事業所・関連施設

美浜発電所だより

2016 vol.88 美浜発電所だより
平成28年11月28日発行

美浜3号機 新規制基準適合性審査に関する状況について 運転期間60年の「運転期間延長認可申請」について認可をいただきました

 平成28年11月16日、美浜3号機は、新規制基準に基づき、運転期間を60年(平成48年までの運転)と想定しても十分に安全が確保されることが確認され、昨年11月に申請していた「運転期間延長認可申請」について原子力規制委員会より認可をいただきました。
 これで、審査期限までに必要な「原子炉設置変更許可申請」(10/5許可)、「工事計画認可申請」(10/26認可)、「運転期間延長認可申請」(11/16認可)の全ての申請について、許認可をいただくことができました。許認可にあたり、ご支援いただきました美浜町の皆さまに心よりお礼申し上げます。
 今後は、安全対策工事の詳細な内容やスケジュールについて検討し、皆さまのご理解を賜りながら、早期の再稼動に全力で取り組んでまいります。

美浜3号機再稼動までに必要な手続きのイメージ

美浜3号機 再稼動までに必要な手続きのイメージ

  • ①原子炉設置変更許可申請---原子炉施設の設置に係る基本設計及び体制の整備等の基本方針を変更するための申請。
  • ②工事計画認可申請----------原子炉設置変更許可申請において許可された原子炉施設の詳細な設計を取りまとめた申請。
  • ③保安規定変更認可申請-----原子炉施設の運転管理や手順等を定めた保安規定について、その内容を変更するための申請。
    (運転開始までに原子力規制委員会の認可が必要)
  • ④運転期間延長認可申請-----発電用原子炉を運転開始から40年を超えて運転する場合に特別点検の結果等とともに、原子力規制委員会へ提出する申請。
    原子力規制委員会の認可を受けた場合は、1回に限り最長で20年の運転延長が可能。
  • ⑤特別点検------------------原子炉容器や原子炉格納容器等の設備の劣化状況を確認する、運転期間延長認可申請に必要な点検。
  • ⑥使用前検査-----------------認可を受けた工事計画どおりに製作、設置され、所定の機能・性能等を有していることを、記録または実運転により確認する検査。

美浜3号機の40年超運転の取組みについて

原子力発電所は何年運転できますか?
以前は、法律など原子力発電所の運転期間を定めたものは、ありませんでした。現在は、法律が改正され、運転期間が40年とされていますが、原子力規制委員会の認可を受けることで、加えて最長20年延長できるしくみとなっています。

●福島第一原子力発電所事故前

原子力発電所の運転期間を定める法律などはありませんでした
約1年ごとの定期検査や運転開始後30年目から10年ごとに重要な機器等に対し、運転期間を60年と想定した健全性評価を行って、国の審査を受けることで運転を継続するしくみとなっていました。

●福島第一原子力発電所事故後

法律により、原子力発電所の運転期間が40年とされていますが、加えて最長20年延長できるしくみとなっています
40年を超えて運転する場合は、原子炉容器、原子炉格納容器やコンクリート構造物について、設備の劣化状況を確認する「特別点検」を実施し、その「特別点検」の結果等を踏まえ、「運転期間延長認可申請」を行い、原子力規制委員会の認可を受けることで、最長60年運転することが可能になります。

美浜3号機はきちんとメンテナンスされているのですか?
発電所全体の設備を把握し、毎日、1年、10年ごと等、計画的に点検や検査、評価を行うことで安全性を確認しています。

日々の点検

さまざまな診断技術で異常の早期発見に努めています(例)対象設備ごとの診断技術

日々の点検

約1年ごとの点検(定期検査)

機器を分解し、細部まで確認しています
重要な機器は分解し、部品の細部まで確認の上、適宜取替えています。

安全上重要なポンプの分解作業
安全上重要なポンプの分解作業

蒸気タービンの分解作業
蒸気タービンの分解作業

10年ごとの評価(定期安全レビュー)

