国立アイヌ民族博物館アイヌ語アーカイブ

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apekeskeso
アペケシケソ 【ape-kes kes-o】 斑点がつく(囲炉裏にあぶり,すねや太ももの内側にできる赤い斑点). テエータ アナクネ ウナラペ ウタラ アペクル パ コロ ニサピヒ ネ ヤ アペケシケソ ワ アン ヒ ク・ヌカラ ペ ネ=ずっと昔はおばさんたちが火にあたるとすねなどに斑点がついていたのを見たものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
apeoi
アペオイ 【ape-o-i】 囲炉裏,炉.▷アベ=火 オ=入れる イ=場所 (出典:萱野、方言:沙流)
apepusu
アペプス 【ape pusu】 囲炉裏の火を掘り起こす. ク・コロ オペレ ホプニ ワ アペプス ワ アペアリ.アペ ルイ ヤク ク・ホプニ ナ=孫娘よ,起きて囲炉裏の火を掘り起こし火を焚いてくれ.火が燃えたら私も起きるから. (出典:萱野、方言:沙流)
aperepo
アペレポ 【ape-rep-o】 燃え残りの薪を前へ押しやる:囲炉裏の中に燃やしてある薪が燃えたため,燃え残りの薪を炉の芯へ押し出させること.囲炉裏の中を海に見立て沖と陸にたとえる.▷アペ=火 レプ=沖 オ=入る →火を沖へ入れる (出典:萱野、方言:沙流)
apesotki
アペソッキ 【ape-sotki】 火の寝床,囲炉裏の中. (出典:萱野、方言:沙流)
arso(ke)
アラソ(ケ) 【arso(ke)】 囲炉裏を挟んで反対側.▷アラ=もう一方の,反対側の ソ=座 ケ=の所 ア・マチヒ アナクネ エアラキンネ イカラカラ エアシカイ ケシト アン コロ イカラカラ コロ アン アラソケ タ アシヌマ アナクネ イヌイェ・アン コロ アナン(アン・アン)=私の妻は本当に刺繍が上手で,毎日毎日刺繍をしており,囲炉裏を挟んで私は彫り物をしている[ウ]. (出典:萱野、方言:沙流)
ecikiki
エチキキ 【ecikiki】 煮汁を流す:鍋などの蓋を手で押さえて煮汁を流すこと.ジャガイモをゆでた場合など.ゆでこぼす,水切り(をする). エモ チ ヤー.パスイ エタラレ ワ インカラ チ ノイネ ネ ヤクン エチキキ ワ ス リコライェ ワ ヤンケ=ジャガイモが煮えたかい.箸を刺してみて煮えたようであれば煮汁を流して鍋を高くしてから上げろ.*昭和10年前後は囲炉裏の生活であったのでこれは普通のことであった. (出典:萱野、方言:沙流)
eronne
エロンネ 【e-ror-ne】 上座の方.*私が生まれ育った二風谷神社の入り口の所から見て,東の方をエロンネ(東側)といい,国道の西の方をエウトゥンネあるいはウトゥル(西側)と言った.しかし方角を示す言葉は家の中でも用いられるもので,囲炉裏よりも東の方をエロンネ,囲炉裏よりも入り口に近い西側をウトゥルあるいはエウトゥンネと言った.したがって大きい方角,東西南北の言い方には使えない.▷エ=それ ロロ=上座 ネ=である エロンネ シヌ ヤン=上座の方へ寄りなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
eutunne
エウトゥンネ 【e-utur-ne】 西側,下座.*私が生まれ育った二風谷神社の入り口の所から見て,東の方をエロンネ(東側)といい,国道の西の方をエウトゥンネあるいはウトゥル(西側)と言った.しかし方角を示す言葉は家の中でも用いられるもので,囲炉裏よりも東の方をエロンネ,囲炉裏よりも入り口に近い西側をウトゥルあるいはエウトゥンネと言った.したがって大きい方角,東西南北の言い方には使えない. (出典:萱野、方言:沙流)
