生命分子の起源を探る
大学院理学研究科 地学専攻
資源・環境地球化学分野
生命誕生前の地球ではどのようにして生物を構成する有機分子が誕生したのでしょうか?
この謎を解明するために、地球科学的な知見・手法と有機化学的・分析化学的手法を組み合わせて研究を行っています.
Topics
2022.07.19
博士課程学生の平川君の論文がScientific Reports誌に掲載されました.
リボースの5'位置への選択的リン酸化がホウ酸によって可能になることを示した研究です(プレスリリース)。
Borate-guided ribose phosphorylation for prebiotic nucleotide synthesis
2022.04.28
北海道大学の大場准教授を中心とする, JAMSTEC, 九州大学, NASA-Goddardとの共同研究論文がNature Communications誌に掲載されました.
隕石からDNAとRNAを構成する全種類の核酸塩基を検出した研究です(プレスリリース)。
2021.08.26
名古屋市立大学、大阪大学らとの共同研究の尿路結石の結晶成長に関する論文がScientific Reports誌に掲載されました.
Yutaro Tanaka, Mihoko Maruyama, Atsushi Okada, Yoshihiro Furukawa, Koichi Momma, Yuki Sugiura, Rie Tajiri, Koichi P. Sawada, Shunichi Tanaka, Kazufumi Takano, Kazumi Taguchi, Shuzo Hamamoto, Ryosuke Ando, Katsuo Tsukamoto, Masashi Yoshimura, Yusuke Mori & Takahiro Yasui
2021.06.01
JAXAの次期惑星探査計画MMXの回収試料分析計画に関する論文が出版されました.
Wataru Fujiya, Yoshihiro Furukawa, Haruna Sugahara, Mizuho Koike, Ken-ichi Bajo, Nancy L. Chabot, Yayoi N. Miura, Frederic Moynier, Sara S. Russell, Shogo Tachibana, Yoshinori Takano, Tomohiro Usui & Michael E. Zolensky
2021.04.29
ホルモース型反応で高い炭素炭素同位体比をもつアミノ酸と低い炭素同位体比をもつ IOMが生成することを明らかにした研究成果が Science Advances誌に掲載されました.
隕石アミノ酸が高い炭素同位体比をもつという長年の謎が解明されました.
Synthesis of 13C-enriched amino acids with 13C-depleted insoluble organic matter in a formose-type reaction in the early solar system
Yoshihiro Furukawa, Yoshinari Iwasa, and Yoshito Chikaraishi
2021.03.25
隕石衝突によって初期地球と初期火星にホルムアルデヒドが生成されることを示した研究成果がAstrobiology誌に掲載されました.
Experimental Investigation of the Formation of Formaldehyde by Hadean and Noachian Impacts
Saeka Masuda, Yoshihiro Furukawa, Takamichi Kobayashi, Toshimori Sekine, and Takeshi Kakegawa
2021.03.03
第1回FoS公開シンポジウムで生命材料の起源について講演しました。
たくさんの若手研究者や大学院生が集まってくれました。
研究概要
小惑星の衝突による生物有機分子の生成
生命誕生前の地球にどのようにして生物を構成する有機分子が生成したのでしょうか?
私たちのグループは、小惑星や巨大隕石の衝突を模擬した実験によって、タンパク質を構成するアミノ酸や核酸(DNA, RNA)を構成する核酸塩基が生成することを明らかにしてきました.
隕石によって運ばれる生命分子
生命の起源となる分子は「地球で生成した」という説と「地球外からもたらされた」という説があります.地球外起源説の証拠として、隕石に含まれる有機物は長年にわたって研究が行われてきました.一方で、生命に不可欠な分子でも隕石からは見つかっていない分子もありました.私たちのグループは、オーストラリアに落下した隕石など複数の隕石から、リボースなどの生命を構成する糖を初めて検出しました.リボースはRNAを構成する唯一の糖で、このことは、生命誕生前の地球にRNAの材料となる糖が、地球外から運ばれてきていたことを示しています.
初期地球・初期火星でのリボースの生成
RNAは遺伝情報の一部を持つ分子であると同時に、酵素のように触媒としての働きも持つ生命誕生にとって非常に重要な分子と考えられています.しかし、その生成過程は謎に包まれています.私たちのグループでは、初期地球環境に存在する鉱物やイオン特にホウ酸イオンがRNA形成にどのように働くかを研究しています.