上田鈑金工業株式会社

食品業界から鉄道業界まで

上田鈑金工業株式会社について
大阪府吹田市に昔ながらの板金加工メーカーがある。

上田鈑金工業株式会社だ。

食品業界から鉄道業界まで、はば広い業界に対応。

昔ながらの溶接技術を強みにして。

今回は代表の上田浩司氏にお話を伺っていきました。
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快く取材を引き受けていただき、ありがとうございます。まずは、御社の事業内容や強みを教えてください。

上田氏

弊社のメインのお客さまは、基本的に鉄道関係の会社と電力関係の会社が多いです。
ただ、つくっているものがどこに使われているのか正直わからないことが多々あります。
いただいた図面を、その通りにつくって出しています。
正直、採算さえあえば、どんな仕事でもきちんとやる。
採算が合わないなら、お断りする。
そのような形で事業を展開しています。
ですから、昔からいただいている仕事も値上げの交渉をさせてもらって応じてくださったものは続けています。
価格に関しては、とても厳しくやっています。
その関係か、弊社のお客さまは絶対にで値切ってきませんね。
値切ったら、上田さんのところはやってくれないってわかっているんでしょうね(笑)

鉄道は関西が中心ですけど、中国地方や関東地方のものも手がけていました。
かなり古くからのお付き合いがあります。
一番長いところは、もう45年のつきあいはありますね。
それ以外の会社さまも図面を見たら、どこの鉄道かもわかるようになってしまいましたね(笑)


ありがとうございます。御社とエンドユーザーさまとの間に何社か企業が入っていたりされているのでしょうか。

上田氏

そうです。
図面が来ますよね。
その製品の中にその部品が載っているのですが、何に使うか正直わからない。
例えば、図面に無線制御装置って書いてある。
でも、実際にどのような部分に使われているのかわからない。

もちろんわかるものもあります。
これは、飲食系でソフトクリームをつくっている会社さんのもの。
昭和35年くらいから手がけています。
こちらは、東海地方で有名なラーメン屋さんのもの。
これも古くから手がけていますね。

弊社は、クレーンがないので大きいものができません。
ですから、割と小さめのものが多いです。
先ほど述べた無線関係であったり、配電盤だったりですね。

ありがとうございます。御社の沿革や継がれた経緯などをお伺いさせてください。

上田氏

弊社は、創業が昭和27年です。
今年で66年になります。
もともとは、父が創業して、私の弟が継ぎました。
ただ、弟が早くに亡くなってしまったので、私が帰ってきて継ぐことになりました。
従業員もいましたし、お客さまも沢山いましたから、自分が継ぐしかないなと思いまして。
そういう運命だと思って従いました(笑)

弟が亡くなったあと、弟の嫁が1年間ほど社長をやっていたんです。
でも、ある時に相談に来て、「お兄さん、もう会社辞めようかと思います。できたら、お兄さん帰ってきてもらえませんか」って言われました。
その時、私は48才で、信用金庫の次長をしていました。
どうしようか迷って、家内に相談したんですけど、「あなたが決めたら?」って(笑)
それから、20年経ちましたね。



継がれたばかりの頃は、 図面を一つ読むのも大変だったのではないでしょうか。

上田氏

継いだばかりの頃は本当に大変でした。
CADで図面読むのも、それまでしたことがなかったですから。
でも、できないわけにはいきませんから、毎晩遅くまで勉強していました。
それでも、最初の1年くらいは全く読めないし、分からないんです。
今思えばつくったことがなかったから、全然イメージが湧かなかったんですね。
組立てるものも全然わからない。

ですから、従業員に聞きながら、勉強して、実際にものをつくってみる。
そういうことを最初の1年はしていましたね。
自社で手がけている製品のことを覚えるのも大変。
注文が来ても、何かわからない。
しょうがないから、全部写真撮ってファイルにまとめたりしていました。
今から振り返ったら、我ながらよくやったなと思いますね。
本当に必死でやっていました。

私は、もともと信用金庫を辞めてここに来たんです。
でも、子どもの頃から長く手伝わされているので、基本的な中身はわかっている。
事務所仕事もわかっていました。
ですから、仕事自体にはすっと入っていくことができましたね。
CADとか図面も大変でしたけど、苦痛ではなかったです。
やっているうちに、だんだんと覚えていきますし。
仕事もだんだんと速くなっていきます。
そうしたら、どんどん面白くなっていきますよね。

前職の時は、会社にいくのがしんどいと思っていましたが、ここには毎朝ルンルンで来ます。
実際に、20年続きましたしね。
家にいるより会社にいる方が調子がいいかもしれません。
ですから、家内に土曜日でも会社に行くように言われますよ(笑)


