ユーステラBOOTHの総売上・VRC向けアバターの外注方法ほか4本立て特別号[VRChat Advent calendar2022-DAY14]
記事を書いた人(VRChatプレイ時間12,000時間弱)
しらとりこよみ Twitter@ko_shiratori
当記事はがとーしょこら様主催のVRChat Advent Calendar 2022 DAY14の記事となります。
今回は長文となることが予想されるため好きな場所へジャンプできる目次をご用意いたしました。
また、スマホからだと非常に読みづらかったためPCでの閲覧を推奨します。
総文字数15,036字になります。
目次
序章 まえがき
1章 アバターの外注方法と売上
2章 キャラクターの育て方と媒体
3章 会社の建て方と向いている人
4章 アンチファンに対する対応
5章 あとがき
まえがき
VRChat Advent CalendarにはVRCを始めてから毎年参加しております。
2019-2020-2021と書いて今年で4年目です。会社を創業したのも同時期の2019年です。
年を締めくくるイベントの一つとして自分の中で定着しており、1年を振り返るにはもってこいの企画です。
さて、今年は例年に増して色々あった年でございました。
音声作品の作り方とか書いても良かったのですがこれはあくまでも”VRChat”アドベントカレンダー。
目次の通りに今年の記事はVRChatに関する記事4本建ての大盤振る舞いで提供してまいります。
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1章 アバターの外注方法と売上
まずは事前アンケートで[全部書く]の選択肢を除き1番票数が多かったアバターの作り方と売上についてです。
フィーちゃんは関わっている方が多く、説明が煩雑になる可能性がございますのでここではリルク君を例に進めていきます。
前提条件
今回の作り方はあくまで1例に過ぎません。
また、当記事は2022年作成のため情報が古い場合もございます。
企画者は特別な知識な能力を持たず、全ての工程を外注にて行う想定で書き進めていきます。
私自身はアバター制作に関する特別な知識を持ちあわせていないため、間違った箇所等もある可能性がございますのでご了承ください。
ここでは販売想定で記事を書き進めていきますが、ワンオフ想定であっても特に違いはないのでどちらのケースでも参考になれば幸いです。
1:二面図・三面図を用意する
まず最初に用意するのは二面図もしくは三面図です。
二面図の場合は「前と後」の2パターンが見えれば問題ないです。
(※前と横の二面図の依頼などはしないように注意します[1敗])
キャラクターデザインの仕様書はイラストレーター様によって細かい指示があった方がいい・全部こちらに任せてほしいなど違いがございます。
具体的なイラストがあった方が嬉しい人だったり、具体的なイラストがあると先入観で引っ張られてしまうから欲しくないと言う人もいます。
最終的には慣れですが、イラストレーター様とご相談しながら進めていくと良いと思われます。
そのため、イラストの絵柄が好きだったりコンセプトに合っているからといって必ずしも良いマッチングになるとも限りません。
ソルシエル シリーズにつきましてはキャラクターデザインの全てをだるだなさん(Twitter:@jonhamu)に一任しております。
ソルシエルの仕様書としては「VRChat向けアバター用のデザインで、どれか一つでも好みのアバターに出会えるように多種多様なコンセプトの可愛い感じのキャラデザ」でご依頼しております。
また、3Dに起こすための三面図の場合の注意点として「3Dに書き起こした際に破綻しやすい箇所はないか・物理機的に再現できない箇所はないか」をチェックする必要がございます。
リルクくんについては原案デザインを優先するために多少無茶なお願いをしております。
そのため、キャラクターデザイナーさんには最低限の3D知識があるとなおのこと良いです。またVRChat向け3Dモデルを作成される場合はVRCに関する知識とログインできる環境もあると良いです。ない場合は3Dモデラーさんと打ち合わせながらをお勧めします。(∞敗)
完成したリルクくんの二面図がこちらです。
2:3Dモデラーさんに3Dに書き起こしてもらう
次に3Dモデラーさんに3Dに書き起こしてもらいます。
3Dモデラーさんとキャラクターデザイナーさんが同一の場合は1と2が同じ人になります。
3DモデラーさんがVRChatを未プレイの場合は、アカウントを取得していただくことを推奨します。
また、可能であれば報酬に上乗せする形でVRヘッドセットをお渡しするのも十分に良いと思われます。
これはUnity内での挙動とVRChat内での挙動(特にフルトラッキング)は大きく異なるためでございます。
3DモデラーさんがVR機器を持って居ない場合、写真や動画のみで判断する必要が出てきます。
3Dモデラーさんの目線(Unity)から見れば問題なく動いているけど依頼主からの目線(VRChat)で見れば挙動が異なって見えてしまいお互いの意見に食い違いが起こってしまいます。
また、VRChatにはリップシンクシェイプキーの追加やVRC向け法線調整・フルトラ適性・ポリゴン制限・ボーンの置き方など通常の3Dモデル制作に必要がない場合もある追加仕様がございますので併せて注意が必要です。
著者が浅薄のためここでは詳しく語れませんが、作成方法につきましてはブラウザ検索すれば無限に出てきますので、その記事が最新情報で間違い無いかだけチェックして参考にしていくと良いと思われます。
これは全ての職種に言えますが、3Dモデラーさんによっては完成するまで見せたくないという方もいらっしゃいます。
私の場合は話し合いながらマイルストーンを設定してこのタイミングで一度見せてとお願いしますが、これもまた3Dモデラーさんとご相談ください。
