2017年。日本のApp Storeで、有料アプリ年間ランキング・第1位に輝いたアプリを、ご存知でしょうか。
それは、「広告ブロッカー」です。
多くの人は、お金を払っててでも、広告をブロックしたい!と思っているのです。
では一体、企業はどうすれば自分たちの商品を、ユーザーへ知ってもらえるのでしょうか。購入してもらえるのでしょうか。
多くの経営者、マーケターが気になるそんな「デジタルマーケティングのいま」について議論しようと、8月20日、弊社wevna(ウェブナル)のオフィスにて、セミナーが開催されました。
タイトルは、『【永遠に無料で打てるリタゲ!?】ストレスフリーな広告概念”会話広告”とは?進化を続けるデジタルマーケティングの最前線』です!
登壇者は、オンラインビジネス英会話事業を行う、ビズメイツ株式会社のCMO(最高マーケティング責任者)・籭健太(とうし けんた)氏と、
企業のウェブマーケティング支援に強みをもつ、株式会社GIGの代表取締役・岩上貴洋(いわかみ たかひろ)氏。
セミナーに登壇された籭氏(写真左)と岩上氏(写真右)
wevnalのChatbot AI事業部・森川がファシリテーターを務め、「デジタルマーケティングのいま」について、たっぷりと議論しました。
顧客体験の重要性
デジタルマーケティングのいまを考えるにあたり、ひとつキーワードとなるのは「顧客体験」。
Adobe社の社長兼CEOであるShantanu Narayen(シャンタヌ・ナラヤン)氏は、今年開かれた『Adobe Summit 2018』にて、このように言いました。
以前は製品自体が差別化ポイントだったが、いまや人びとはエクスペリエンスを買うのであって、製品を買っているのではない。
顧客の期待値はどんどん上がっているが、その顧客の心や感情をきちんととらえなければならない。
インターネットの普及や、テクノロジーの進歩によって、企業は商品の価格や性能自体で、他社との差別化を図ることが難しくなりました。
そこで、その商品を買うまでの過程や、その商品を使ったことによって得られる快適さ、気持ちの変化といった「顧客体験」によって、他者との差別化を図る必要が出てきています。
本セミナーでは、ユーザーの顧客体験を向上させる1つ目の手段として、「動画」が取り上げられました。
動画市場の盛り上がり
参考:Cisco Visual Networking Index: Forecast and Methodology, 2016–2021
上の図は、インターネット上に流れる情報量全体の推移と、その情報量に占める各用途の割合を示しています。
グラフの青色が「動画」を指しているのですが、インターネット上の情報量全体が増加し続けるなかで、「動画」の占める割合もどんどんと増えていき、2021年には80%以上にもなる見込みです。
それくらい、動画市場の存在感は日に日に増しているのです。
そのなかでも今回、特に注目された動きとしては、「動画コンテンツの長尺化」でした。
動画マーケティングプラットフォームを提供するTwentyThree社によると、企業サイトやサービスサイトといったオウンドメディアで動画を配信する際は、長尺動画の方が視聴者のエンゲージメントが高いという調査結果が出たそうです。
参考:The State of Online Video, TwentyThree Report + Infographic
実際に日本でも、クラシコム社が運営する『北欧、暮らしの道具店』というECサイトが、今春に約15分のオリジナル短編ドラマを製作しています。
引用:【いよいよお披露目】西田尚美さん主演、当店オリジナルの「短編ドラマ」をつくりました。
このドラマでは、『北欧、暮らしの道具店』で扱う食器や雑貨などが、ところどころで出てきます。
「ドラマ」という1つのコンテンツを通して、『北欧、暮らしの道具店』の空気感や、そこで扱う食器や雑貨の魅力を伝えるのです。
バナーやリスティングといった従来の広告とは一線を画す、新しいマーケティング手法。
実際、このドラマは視聴者に好評だったようで、今月上旬には第2話の放送が決定しました。
第2話の製作開始に際して、広告としてもこの第1話を配信したそうですが、そのエンゲージメントの高さに、クラシコム社代表の青木氏もTwitterで驚きの声をあげていました。
自分からサイトへ訪問して能動的にドラマを観た人と違い、広告として受動的にコンテンツと接触した人ですらこの数字なので、作りこまれた長尺動画のポテンシャルを思い知らされます。
ただその一方で、やはり視聴者に1つのコンテンツして満足してもらえるような長尺動画を作るのは、一筋縄ではいかないなという話も。
「最初にストーリーをしっかりと固める必要がある」
4年前、実際にプロジェクトとしてWeb上でドラマを作った経験があるというGIG代表の岩上氏は、「ストーリー作りの難しさ」を口にしました。
岩上貴洋氏(以下・敬称略):「当時は、10話完結のWebドラマを作りました。テキストのコンテンツと比べて難しいのは、ストーリーの軌道修正ですね。
最初にしっかりと、ストーリーを作りこまないといけない。あとはやっぱり、工数もお金もかかります。
ただその分、しっかりと質の高いコンテンツを作れれば、時間が経ってもユーザーに観てもらえるストックにはなりますね。」
ユーザーからのエンゲージメントを獲得し、顧客体験を向上させる1つの手段として、長尺動画には大きな可能性がありそうです。
ただその一方で、そういった質の高い動画を制作する知見、人手、資金といったいくつかのハードルがあり、まだまだすべての企業が取り組めるマーケティング手法ではないといった側面も見えてきました。
チャットボット市場の盛り上がり
そして、ユーザーの顧客体験を向上させるもう1つの手段として議論されたのは、「チャットボット」です。
ここ数年、チャットボットの有効な使い道として期待され、年々拡大をみせているWeb接客市場。
新規ベンダーの参入が相次いだことにより、2016年度は前年度比142.9増という急速な伸びとなっています。
参考:ITR、Web接客市場規模推移および予測を発表
チャットボットは第4の産業革命
参考:Chatbotは“第4の産業革命“、乗り遅れてはならない
マイクロソフト社CEOのサティア・ナデラ氏も、とあるイベントでチャットボットの革新性について、このように述べています。
(チャットボットは)コンピュータに対するアクセスを民主化するものであり、私たちが住んでいる世界を大きく変えることができるわけです。
いずれ、全てのビジネス、全ての製品、全てのサービスが、ボットのようなインタフェースを介し、人間の言語で会話できるようになる世界が来ます。
こうした技術は4度目の産業革命を起こし、エンジニアたちがこれから先の経済を変えていけるのです。
情報がたくさんありすぎて選べない、普段は忙しくて比較検討の時間がとれないユーザーにとって、対話を進めながら自身に合った商品をおすすめしてくれる「チャットボット」というインターフェースは、ユーザーの顧客体験向上に寄与します。
こちらの日本での実例としては、Hotspring社が3か月ほど前にローンチした、『ズボラ旅』というサービス。
これは、行き先や予定が決まっていなくても、旅行に行きたいという気持ちさえあれば、チャットを通じておすすめの宿泊先予約などまで、代行してやってくれるというものです。
このように、チャットを通じてユーザーの悩みを解決し、顧客体験を向上させていこうというサービスは、日々どんどんと新しいものが出てきています。
実際にwevnalでも、『BOTCHAN for LP』という「会話広告」をリリースしています。
無料で打ち続けられるリタゲ!?
