2019年01月19日

ゴーピ・クリシュナ「クンダリニー」(3)

【クンダリニーの謎】 生殖器官が種の保存を図る自然の有効な装置であるように、クンダリニーは高い意識状態と超越的体験をするための自然の有効な装置である。この二者が接近して位置していることには深い意義がある。

【不思議なドラマ】 クンダリニーの座から絶えず立ち昇り続く精気の放射が、神経を伝って身体のあらゆる部分にまで伝わり、耳に微妙な音が響き、頭頂は不思議な光を放っていた。その流れには焼き尽くすような熱気はなく、傷んだ細胞や組織を癒やし、蘇らせるような快い温かさが感じられた。

●夕食後ベッドに横になると、嬉しいことに、頭部の周りに輝く光の輪があるのに、いつしか優しい眠りに襲われ、私は光のマントに包まれたままぐっすりと眠り込んでいた。

あの晩以降、脊髄を素早く上がったり、下がったりする、光り輝く精気の流れは、私の存在の一部になっていた。

心眼を自分自身に向けると、常に流動を繰り返している白光の塊が、私の頭の中にも外にも見えてくるのだ。どうやらこれは、脊髄を伝わって上がってきた精妙な光明分子が、頭蓋骨の外まで吹き出ていて、その周囲にえも言われぬ輝きを輻射しているためのようだ。

さらに私を当惑させたのは、私の身体組織の機能に絶えず働きかけてくる「光の触手」だ。脊髄やその他の神経を伝わって、その触手が心臓とか肝臓とか胃に伸びていき、奇妙な仕方でそれらを統御していた。身体の歪みや捻れがあると、どんなところまでもさっと動いていく触手の見事さに驚かされた。

局所を取り巻く神経とその周辺部は、一種の機構昂進をきたしていた。目に見えない機構に刺激されておびただしく生産される精子が、尾骶骨の先端部の神経環で「変形」され、脊髄を伝わって脳髄に送られているかのようだ。この「昇華精子」こそ、私をあれほどまで当惑させは放射エネルギーの要素だ。

それ以後の私の重要な責務は、その聖なる火焔に健全な食物を供給することであった。

神経に充満している光明成分のお陰で、私は自分の内部に注意を向けさえすれば、各種器官の輪郭と身体の中に張り巡らされている神経網が、はっきり手に取るように分かった。

頭脳に流れ込むプラーナの量を増やすことによって、神経組織を意志的に動かすことが可能になるという、重大な発見に到達したのだ。

根を詰めた仕事をしばらくすると、目を閉じて耳を澄ませただけで、頭の中のあの光の輪が広がり、ブーンという唸りが大きく響いてくるのが分かった。

人間の身体には思いもかけない驚異が深く隠されており、主人から声のかかるのをじっと待っているのである。その力は動き出すべき絶好の時が来ると、氾濫で溢れ出した奔流のように肉体の中に道を穿ちつつ、神経組織と頭脳に新しい経路を作り上げ、信じられないような霊的能力を付与するのだ。

内部的に異常な状態にあるのだという考えはいつもあった。というのは、内なる光明体を絶えず眺めていなければならなかったからだ。ただ時が経つに連れ、そうした状態は恒常的なものになり、私は奇妙さや不自然さを感じなくなっていった。言ってみれば、自分の存在の一分になりきっていたのだ。

【精神と肉体】 私の身体内部では、体質の再生転換の過程が徐々に進行していた。それが睡眠中、とくに活発化し、ある一定の段階に達したところで、ようやく霊能力の発現をみたのである。

ヒンドゥー教徒が身につける3本の糸紐を撚り合わせてつくる聖なる紐は、イダー・ピンガラー・スシュムナーを象徴している。男性が頭の天辺に髪の毛を束ねておくのは、まだ活性化していない頭脳の意識中枢の所在を示す。

【変わる意識の座】 初めの頃の段階で、私は周囲の世界を一種の心霊的な「霞」を通して眺めていた。象の「拡大現象」と同じく、知覚される物体の「白濁現象」についても満足のいく解釈がつかないまま、私は困惑していた。

眼前にある景色は私がよく見慣れているものであった。しかし私が現に見ていたものは、私を驚きの余り棒立ちにさせるものだった。この世のものとは思われない、何かおとぎ話のような風景が私の前にあった。あらゆるものが美しい銀色に輝いていた。明らかに私のクンダリニー開発は、新段階に到達したのだ。私がどちらを向いても何を見ても知覚した「銀色の光沢」は、明らかに自分自身の内部にある光が投射されたものに他ならなかった

【銀色に輝く風景】私はどこへ行っても、何をしても、自分が「新しい器」の中に移し替えられているのを実感した。目をつぶれば内なる光を見、目を開ければ光り輝く万物を見た。私は「変身」しつつあった

●時が経てば経つほど、自分の内外に見られる輝きは一段とはっきりしてきた。

覚醒時、頭部は絶えず光芒に包まれていたが、眠りについてもその状態は変わらなかった。枕に頭を付け、目を閉じると、まず頭頂から発している光の束が暗闇の中でくっきり見えてくる。脊椎の底辺にあるピストンが、光る液体を下から頭頂まで間歇的に汲み上げるのが見え、その勢いで体が震えた。

●就寝してから朝起きるまで、クンダリニーの部位にはっきりと異常な動きが感じられた。生殖腺からの貴重な分泌液がまず脊髄に吸引され、そこで連結している神経の働きで精妙な成分に転換されて、神経束や脊髄を伝わって、脳や内臓にまで移送されるらしかった。吸引作用はかなりきつく、デリケートな場所に実際痛みさえ感じた

生殖部位が、それまで落ち着いていた状態から一挙にフル回転し始めた。

クンダリニーが目覚めるや、行者は全く無力になり、ただひたすらシャクティの慈悲と恩情にすがるより他なくなるのである。

【変身の過程】 私にとって夢は極めて大きな重要性をもっていた。クンダリニーが目覚めてから今日に至るまで、私という存在にとって、夢は覚醒時に劣らず積極的な意味合いを持っているのである。



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posted by samten at 06:49| 読書録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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