hemakasi
ヘマカシ 【he-mak-asi】 奥の方,東側:家の中では囲炉裏から奥の方を意味し,村の中では自分の家より東側を意味する. (出典:萱野、方言:沙流)
ikarkar
イカラカラ 【i-kar-kar】 刺繍(する). "メノコ アナクネ ホクコロ エトク タ イカラカラ エアシカイ クス オカイペ ネ ナ" シコロ ア・ウヌフ イ・イェ クス ピリカ センカキ ア・カラカラ コロ アナン(アン・アン)=「娘というものは夫を持つ前に刺繍を上手にするものだ」と母が私に言うので上等な布に私は刺繍をしている.ア・マチヒ アナクネ エアラキンネ イカラカラ エアシカイ ケシト アン コロ イカラカラ コロ アン.アラソケ タ アシヌマ アナクネ イヌイェ・アン コロ アナン(アン・アン)=私の妻は本当に刺繍が上手で毎日毎日刺繍をしている.囲炉裏を挟んで私は彫り物をしている.テエータ カネ ニプタニ タ うとむてけ シコロ ア・イェ ウナラペ アン ワ イカラカラ エアシカイ オヤコヤク ワ チカラカラペ ア・エヤサラ ペ ネ ヤク ア・イェ=ずうっと昔二風谷にウトムアケというおばさんがいて.刺繍が上手であちらこちらから注文をされたということだ. (出典:萱野、方言:沙流)
imanit
イマニッ 【i-ma-nit】 焼き串.▷イ=それを マ=焼く ニッ=木,串 イマニッタイ=焼き串の林.囲炉裏の中で焼き串を林のように立てる.ユカラに多く出て来る言葉.図[イマニッ] (出典:萱野、方言:沙流)
inuye
イヌイェ 【i-nuye】 彫刻(する),彫る. トミカヌイェ=宝の上を彫刻する.シリカヌイェ=刀の鞘を彫刻する.ア・マチヒ アナクネ エアラキンネ イカラカラ エアシカイ ケシト アン コロ イカラカラ コロ アン.アラソケ タ アシヌマ アナクネ イヌイェ・アン コロ アナン(アン・アン)=私の妻は本当に刺繍が上手で,毎日毎日刺繍をしている.囲炉裏を挟んで私は彫り物をしている.テエータ アナクネ イヌイェ・アン クシネ ヒケカ ア・エイワンケプ カ ケミアン シネ マキリ ア・レウェ ア・オウペカレ ワ ネプキ・アン ペ ネ=ずっと昔は,彫刻するにも道具が少なく,一丁の小刀を曲げたり真っ直ぐにしたりして仕事をしたものだ. (出典:萱野、方言:沙流)
kamuysopki
カムイソプキ 【kamuy-sopki】 神の寝床:囲炉裏の中. (出典:萱野、方言:沙流)
kipihi
キピヒ 【/kipihi】 子供の額の所に残してある髪の毛.*もみあげの所の毛はモルフという.囲炉裏の方へ子供が落ちそうになったら神様がこの毛の部分をつかまえて助けてくれるという願いのもの.大正時代までの風習であった. (出典:萱野、方言:沙流)
kompupusi
コンププシ 【kompu-pusi】 昆布をこんがりと焼く,昆布焦がし. ク・ポニ(ク・ポン ヒ) タ コンププシ アナクネ フチ エヤクコロ ルルス ア・ヤンケ コッポクタ ス オルン ア・エコロトト コロ ケラハ ピリカ プ ネ ア ワ=私が子供の頃昆布をこんがり焼くのは祖母の役目で,汁鍋を上げる直前に鍋へ砕くと味がいいものであった.*昆布を囲炉裏の火にあぶると柔らかになる.それを指先でしごいて砂を落とし,もっと強く火に近づけると豆粒のようなふくらみができる.それをチプシコンプという.チプシコンプを汁の上げ際に鍋の中にぱりぱり砕いて入れるとおいしい汁になる. (出典:萱野、方言:沙流)