3:テクスチャの作成
基本的に2と3は行き来しながら進行されます。
テクスチャについては特に書くことがないのですが、VRChat3Dモデルは改変前提で販売されることが多いので改変しやすいようなレイヤー分けにすると良いかもしれないです。
細かすぎても使いづらいですし大雑把すぎても改変したくない箇所まで色が塗られてしまい困ることになります。
色改変用レイヤーはPSDに保存しておくのはもちろんPNGで別途書き出しておくとpsdを開くことができないお客様へも対応ができて良いです。
一見面倒に思われるかもしれないですが、色変えPNGは更新するリスクが少ないので作業の息抜きに出力するのをお勧めします。
また全てのデータに対して言えますが、特にテクスチャデータはお客様も多用するため分かりやすいデータ名にすることをお勧めします。
こちらにつきましては3Dモデラーさんとテクスチャ担当さんからご提示いただけると思いますが表情のシェイプキーを幾つ実装するのかどんな表情を実装するのかも決める必要がございます。
完成した時にどう言う表情を組み合わせ使いたいかなども想定しながら考えていくと良いと思われます。
リルクくん追加髪型では髪型変更のブレンドシェイプキーやメッシュ込みの髪色差分を同梱しています。
完成した3Dアバターがこちらです。
ここでは二面図から一気に完成まで飛んでいますが、実際には3Dに起こした際の違和感や2Dイラストの細かな再現忘れなどイラストレーターさんと3Dモデラーさんの綿密な打ち合わせと修正を繰り返しての完成となります。
また、3Dモデリングで難しい箇所を2Dテクスチャで対応したり、逆も当然ございます。
3:PB(PhysBone)セットアップ
次に行うのがPBセットアップです。
PB対応についてもテクスチャ同様特に書けることはございません。
3Dモデリングやテクスチャと違い、PBはVRChat独自機能のためご依頼先につきましてもVRChatに関する知識を多く持っていると思われます。
実際にPBやってみたらどう頑張っても破綻を回避できないなどの問題が出てきます。
フルトラの予測しうるすべての動きに破綻しないように対応するなんてのは完璧な陰影をつけた1セント硬貨と同じくらい無謀な話です。
予防策としてはやはり3Dモデリング段階でPB担当者さんと3Dモデラーさんとイラストレーターさんで綿密な打ち合わせが必要になってきます。
ロールバックできない段階まで制作が進んでしまっているならば、妥協点を探すかコンストレイント/補助ボーンなどで対応してく形になります。
余談になりますが「持続可能なアバター製作」という一点に関して言えば、PB対応が始まった時点でVRChatアバターの製作をやめるべきだったと考えてます。
DynamicBoneと違い参考記事が上がってるわけでは無いので全てが手探りで進んでいきます。
また、すべての既存アバター・衣装にPBを再設定していくとなると新技術の為もあり異常な費用がかかってきます。
PBを再設定すれば別の箇所で競合エラーが発生するので修正のための修正費用もまたかかってきます。
外注である以上は費用が発生している為、こういうことできるんじゃないか・これ実装するにはどうしたらいいんだろうかという実験的な挑戦も難しくなります。
リルクくんの場合はDynamicBoneでは実装できなかったほっぺが揺れるボーンなどを実装しております。
4:パーティクル作成
私はPBが完成したこのタイミングでパーティクルを作成しております。
PBの前だとデータ変更の可能性がございますし、VRCセットアップの後だとExpressionメニューの登録など二度手間が生じます。
パーティクルの作成についても特に書くことはないです。
アバターにパーティクルをつける場合つけられるだろう箇所・機能はいくつかございます。
例えばフィーちゃん+DLCですと「背中の羽・歩いた時の軌跡・ヘアバッジが光る・ケーブルから火花が散る・目が光る」などなど。
ここにこういうのあったら綺麗なのにというパーティクルならでは再現可能な案をまとめてパーティクル担当者に渡してみると良いと思われます。
リルクくんの場合はパーティクルでマイクが現在オンなのかオフなのかを判別できるギミックを搭載しております。
5:VRChat用セットアップ(Expression機能の作成等全てを含む)
最後の工程です。
VRChatセットアップをしていきます。
こちらもVRChat独自機能のためご依頼先につきましてもVRChatに関する知識を多く持っている前提で進めていきます。
VRChatセットアップをする際に依頼主から指定する箇所で言うと一番はExpressionメニューについてと思われます。
リルクくんでは下記のExpression機能を実装しております。
此の程のアバターには多くの機能が実装されておりますが、多ければ必ずしも良いわけではなく個人的にはメインメニューが2ページ以内に収まるくらいが理想的だと考えております。
また、アバター改変の際にメモリ不足になる可能性を考慮してExpression機能ありとなしの2パターンprefabを用意しておくと良いかもしれないです。
表情についてもハンドトラッキングに設定するテンプレートをここで確定する必要がございます。
VRCセットアップ担当さんに任せてもいいと思いますが表情設定は教われば誰でもできますし、何よりアバターの第一印象となり得るのでご自分で設定されることをお勧めします。
注意点としては右手と左手で表情を競合するように設定するかしないのか、目を閉じた表情の時に瞬きしないように競合設定をする(∞敗)などになると思われます。
よく使われる表情にするのも当然良いですが、そのアバターにあった表情かどうかで判断するのも時には良いと思われます。
リルクくんの設定はタクティカル男の娘(山犬) のため、それに合った表情を設定しております。