『BOTCHAN for LP』は、Facebook広告の一種で、タイムラインに流れている広告をクリックすると、その企業とメッセンジャー上での会話が始まります。
従来の広告は、クリックするとLPや外部サイトへと誘導されていたのですが、『BOTCHAN for LP』はFacebook内のメッセンジャーへと遷移します。
そこでの会話を通じて、ユーザーの嗜好や条件をヒアリングし、それぞれに合った商品をおすすめするという流れです。
ビズメイツCMOの籭氏は、実際に『BOTCHAN for LP』を導入してみて、「潜在顧客層に対する1つのソリューション」として手ごたえを感じたといいます。
籭健太氏(以下・敬称略):「いま、たくさんのリーチを確保できる点で、SNSはマーケターにとって魅力的なメディアなんですが、滞在するユーザーは潜在層がメインです。
我々はビジネスパーソン向けの英会話事業を行っていて、もともと顕在層に対しては強みを持っていたのですが、潜在層へのアプローチに対しては、少し課題を抱えていました。
そこでどうしようかなと思っていたところに、この『BOTCHAN for LP』を提案していただいて。
我々はメッセンジャー上でユーザーにクイズをしてもらって、その解答内容から自社のサービスをおすすめするという流れなんですが、最初は『クイズの途中で離脱されちゃうんじゃないかなあ』と心配してました。
ただ、実際にやってみると、最後までクイズに答えてれるユーザーが予想以上に多かったです。
潜在層って、顕在層と違っていますぐに答えを求めてないんですよね。
クイズに最後まで答えてくれたのは、いますぐに答えを求めてないからで、潜在層に対してはそういった顧客体験を通じて、『教育』をしていくことが大事なのかなと思ってます。」
最後に、『BOTCHAN for LP』への今後期待する展開についても、話していただきました。
籭:「我々は行っている事業のマーケティングセオリーとしては、まず無料会員になっていただいて、次に有料会員という設計になってるんですけれども。
今後は、チャットボットという記憶に残る顧客体験をしてもらったうえで、そこへ実際に購買に至るまでのスピードや、有料会員への転換率といった数字がついてくるかどうかというところに、注目しています。」
『BOTCHAN for LP』は、一度Faceook広告上でクリックさえされれば、そのあとは期間無制限で、ユーザーと対話をしたり、プッシュ通知を送ったりすることができます。
ユーザーの顧客体験を向上させながら、常に接触もし続けられるという、新しい広告概念です。
ご興味あるかたは、ぜひお気軽にお問合せください!
お電話でのお問い合わせはこちら↓
03-5766-8877
『BOTCHAN for LP』の詳細HPこちら↓
http://lp.botchan.chat/
【登壇者紹介】
・籭 健太(とうし けんた)
ビズメイツ株式会社 取締役CMO(最高マーケティング責任者)
2000年、大阪工業大学経営工学部を卒業後、金融業界を経て、2008年に大手旅行サイトを運営するベンチャーリパブリックに入社。マーケティング部門の統括責任者を務め、サーチエンジンマーケティング・マス広告のメディアミックス戦略で業界トップクラスの成長率達成に寄与する。2014年8月、同社を退社。同年9月にビズメイツ株式会社の取締役 Chief Marketing Officerに就任。ビズメイツ社のHPはこちら→https://www.bizmates.jp/
・岩上 貴洋(いわかみ たかひろ)
株式会社GIG 代表取締役
学生時代、モバイルマーケティング、ITベンチャー企業数社に参加する。 在学中からアーリーステージを対象とした独立系投資会社にて、投資業務、コンサルティング業務に従事。2007年、株式会社LIGを創業し代表取締役就任。 システム開発、デザイン制作、コンテンツマーケティング、シェアオフィス事業を展開し100人規模に成長させる。
2017年4月株式会社GIG創業。HPはこちら→https://giginc.co.jp/
『BOTCHAN for LP』を扱っているChatbot事業部では、AIに関する新規メディアをローンチ予定です。
ご興味ある方は、ぜひお気軽にご連絡ください!
株式会社wevnal's job postings