kotca/kotcake(he)
コッチャ/コッチャケ(ヘ) 【kotca/kotcake(he)】 表,前. ヤイコッチャカラ=囲炉裏端で自分が座る前を暖かく作ること.ニシパアヌシ(ニシパ アン ウシ) アナクネ チセ コッチャ ワノ チセ エルプシ パクノ イランマカカ ア・シッチャシヌレ ワ アン=物持ちの家というものは家の前から家の後ろまで丁寧に掃除されている. (出典:萱野、方言:沙流)
makta 2
マクタ 【mak ta】 ②(村の,家の)奥の方に. マク タ エ・アン エ・メライケ ナ.ナ サ タ サン アペクル=奥の方にいてお前は寒いだろう.もっと囲炉裏の方に出て火にあたれ. (出典:萱野、方言:沙流)
moruhu
モルフ 【moruhu】 びんの所の髪,明治時代の子供の髪型:額の上ともみあげに少しだけ髪の毛を残した.*囲炉裏の中や川の中へ落ちそうになった時に神様がつかまえて助けてくれる毛. (出典:萱野、方言:沙流)
na
ナ 【na】 もっと,もう少し,さらに,まだ. マク タ エ・アン エ・メライケ ナ.ナ サ タ サン アペクル=奥の方にいてお前は寒いだろう.もっと囲炉裏の方に出て火にあたれ.ナ ホッケ ワ アン=まだ寝ている. (出典:萱野、方言:沙流)
oyauhuy
オヤウフイ 【o-ya-uhuy】 (囲炉裏の薪が)陸(おか)へ燃えてくる. (出典:萱野、方言:沙流)
pakare
パカレ 【pakare】 燻製にする,煙をあてる,すすけさせる. チパチェプ ネ ヤ オイシル ネ ヤ ポンノ ア・パカレ コロ ソモ ミミヒ ペネ コエトゥレンノ クッカン フラハ カ イサム ペ ネ=死んで見つけたサケとか産卵の終わったサケとか,少しすすけさせると身も溶けないしそれとともに腐ったにおいもなくなるものだ.*食べ物を囲炉裏の上の火棚にのせてさっと煙のにおいをつける.少々傷みかかった肉や魚をそうする. (出典:萱野、方言:沙流)
poypoye
ポイポイェ 【poy-poye】 (手や棒などで)かき回す. ホカ ポイポイェ=囲炉裏の灰をかき回す. (出典:萱野、方言:沙流)
racinracin
ラチンラチン 【racin-racin】 ぶらりぶらり,ぶらんぶらん. メノココロペ ハーサ ハーサ オッカヨコロペ ラーチンラーチン=女の持ち物(陰部)がばくりばくりと口を広げ,男の持ち物(きんたま)がぶらりぶらり. *アイヌが祝い事で囲炉裏のまわりを回って踊る時に囃子言葉として言う.(補遺編) メノコ コロ ペ ハサハサ オッカヨ コロ ペ ラチンラチン=女の持ち物(陰部)がばくりばくりと口を広げ,男の持ち物(きんたま)がぶらりぶらり。*アイヌが祝い事で囲炉裏のまわりを回って踊る時に囃子言葉として言う。 (出典:萱野、方言:沙流)
ror
ロロ 【ror】 上座:囲炉裏からロルンプヤラ(上座の窓)までの間. (出典:萱野、方言:沙流)
rutomunki
ルトムンキ 【rutom-un-ki】 土間と囲炉裏の間へ敷く簾. (出典:萱野、方言:沙流)
sata 1
サタ 【sa ta】 ①囲炉裏に近い所. マク タ エ・アン エ・メライケ ナ.ナ サ タ サン アペクル=奥の方にいてお前は寒いだろう.もっと囲炉裏の方に出て火にあたれ.*窓の方をマクタと言い,やや奥まった方から見て囲炉裏に近い方をサタという. (出典:萱野、方言:沙流)
siruita
