「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。

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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。

喜びの日

竹内 修一 神父

今日の心の糧イメージ

 「子供を授かってから最も変わったのは、私の心。‶自分のいのちより大切な存在がある〟と気づいたこと」ーー友人の一人が、そう年賀状に記していました。

 いのちの誕生は、喜び。それは、いのちといのちの出会いの喜びです。そこには、静かな響き合いがあります。それは遠い昔、ベツレヘムで起こったあの静かな出来事につながります――イエスの誕生。

 この誕生は、すべてのいのちを寿ぎます。それはやがて祈りとなり、感謝の心を育みます。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」。(1テサロニケ5・16~18)しかし、それは、私たちの人生には何の悩みも苦しみもない、ということではありません。むしろそうでないからこそ、そう語られます。

 私たちは、実際、さまざまな悩みや苦しみを経験します。

 しかし、イエスはこう語ります――「思い悩むな。」

 大切なのは、一人でそれらを抱え込むのではなく、お互いに気遣い合い支え合うこと。

 「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」(ローマ12・15)――そうパウロが語る時、きっと彼は、それまでの自分の体験を思い起こしていたでしょう。

 かつて彼は、キリスト者の迫害者。その彼が、復活したイエスと出会います――回心。新たないのちへの再生です。イエスの招きに応えた彼は、新たな希望を確信します。

 「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです」と。(ガラテヤ2・20)

 神の営みは、不思議です。聖母マリアの胎内で、静かに響き始めたあの孕みの音は、今もなお、私たちの心の奥深くで鳴り響いています。それに合わせて、私たちは祈ります――「あなたの僕の魂に喜びをお与えください」。(詩編86・4)