読者が選ぶ 年末年始に作りたい「かんたん美味」
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NIKKEIプラス1の連載「かんたん美味」のレシピの中から、手軽でおもてなしにもぴったりのごちそうを読者673人が選んだ。(1~12位の詳しい作り方は、以下のリンクからご覧いただけます)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD040RY0U2A201C2000000/
1位 カキのアヒージョ
451ポイント 身ふっくら、鍋ごと食卓へ
スぺインの軽食、タパスのひとつとして広く知られているアヒージョ。カキ(牡蠣)とマッシュルームを、ニンニクや赤トウガラシ、塩などの調味料を入れたオリーブ油で煮る。「赤白どちらのワインにも合う。クリスマスなど家族だんらんの時にぴったり」(ベターホーム協会の料理家、羽村雅子さん)
ペーパータオルでしっかりカキの水気を拭き取ってから油に入れると、油がはねない。ゆっくり火を入れることで身が縮まずふっくら仕上がる。厚みのある鍋でも作れるが、スキレット(鋳鉄製のフライパン)を使うと「そのまま食卓に出せるので便利」(羽村さん)という。
読者からは「冬になるとカキが食べたくなる」といった声が多く寄せられた。「カキ料理はワンパターンになりがちだけど、新しい味が楽しめそう」(大阪、50代女性)、「子どもたちが大好きなメニュー。帰省したらみんなに食べさせたい」(神奈川、50代女性)と支持された。
【記者(27歳男性)が挑戦】オリーブ油が熱いのでカキが冷めにくく、お酒を飲みながらゆっくりと味わえる。具材のうま味が溶け込んだ油は、パスタやサラダなど他の料理に使うことが可能。油に塩コショウを足し、ゆでたパスタにあえると、海鮮の風味がほんのりと香るペペロンチーノができあがった。
①調理時間 15分②掲載日 2019年11月16日付
2位 紅茶豚
333ポイント 見た目華やか おせちの合間に
豚肉と紅茶のティーバッグを鍋に入れ、アクをとりながら弱火で40~50分ゆでるだけ。紅茶に含まれるタンニンが肉を柔らかくし、くさみを抑える。低温からじっくり加熱することが、肉をかたくしないコツだ。「かけるソース次第で和洋中様々な風味になる。おせちに飽きた時に」(羽村さん)
「日持ちがするし正月らしさもある」(岐阜、50代女性)、「簡単にできて見栄えもいい」(神奈川、70代女性)と、読者からは華やかな見た目を評価する声が上がった。「老若男女問わず好き。ボリューム感がありおなかも満足」(東京、60代女性)との声も。
【記者が挑戦】 ゆでるだけなので、他の調理の合間に作ることができて効率的。しょうゆベースの和風ソースと合わせるとサラダにぴったりのあっさりとした味わい、赤ワインベースの洋風ソースをかけると、パンに合う華やかな味わいになった。
①60分②2019年12月21日付
3位 リンゴのピザ
330ポイント 手軽に市販のピザ生地で 軽い食感
市販のピザ生地にサワークリームを塗り、薄く切ったリンゴやグラニュー糖などをのせてオーブンで焼く。皮付きのまま切ることでリンゴの赤色が映え、クリスマスにぴったりのデザートに。「食感を統一するため、リンゴは均等の厚さに切って」(羽村さん)。軽い食感やあっさりした風味が魅力だ。
「来客とおしゃべりしながら気軽に作れそう」(栃木、50代女性)、「子どもと一緒に作りたい」(香川、30代女性)と、誰かと共に調理したいという声があがったほか、意外性も注目された。「リンゴを使ったピザは初めて聞いた。どんな味か気になる」(大阪、60代女性)
【記者が挑戦】 リンゴを厚めに切ってしまっても、サクサクの食感でおいしく食べられた。
①20分②2019年11月23日付
4位 ブリの粕汁
264ポイント 体が芯から温まる
ブリとダイコンやニンジン、ゴボウ、シイタケなどたくさんの野菜を、酒粕(かす)と合わせて煮る。脂の乗った寒ブリで、体が芯から温まる。ブリは煮る前に熱湯に通し、ぬめりや生ぐささをとり除く。熱で魚の表面が固まり、うま味を逃さない効果も。仕上げに加えるセリの香りも食欲をそそる。
読者からは「冬の食卓に合う」(兵庫、40代男性)、「手に入りやすい材料で、作り置きしておける」(北海道、40代女性)といった声が上がった。ブリは成長につれて呼び名が変わる出世魚。「縁起がいい」(千葉、60代男性)との声もあり、新年に食べたくなる一品だ。
①30分②2020年2月1日付
5位 鯛の押しずし
242ポイント こんぶ茶使い ネタにうま味
合わせ酢を混ぜたごはんを、こんぶ茶などで下味をつけた鯛と合わせて押しずしに。こんぶ茶を使うことで、鯛がまるでこぶじめにしたようなうま味のあるネタになる。
「めでタイ感じがする」(東京、60代女性)、「ちょっと豪華で新年らしい」(岡山、50代女性)と、正月のメニューとして評価が高かった。「年末は忘年会などで胃が疲れている。さっぱりとしたものが食べたい」(東京、50代女性)との声もあった。
①35分②2022年4月30日付
5位 バスクチーズケーキ
242ポイント 香ばしさとほろ苦さ楽しめる
