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2022.08.05部下たちが進む道を、
明るく照らしたい
沖縄・やんばる地域で生まれ育った四兄妹の、1972年の本土復帰からの歩みを描く、笑って泣ける家族の物語「ちむどんどん」。
今回は、田良島甚内 役・山中 崇さんへのインタビューをお届けします。新聞社の部下である青柳和彦(宮沢氷魚)や大野愛(飯豊まりえ)に対して、厳しくもありながら、毎回背中を押してあげる上司。そんな田良島の人物像や、和彦と愛に対する思いなどを伺いました。
――山中さんは、田良島甚内をどんな人物だと思っていますか?
部下に対して厳しい面もありますが、わりと寄り添うこともする人物ですね。人物紹介に「皮肉屋」とありますが、何でひねくれたんだろうと自分なりに考えたんです。田良島は兄を戦争で亡くしていて、それが心の傷になっている。そこから人をあまり信じられなくなっちゃったんじゃないかな、と。
でも、逆に言うと、ものすごく人を信じたいんだと思うんですよ。だから、やりたいことに向かってまっすぐな青柳(和彦)に対しては、すごく愛情を注ぎたい。でもどこか照れくさくて、素直に「信じている」とは伝えられないから、いつも回り道をした言い方になっちゃうんでしょうね。
――今回は新聞記者という役柄ですが、どのように撮影に臨まれましたか?
新聞記者を演じるにあたって、それに関わる作品をいくつか見たり、本を読んだりしました。実際に鶴見にも行ったんですよ。そのうえで、教科書どおりに育ってきたような新聞記者ではない、ちょっと変な人でありたいとも思っていて。それを見た青柳や大野(愛)に「こんな大人でも楽しそうだな」と感じてもらえたらいいな、と思いながらやっています。
――視聴者の方からも「かっこいい上司」という声が、多くあがっています。
部下たちがやりたいと言ったことを否定せずに、挑戦する場と失敗できる権利を作ってあげられるような上司って、とても魅力的ですよね。そんな上司がいたらいいなと思うので、それを表現できるように意識しています。
たとえば第8週で、青柳が「我が生涯最後の晩餐」という記事を書かせてほしいと懇願してくる。田良島はそんな青柳の熱意を買って、挑戦させるんですよね。自分でやってみて、たとえ失敗したとしても、そこからまたいろんなことを学ぶから。上司って、まずは部下から愛されなきゃいけないと思うんです。だからこそ、部下たちの進む道をどうやったら明るく照らせるか、ということを考えながら演じています。
――演じていて、やりがいを感じる瞬間はありますか?
青柳と二人のシーンが多いですが、青柳の目の色が変わる瞬間を目の当たりにできるのは、やっぱり演じていてもやりがいがあるし、楽しいですね。青柳 役の宮沢くんが、すごく純粋なんですよ。本当に魅力的な部下ですね。一緒に演じていても、すごく心を開ける方だなって思っています。
――和彦と愛に対して、田良島はどんな思いを持っているのでしょうか?
田良島にとって青柳は、本当にかわいい存在だと思います。でも、いずれは成長して自分のもとを巣立ってしまう。そこに少し寂しさを感じるのは、子が育つ親の気持ちに似ているんじゃないかな、と。青柳の実際のお父さん(史彦/戸次重幸)は亡くなってしまいましたが、田良島はもう一人の東京のお父さんなんじゃないかなって思っています。
大野は、結婚と仕事のことで悩み、キャリアウーマンとして生きていくという選択をした。当時、結婚して家庭を持つことが当たり前の時代では、すごく大きな決断だったと思います。でも、大野のやりたいことを「とりあえずやってみたら」と、少しでも背中を押せたらいいなという気持ちでしたね。
――田良島といえば、名言もたくさん飛び出しますよね。印象的なシーンはありますか?
第10週で将棋をしながら暢子(黒島結菜)に言った「『明日はきっといい日になる』と思うことが大事。」というセリフは、個人的にいいセリフだと思いましたね。
あとは、今後のシーンで田良島が青柳と気持ちをぶつけ合う場面も印象的です。青柳のことを大事に思う田良島の気持ちや葛藤が、うまく表現できていればいいなと思っています。また、青柳と暢子の今後について、田良島としても応援してあげたいという気持ちがあるので、ぜひ今後の展開も楽しみにしていただけたらうれしいです。