■予測は「神業」若者の接種伸び悩みワクチンが大量に余る

ワクチンは、国が市区町村の人口を基に供給する上限を定めます。市区町村はどれほどの住民が接種するかを予測して必要な数量を国に要求し、1~2か月後に届けられる仕組みです。自治体は前回の接種でいつ何人が打ったかといったデータや、感染状況などを基に予測するといいます。
3回目接種では多くの自治体が十分な量のワクチンを確保できましたが、対象者が拡大してから接種ペースが落ち始めました。自治体担当者は「想定外に若者の3回目接種率が低かった」と口を揃えました。
予測に反してワクチンが打たれず、大量のワクチンの在庫を抱え込んだまま5月になりました。自治体によっては数万回分のワクチンの有効期限が目前に迫り、未使用のまま廃棄する可能性も出てきたのです。
A自治体の担当者
「先のことを予測して余らせないようにするのは『神業』。ワクチンは数か月前に国に申請しなければいけないが、もらった時に世の中どうなっているかなんて分からない」
B自治体の担当者
「接種対象の住民が100万人だとしたら、接種率が5%下がっただけで5万人の誤差が出る計算になる。初回接種の経験を踏まえても過不足なくワクチンを用意するのは不可能」
同じ5月には4回目接種が開始。余り始めたワクチンを抱える中、別の問題が浮上します。4回目は対象が基礎疾患がある人と60歳以上の人に限定され、基礎疾患がある人をどうやって把握するのか、自治体は頭を悩ませました。B自治体は申請した人に接種券を配送する方式を取りましたが、申請なしで全ての住民に接種券を配る自治体もあり、住民からは苦情も…。
B自治体の担当者
「住民から『なぜうちだけ接種券が届くのが遅いんだ。自治体の怠慢だ』と苦情が来た」