2022.12.25
# 映画 # ドラマ

最後の黄門様・里見浩太朗「ゆっくりとでも一歩ずつ歩めばいいこともある」大石内蔵助を演じて至った境地

週刊現代 プロフィール

ゆっくりと一歩ずつ

『ホリデイ~江戸の休日~』の撮影現場で。撮影/ハリー中西
 

忘れることのできない作品のひとつに『忠臣蔵』があるという。

「1985年、私が48歳のとき、大型時代劇の出演依頼が日本テレビからきました。12月30日から2日間放送して、31日はNHKの紅白にぶつける、と。それが『年末時代劇スペシャル 忠臣蔵』。私は主役の大石内蔵助に扮しました。時代劇の役者にとって、大石内蔵助を演じるのは最高の栄誉です。時代劇を続けてきてよかったと、私はつくづく思いました。

かつて時代劇映画の衰退を身をもって味わい、テレビに移るときはずいぶん悩みました。当時、映画人の多くは『テレビなんて紙芝居だ』と揶揄していましたから。それでも私は前に進んだ。ゆっくりとであっても、一歩ずつ歩いていれば、いいことがあるものだ、と大石内蔵助を演じて思いました。『ゆっくりと一歩』が私の座右の銘になりました」

このドラマは視聴率15・3%をマークし、紅白は平均視聴率が前年より12ポイント下落。新聞は「討ち入り成功」と書いた。

「私の芝居はさておき、作品としてとても優れていたということでしょうね」

里見は穏やかに笑った。

「週刊現代」2022年12月24日号より

関連記事