管が満杯になり、4つの心滴が仏の四身に変化するとされます。
・頭頂のチャクラにある「身の心滴」(対象の現れを生み出す)は「変化身」に
・心臓のチャクラにある「心の心滴」(無概念の意識を生み出す)は「法身」に
・喉のチャクラにある「語の心滴」(音の現れを生み出す)は「報身」に
・ヘソのチャクラにある「智の心滴」(快楽を生み出す)は「倶生身」に
「倶生身」というのは、「自性清浄身」、「理法身」とも呼ばれ、無始の真理そのものです。
一方、「法身」は「智法身」とも呼ばれ、真理を認識してそれと一体化した智です。
21,600というのは、一日の呼吸数に当たり、同時に動く気の数になります。
密教では、気も含めてすべては業によって生まれるものです。
ですから、21,600の心滴によって、すべての業が浄化されると考えられたのでしょう。
また、おそらく四身とは別の「空色身(空の影像)」を獲得します。
これは「滴」が尽きた時に現れるもので、微細身も極微身も越えた次元の身体でしょう。
また、この時に体験する最高に高められた歓喜を「最高の不変大楽」と呼びます。
もちろん、この時、「空」の認識を得ていますが、それは後期密教の創造的な母体としての「空」の認識です。