ありがとうございます。御社で働かれている人の部分について伺わせてください。

上田氏

今、従業員が3名ですね。
私より年齢が上の人も、もちろんいます。
中卒で今年54年目のような人間。
今年で70才になるような人です。
四国から出てきた人間です。
どんな会社であれ、50年以上も同じ会社に勤められるというのはすごいものだと思います。
私が来てから一度も休んでいるところを見たことがありませんね。

もう一人が、一番若い人間で45才です。
私が、戻ってくる前からいますから、もう25年くらいいるはずです。
もともと別の会社で働いていたのですが、そこの社長さんが高齢で会社を畳まれたので、弊社に来ました。
高校を卒業してから、ずっとこの業界にいますから、長いですよね。
ですから、結局私が一番新米なんですよ。

なるほど。話が少し戻るのですが、図面をもらえれば、きちんとした製品をつくれるというのは信頼いただいている証拠ですよね。

上田氏

そうかもしれませんね。
弊社は、見積りをだしてくださいとお客さまに言われることも、まずないですね。
一番大きい取引先は3年に一回くらいは、見積りを出してほしいと言われる。
でも、それくらいで、新規であっても見積りをだすことはまずありませんね。
納品する際に、伝票に値段を書いて、「これだけかかりました」ってやり方でやっています。
お客さまも「はい、わかりました」で、それ以上のことはないです。
弊社は、適正な価格でやっていますし、できないのであれば先ほど申し上げたように、お断りしています。


お客さまにも満足いただいている。

上田氏

そうですね。
これまで、トラブルというトラブルはありませんでした。
確かに、図面だけもらって、ものをつくって納品して何のトラブルもないというのは難しいかもしれません。
ただ、弊社ではそのようなトラブルはありませんでした。
精度もきちんと出していますし。
あとは、それで価格も安ければ問題がないのでしょうが(笑)

弊社は、納期にこだわりをもっているんです。
いただいた納期より、2日前に納品できるようにしています。
そうしないと、何かあった際に対応できませんから。
納品したあとの検品の時点で、「ここの寸法を間違えていました。直してください」と言われても対応できるようにしています。
そういう点でも、満足いただけているかもしれませんね。

ありがとうございます。今までで困難だった案件や、苦労されたお仕事などございましたら、お伺いさせてください。

上田氏

沢山ありますね。
板金って難しくて、大きいから高いとか小さいから安いとかいう風に価格が決まりません。
特に溶接が入ってくると難しくなってきます。
溶接をするとひずみが生じることがでます。
そうすると、そのひずみを取らないといけません。

その分、コストがかかります。
これを見てください。
綺麗にできているでしょう。
私が外から全部溶接で手がけました。
普通のやり方ではこんなに上手くいきません。
波打ったりします。
こういう溶接の技術をもっている板金屋さんは本当に減ってきました。

アルミの溶接なんかいい例です。
弊社は、みんなできます。
でも、他社ではできないところが多いです。
溶接の技術が失われてきているんですね。
弊社はアルミもするし、銅の溶接もします。50年選手がいるんですけど、今も現役で何でもします。


ありがとうございます。最後に大きな質問になってしまうのですが、板金業界全体や金属加工業界全体の課題などございましたら、是非お伺いさせてください。もちろん、御社の課題でもかまいません。

上田氏

人に尽きますね。
人手不足、後継者不足。
弊社も同じです。
私ももう10年か、15年。
私のお付き合いのあった塗装屋さんが2社あったんですけど、2社とも廃業してしまいました。
5年くらい前のことですけど、その時は新しい塗装屋さんを探すのにとても苦労しました。

だから、私が引退したら困るお客さまたくさんいるだろうなって思います。
あとは、小規模零細企業がゆえの難しさですね。
弊社で言えば、私がトップにて、後は横並びになってしまっている。
ですから、出世ができない。
例えば、5年勤めたら主任になれるとか、この試験通ったら主任ですよ、とかそういうのがない。
目の前の仕事は一生懸命にやってくれるのだけど、自分自身を高めていこうという野心がでてこない。
仕事をしている中で、自発的にどんどん新しいことに取り組んでいくということがない。
残業してでも、自分の技術を高めようということもない。
だから、企業としてもなかなかよくなっていかない。
大企業の場合は、きちんと指導をして一人前に育てていきますよね。
でも、小規模零細の場合はそのような余裕がない。
これは弊社だけではなく、他社さまも同じように悩んでいるところだと思いますね。


まとめ

納期にこだわりをもって。


お客さまに信頼をいただいて、66年。


昔ながらの板金加工、溶接技術を強みにして。


上田鈑金工業株式会社は、幅広い業界に対応する。

加工技術

  • 板金加工
  • 金属・切削加工

基本情報

代表者名
上田浩司
担当者名
上田浩司
従業員数
3名
創業年度
1952年
メールアドレス
usmkoji-0513@ezweb.ne.jp
電話番号
06-6388-2177

住所

〒564-0004 大阪府吹田市原町1-36-6

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