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2022.12.29

ガーシーへの国策捜査開始は「異物排除」が目的だった…突然「司法の総意」が襲った理由

すでに検察への根回しは済んでいる

警視庁捜査2課が、NHK党のガーシー(本名・東谷義和)参議院議員(51歳)に、任意の事情聴取に応ずるよう要請していたことが判明した。

ガーシー氏は暴露系ユーチューバーとして、歯に衣着せぬ語り口が受けていたものの、「ガーシーch」というYouTubeを始めた今年2月から過激過ぎる内容のためにBAN(凍結)される今年8月までの間に、攻撃対象とした複数の著名人が刑事告訴し、それを受理した捜査2課が出頭を求めた。

通常の捜査なら、「被害者がいて告訴がなされ、法に抵触する可能性が高いから当局として着手した」という流れである。

オンラインサロン「GASYLE」を通じての暴露は続く

だが、ガーシー氏には国会議員という身分があり、国会会期中なら逮捕されないという不逮捕特権もある。さらにSNS時代を象徴する政治家という「立ち位置」があり、今後の選挙や政治の在り方に影響を及ぼすという意味で、捜査着手には高度な政治判断も求められた。

こうした「政治絡みの案件」に詳しい検察OB弁護士が解説する。

「国会議員を捜査するんだから検察への根回しは済んでいる。三木谷(浩史・楽天社長)や木原(誠二・内閣官房副長官)といった有力者も攻撃対象としていたから、内閣官房に連絡もしているだろう。ガーシー当選がある種の社会現象だということを考えれば、その捜査には慎重でなければならない。本格着手した段階で国策捜査となる」

本人が著書の『死なばもろとも』(幻冬舎)で明かしているように、ガーシー氏は昨年12月17日、ポケットに110円しかない状態で片道の航空チケットを購入してアラブ首長国連邦のドバイに出国した。

“逃亡”の理由は単純で、ガーシー氏は闇カジノなど違法賭博にハマって3億円以上の借金を抱えたうえ、韓国人気アイドルBTSに会わせるという名目で詐欺を働き、被害者が警察に相談しており、捜査が迫っていた。

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〈逮捕したくてもできんように、ガラ(身柄)をかわそう。逃げるんや。それもうんと遠いところへ〉(『死なばもろとも』)

今は、被害弁済が済み、詐欺事件として捜査されているわけではない。しかし、無一文からの出国から約半年で国会議員となり、そのまた半年後に「国策捜査」を受ける立場となった。その鮮やか過ぎる変化に、われわれは時代を重ね合わせるべきだろう。

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