シルイタ 【siruita】 奥の方:囲炉裏端から見て奥の方. シルイタ アヌ=奥の方へ置け. (出典:萱野、方言:沙流)
sokes
ソケシ 【so-kes】 入口の方:囲炉裏から見て. (出典:萱野、方言:沙流)
sopa
ソパ 【sopa】 上座の方:囲炉裏から見て,家の東側の隅.▷ソ=座 パ=頭 (出典:萱野、方言:沙流)
sopes
ソペシ 【so-pes】 上座から下座へ向かって踊り下ること. ▷ソ=座 ペシ=下ること ホリッパ=踊る *ちなみに囲炉裏のまわりを回って踊るこの踊りでは,男たちが刀を抜いて右手に持つが,上座へ進む場合にのみ刀を前へ突き出す.下座へ向く時は刀を胸に当てたままとする.(補遺編) (出典:萱野、方言:沙流)
tuna
トゥナ 【tuna】 火棚:囲炉裏の上に下がっている棚. 図[トゥナ] (出典:萱野、方言:沙流)
una
ウナ 【una】 埋める:囲炉裏の火を埋めるという時にのみ使う.他のものを埋める時にはウナとは言わない. アペウナ・アン ヒ タ アナクネ シネンネ ア・ウナ プ ネ.トゥン ア・ネ ワ アペウナ・アン コロ シネン エトイ シネン ヤイカオクイマ プ ネ ナ ヌ ワ オカ ヤン=火を埋める時には,ひとりで埋めるものだ.ふたりで火を埋めると,ひとりははげ頭になりひとりは寝小便たれになるものなので,聞いておきなさい. (出典:萱野、方言:沙流)
usarunkamuy
ウサルンカムイ 【usar-un-kamuy】 下座の方の神. ウヌワプテ・アン ヒ タ アナクネ ウサルンカムイ セコロ ア・イェ ワ アペ ウサッタ(ウサラ タ) ポンアペ ア・アリ ワ ヌワプ テクサム ア・コプンキネレ プ ネ=お産の時には下座の神といって火の下座に小さい火を燃やしお産を見守る神とするものだ.ウサルンカムイ ウワリカムイ タヌクラン ウヌワプテ ウワリ アン ナ ピリカノ ウネプンキネ(ウン・エプンキネ) ワ ウン・コレ ヤン=下座の神,お産を司る神,今夜はお産が,産むことがあるのでよく私どもを守ってください.*囲炉裏の中に普通に火をたいてあるのとは別に,もうひとつ入口に近い方に火をたく.それは本当の火よりも一段位の低い神でお産を司る神とされている. (出典:萱野、方言:沙流)
utur
ウトゥル 【utur】 下座:囲炉裏から入口の方,主として家の西側を言う,西側. アペケシウトゥル=下座,下側.ル ウトゥル=道の下側.チセ ウトゥル=家の下側.エウトゥンネ=自分の家から見て西側.ウトゥルン(ウトゥル ウン) アチャポ エク コロ オラーノ アンオホロ ペネクス ア・エイヌピタラ=道路のあちら(西側)のおじさんは来ると長居するのでいやがられる.*自分の家から見て東側をエロンネあるいはロッタと言い,西側をエウトゥンネあるいはウトゥルと言う.私が生まれ育った二風谷神社入り口国道近くから見て,昔の貝澤松一さんの家の方をエロンネまたはロッタ,そして国道から西側の貝澤宇吉さんの家の方をエウトゥンネまたはウトゥルと言った. (出典:萱野、方言:沙流)
uwari
ウワリ 【u-ari】 産む. ウサルンカムイ ウワリカムイ タヌクラン ウヌワプテ ウワリ アン ナ ピリカノ ウネプンキネ(ウン・エプンキネ) ワ ウン・コレ ヤン=下座の神,お産を司る神,今夜はお産が,産むことがあるのでよく私どもを守ってください.*普通の言い方ではウヌワプテ(うなり声,お産)と言うが,ウワリカムイというのは囲炉裏の中で日頃燃やしている火の入り口に近い方にもうひとつ小さい火を燃やし,この火の神にお産を見守ってもらうものと考えていた. (出典:萱野、方言:沙流)