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この作品「白冽のマリスガイン 第2話 準備」は「オリジナル」「一次創作」等のタグがつけられた作品です。
白冽のマリスガイン 第2話 準備/レジェメントの小説

白冽のマリスガイン 第2話 準備

2,468文字5分

「もし本当に、子供の操縦する、ワンオフの、人型巨大ロボットが、現代の地上で動いたら?」

注意事項などは第1話の説明文を参照してください。

2022年12月30日 09:11
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 優鑠ゆうとがロボットのアクターに応募してから2週間が経った。あれからテスト週間・学年末テストがあり余裕の無い日々が続いていたが、今はそれも終わって通常日程に戻っている。部活は案の定コロナにより休止となった。優鑠のテストの出来は「最善を尽くせた」といったところらしい。

 そして今日、予定通りならアクターの一次審査の結果が学校に通知される。優鑠は先生からの報告を心待ちにしていた。


 ……が、いつまで経っても先生から何も言われない。帰りのSTが終わり、後は皆で挨拶して下校するだけだ。
 もしかしたら、審査の結果が不合格で、アクターの事は忘れるよう気を遣って何も言わないでくれているのかも。そう考えながら優鑠は挨拶し、最後の悪あがきとばかりに机で荷物を弄りだした。


「夏目さん、学年室に来てもらっていいですか?」

 担任の石川先生が声を掛けてくる。その晴れた表情を見て、優鑠は自分が一次審査に合格した事を察した。

「はい! 分かりました!」

「……優鑠受かったんか! 良かったな」
「うん」

 後ろに居た龍之介が、他の子に聞こえないようヒソヒソ声で祝ってくれた。

 JACEIRAジャセイラの公式サイトには、なぜか「アクターへの応募・各審査の合否・本採用は、周囲に秘匿し必要な人のみで情報共有すること」と注意が書いてあった。
 優鑠は、公式サイトを見る前に応募の事を話した龍之介や七海たちに、他の子には内緒にするようお願いした。親にも言いふらさないよう釘を刺した。学校の先生も、石川先生と校長先生しか優鑠の事を把握していない。



 優鑠が嬉しそうにしながら学年室へ入る。

「夏目さんおめでとうございます。一次審査に合格したと電話がありました」
「よかった~。全然報告が来ないから落ちたのかと思いましたよ!」
「ごめんなさいごめんなさい。途中で教えると授業に集中できなくなると思って言わないでおいたんです」
「いや~ビックリした~」


「校長先生の言ってた通りでしたね」
「何がですか?」
「写真の髪型の事ですよ」
「ああ」
「つまり団体の人は、『髪型がアレだから』って理由で落としたりはしないまともな人達って事です」
「私は危なかったと思いますけどね……」
「あっ、校長先生にお礼言わないと! 先生も、書類の用意や所見を書いてくださりありがとうございました!」
「まだ一次審査を受かっただけですよ。そんなに逸らないでください」

 先生が落ち着かせるように優鑠の肩を軽く叩いた。


「それで、早速二次審査の日程の話が来てるんですけど」

「一次審査に受かった人を、26日土曜日か27日日曜日のどちらかに振り分けて1日かけて行うらしいです。なので、その2日間の予定の空き状況を教えてほしいと言われてます。場所は刈谷です」

 26日・27日は来週の土日だ。

「僕はどっちも用事無くて大丈夫ですよ」
「分かりました。じゃあそう伝えておきます」

「でも…… コロナ大丈夫ですかね?」
「そうですよね怖いですよね」

 今は新型コロナウイルス第6波の真っ只中だった。過去最大の流行規模、変異株も感染しやすい物になっているというので、できれば外出・遠出は避けたい。

「リモートじゃダメなのかな」
「う~ん……。ロボットは一大プロジェクト。企業秘密や極秘技術が含まれているでしょうから、それを守れる人間か、関わらせていい人間か、人選はしっかりやりたいのかもしれません」
「まあ仕方ないですね。気を付けます」


「二次審査って何やるんですか?」
「面接と、適性検査と健康診断と言ってました。あとロボットの実物を間近で見せてもらえるそうですよ」
「やった」

「で、夏目さん……、面接の練習します?」
「先生練習に付き合ってくれるんですか!? お時間とか……」
「もちろん。夏目さんにアクターになってほしいですから。ただ、どういう形式でやるか分かりませんし、質問も基本的なものしか想像つきませんので、面接の基本のキだけの練習になりますよ」
「お願いします!」



 その日から、優鑠の二次審査に向けた面接練習が始まった。入退室の動作、椅子の座り方、挨拶、言葉遣いなどを、高校入試を控えた三年生の先輩達と同じように練習する。それらは普段から役に立つ内容だった。校長先生も面接官役を務めてくれて、本当にありがたいと優鑠は思った。
 アクターの志望動機など、面接での回答を考えるのにJACEIRAの事やロボットに使われている技術を知る必要があったため、それらも調べた。テストが終わって時間には余裕がある。適性検査もクレペリン検査しか受けたことがないので、企業で行われている物がどういう種類・内容なのか確認だけした。





 優鑠は今日も友達とApex Legendsを遊ぶ。最近は発売されたモンスターハンターライズも熱い。
 「趣味は何ですか」と面接で訊かれたらゲームと答えるつもりだ。小説やラノベも趣味に答えられるぐらい読むので、普通はそっちを答えた方が印象は良いだろうが、優鑠としてはゲームが趣味一番手で譲れなかった。


「今度の休みさ~、うちで2人で遊ぼうよ優鑠~」

 Apexのマッチの合間に女の子から誘われた。今一緒に遊んでいる子達は、優鑠がアクターに応募した事を知らない。

「ごめーん、次の土日は予定あるんだ」
「え~」
「というか今コロナヤバいからリアルで集まるのはまずいよ」
「そうだよ今はやめとけ」
「はーい」

 と言ってもその土日のどちらかに自分は刈谷へ出掛けるのだが。


 後日、優鑠の二次審査は26日土曜日に決まった。前日学校に行った調子のまま臨むことができて良いと、優鑠は考えた。面接の練習も十分している。後は、変に緊張しておかしくならないよう、粗相のないよう気を付けたい。





― 第2話 終わり ―

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