スペインのバスク地方発祥のおやつ。あえて高温のオーブンで長時間焼いてこがした表面が特徴で、香ばしさとほろ苦さが楽しめる。クリームチーズ、砂糖などの材料を混ぜて焼くだけ。できたても美味だが、冷蔵庫でひと晩冷やすと、生地がしっとりしてさらに濃厚な味わいになる。
「客人に出すと喜ばれる」(京都、60代女性)、「子どもが大好きなスイーツ」(兵庫、40代男性)と世代を問わず人気のレシピ。「いつも買って食べるが、作りたてを食べてみたい」(東京、50代女性)と、話題のチーズケーキが家庭で簡単に作れる点も魅力だ。
①50分②2020年4月4日付
7位 きりたんぽ風鍋
233ポイント ごはんの「焼きだんご」を鍋に
ごはんで作る焼きだんごを、秋田の郷土料理「きりたんぽ」に見立てた鍋。秋田では丸めたごはんを焼かずに入れる「だまこ鍋」もポピュラーな家庭料理だが、きりたんぽの香ばしさと、だまこの手軽さを「いいとこどり」したレシピだ。シンプルなしょうゆベースの鍋つゆに、ゴボウやセリといった香りの高い野菜やマイタケ、しらたきを入れて楽しむ。
「よく取り寄せるが、簡単に作れるなら挑戦したい」(滋賀、40代男性)など、身近な食材で作ることのできる点を評価する読者が多かった。「家族全員好きで毎年食べている。鍋を囲むと、会話もはずむ」(東京、50代女性)
①35分②2020年11月7日付
8位 焼きしめさばずし
207ポイント ショウガとシソがアクセント
市販のしめさばで作るちらしずし。すしめしに、焼いたしめさばとシソ、甘酢ショウガ、ごまを合わせて混ぜる。そのままでも食べられるしめさばに「焼く」というひと手間をかけることで、香ばしさが加わり美味に。ショウガとシソが味のアクセントになり、さばのクセもやわらぐ。
読者からは「料理の締めに最適」との意見のほか、「さばはよく食べるが、すしにすれば非日常感が出そう」(神奈川、50代女性)と見た目の華やかさを評価する声もあがった。「単身赴任の時の思い出の味。他の人にも食べさせたい」(兵庫、50代男性)という意見も。
①35分②2020年11月14日付
9位 鶏肉とユリ根の中華粥
199ポイント 土鍋で仕上がりふっくら
和食によく使う冬野菜のユリ根を、鶏ささみやせん切りのショウガ、万能ネギと合わせて中華粥(がゆ)に仕立てた。土鍋で作るお粥は、熱伝導率が低くゆっくりと温まるため、米が水分を吸う速さと温度が上がるバランスが良く、芯までふっくらとした仕上がりになる。
「たんぱく質もとれて栄養価が高そう」(兵庫、60代女性)と、栄養バランスの良さが注目された。「お正月は親族大勢で一日中食べたり飲んだりする。お粥を食べたら疲れた胃が休まりそう」(徳島、50代女性)。年末年始のごちそうの合間に食べるメニューとしても支持された。
①60分②2020年1月11日付
10位 ミラノ風ポークカツレツ
166ポイント 粉チーズのコクと風味
豚ヒレ肉に粉チーズを混ぜたパン粉をつけ、オリーブ油で揚げ焼きにする。肉をたたいて薄くのばすことで繊維が断ち切れてやわらかくなり、火も通りやすくなる。ソースではなくレモンをしぼり、粉チーズのコクと風味を味わうのがおすすめ。クリスマスのメニューにもぴったりの一皿だ。
「年末年始もがっつりとしたものが食べたい」(大阪、40代男性)など、男性の人気を集めた。海外には牛肉を使った同様の料理があり「イタリア旅行の思い出の味」(京都、50代男性)、「海外駐在の時によく食べた」(東京、70代男性)と、思いをはせる人も多かった。
①20分②2020年12月19日付
冬の味覚使ったレシピが上位に
コラム「かんたん美味」ではベターホーム協会(東京・渋谷)が、身近な材料で手軽に作れるおいしい一品を紹介しており、旬の食材や流行を取り入れた数々のメニューが登場する。今回は和洋中、主菜からおつまみ、デザートまで幅広い料理がランク入り。中でもカキ(牡蠣)やリンゴ、ブリなどの冬の味覚を使ったレシピが人気だった。
惜しくもトップ10入りは逃したが、11位の「ホットプレート瓦そば」(162ポイント)は、焼いた瓦にそばをのせて焼く、山口県下関市の郷土料理をアレンジしたもの。カリッとした食感が新鮮だ。見た目のインパクトやボリューム感を評価した読者が多かった。143ポイントを獲得し12位だった「ビビンバ風炊きこみごはん」は、調味料をもみ込んだ牛肉と野菜、白米を炊飯器で炊くだけ。「簡単で見栄えがよさそう」との意見が多かった。
どのレシピも作りやすいが、細かな一工夫が光る。手軽に季節の味覚の持ち味を引き出せるようになれば、日々のメニューを考えるのも楽しくなりそうだ。
ランキングの見方
数字は読者の評価を点数化。①調理時間②コラムの掲載日。写真は1~3位が鈴木健撮影。4~10位は大井一範撮影。スタイリングは青野康子。
調査の方法
NIKKEIプラス1のコラム「かんたん美味」で2019年10月~22年9月に紹介した料理の中から、年末年始向けの25品をベターホーム協会が選定。NIKKEIプラス1倶楽部会員を対象に11月中旬、アンケートを実施した。「食べたい」「作ってみたい」料理を3位まで回答してもらい、編集部で集計した。回答者は673人だった。
(植田寛之)
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