最新技術や他の発電所のトラブルから得られた教訓・再発防止策などが適切に反映されているか評価・確認しています

30年目以降10年ごとの評価(高経年化技術評価)(長期保守管理方針)

長期的な経年劣化の予測、分析、評価も実施しています
運転開始後30年目から10年ごとに、運転期間を60年と想定した長期的な経年劣化を予測、分析、評価し、これまでのメンテナンスの妥当性の確認とともに、安全性が十分確保されることを確認しています。(高経年化技術評価)
また、評価の結果を保全活動に活かしています。(長期保守管理方針)

30年目以降10年ごとの評価

40年間、設備の更新は行われていないのですか?
通常のメンテナンスに加えて、予防保全の観点から、機器の取替えを実施することで、高い安全性を維持しています。

美浜発電所3号機における大型機器取替えの例(写真は他発電所の取替え時の様子を含む)


美浜発電所3号機における大型機器取替えの例

蒸気発生器取替えの様子
①蒸気発生器取替えの様子

高圧給水加熱器取替えの様子
②高圧給水加熱器取替えの様子

大型機器以外に、ポンプや配管等についても適宜取替えています。
配管取替えの様子
配管取替えの様子

さらに、取替えが難しいものは特別点検で安全性を確認しています。

特別点検

なぜ40年を超えて運転する必要があるのですか? 
エネルギー資源が少ない日本において、多様なエネルギー源をバランスよく組み合わせることが必要であり、原子力発電は、日本が抱える諸課題の解決に貢献する優れた電源です。そのため、将来にわたって原子力発電を活用していくことが重要であり、安全性の確保を大前提に40年を超えた原子力発電所の運転が必要だと考えています。

日本が抱える3つの課題

原子力発電の特徴

エネルギーの安定供給
  • ○原子力発電の燃料となるウランは地理的に偏りがなく世界に広く分布しており、安定して調達できる
  • ○火力発電などに比べ燃料の必要量が極めて少ない
  • ○ウラン燃料は使用後も9割以上は再利用可能
経済性
  • ○火力発電に比べて発電コストが安価であり、燃料の価格変動を受けにくい
環境保全
  • ○発電時にCO2を排出しない

国の定めるエネルギー基本計画(2014年4月制定)では、原子力は「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられ、2015年7月に策定された長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)では、2030年度における原子力発電の割合については一定割合(20~22%)を確保することが明記されました。

このまま現存する全ての原子力発電所が40年で運転を終了すると、2030年頃に、原子力発電の割合は約15%(※)となり、20~22%を確保できないことから、エネルギー需給の課題解決に影響を及ぼします。
※原子力発電所の稼動率を80%と想定し、発電電力量を算出した場合

美浜3号機では、設備の適切な保全や、計画的な取替・補修等により40年を超えた運転について安全上問題がないことを確認しており、原子力規制委員会より運転期間を60年と想定した運転期間延長について認可をいただきました。
当社は、資源が乏しい我が国において、将来にわたって原子力発電を一定規模確保するためにも、安全性の確保を大前提に40年を超えた原子力発電所の運転が必要だと考えています。

社外有識者を主体とする「第11回原子力安全検証委員会」を開催しました
「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の実施状況」等について審議いただきました。
 当社は、平成28年11月14日に、本店にて社外有識者の方々を主体とする原子力安全検証委員会(※)を開催しました。
 委員会では、「美浜発電所3号機事故の再発防止対策の実施状況」等について審議していただき、委員の方からは「地元の方々に取組状況を分かっていただくことは大切であり、引き続き、進めていただきたい」等のご意見をいただきました。
 当社は、今後も社外有識者の方々からのご助言をいただきながら、原子力発電のたゆまぬ安全性向上に取り組んでいきます。
※原子力安全検証委員会・・・「美浜発電所3号機事故再発防止対策」「原子力発電の自主的・継続的な安全への取組み」「安全文化醸成活動」について検証・助言をいただくための社外有識者を主体とした組織
企業情報