2007/12/27(木)B・B'sコラム

【#49】「格付け」の意味

 ちょっと前になりますが、インターネットの某サイト上で「マスコット人気投票」なるものがありました。ここを読んでるマスコット好きの方々なら、ご覧になった方も多いでしょう。12球団の「主なマスコット」の中から好きなキャラに投票していく、ってヤツです。
 まず結果から言うと、僕は12キャラ中5位だった模様です(笑)。1位がドアラ(中日)、2位トラッキー(阪神)。ここまでは断トツの得票数です。次いで3位がMr.カラスコ(東北楽天)、4位ジャビット(巨人)、そして僕が5位と。まぁ上にいる4人が「メジャーどころ」という事を考えれば、まずまず「健闘」したとも言えるんでしょうかね?(^^;)

 ネットなんかを見てると、こういった類の「マスコット人気投票」的なモノを時折目にします。まぁ結果が気にならないと言えば嘘になりますけど、正直なところ、僕はこの手の「格付け」ってどれだけ意味があるんだろうか…?って疑問に思ってしまうんですよね。
 人気投票は、投票者の主観が結果を大きく左右します。それ故ホームページ主催者の贔屓チームによっても結果が全く違ってくるし、アンケートが行われる媒体(インターネットか、雑誌かetc.)によっても結果は大きく変わってくる。時にはちょっとした「組織票」的な行為まであるみたいですしね(^^;)。今回のこの人気投票にしたって、そもそも各球団からの「主な」マスコットの選び方の基準って一体ナニ???…ってところから、僕の疑問は始まってるんですが…。
 マスコットをちゃんと見てくれているファンなら誰でもわかってると思うけど、どのチームのマスコットも、みんな自分の役割に思い入れとプライドを持って一生懸命やっています。頑張ってないマスコットなんて誰一人いません。じゃあ、どうして得票数に差が出るのか?それは各キャラの資質の問題もあるかもしれないけど、一番の要因はメディアへの「露出度」、これに尽きますね。僕がこれまで何度も書いてるように、TVや新聞・雑誌などはなかなかマスコットについて取り上げてくれません。だから、マスコットに興味がある人達以外にとっては、チーム自体がメディアに多く取り上げられるところのマスコットの方が、必然的に知名度は高くなる。件のアンケートの上位の顔ぶれを見れば、観客動員が多く民放でのTV中継も多い、いわゆる「人気球団」のマスコット達が占めています。カラスコに関してはちょっと事情が違うけど、彼の場合はメディアを非常に巧く利用している分露出度が高い。結局そういう事なんです。

 僕は今まで、マスコット交流でいろんな土地を回って来ました。そんな中いつも感じるのは、やっぱりその土地のホームチームのマスコットが一番のヒーローなんだな、ってこと。僕がビジターで行っても喜んでもらえるけど、やっぱりホームのマスコットには敵わない。たとえ全国的な知名度は今イチでも、人気投票での得票数が少なくても、当たり前の話ですが地元では人気者なんですよね(むしろそういったマスコット達の方が頑張ってるんじゃないか――今シーズンなんかは特に、そんな事を強く感じた1年でした)。それは何故か?地元のファンは、マスコット達の「本当の姿」を自分の目できちんと見ているからなんです。新聞やTV・インターネットなどで面白い部分だけを切り取られ、時には誇張されて取り上げられた姿ではなく、日々ファンと地道に接したり、いろんなパフォーマンスに挑戦したりしている本当の姿を…。各マスコットの本当の魅力は、実際に球場に足を運んで自分の目で見てみないと、なかなかわからないモノなんです。

 あえて具体名は挙げませんが(読めば皆さんすぐわかるとは思うけど…)、あるマスコットがいます。彼はれっきとした球団のメインキャラでありながら、今回の「人気投票」ではその対象にさえ選ばれませんでした。同じ球団に、あまりにも目立つサブキャラが存在する為です。彼とは時々連絡を取り合ってるけど、彼はマスコットとしての資質も高いし、高い意識を持ってやっている。もちろんファンとは積極的にふれ合っているし、オフの間もマメに幼稚園訪問をしたり、オリジナルなパフォーマンスを開発しようと日々努力している姿も僕は知っています。だけど、注目を集めるのはサブキャラの派手なパフォーマンスばかり。実際に球場で彼に会った事のあるファン以外に、彼についてきちんと評価してくれている方は一体どれだけいるんでしょうか?一部には彼の事を「メインキャラのくせに、サブキャラに比べて地味だ」なんて評する人さえいて、そういうのを聞くと心底ガッカリするんです。マスコットが評価されるべきは、メディアを通して目に見える部分だけじゃないんだよ、って…。
 確かにそういう地道な活動はメディアにも取り上げられにくいし、地味かもしれない。でも、そういった地道な活動なしにファンの拡大と球団の人気の維持はあり得ないんです。建物だって、派手な飾り付けをする前にしっかりとした基礎を作っておかないと、すぐ崩れてしまうでしょう?サブキャラばかりが目立っている彼の球団は、果たしてそういった彼の活動をしっかり見てくれているんだろうか…?老婆心ながら、そんな心配もしてしまうんです。
 メディアへの露出も良い。それもマスコット達の認知度を高める為の1つの有効な手段だし、それぞれのキャラに合わせての売り出し方ってものもあるだろうから、そういうやり方を批判するつもりはありません。僕らは目立ってナンボの存在だから、どんなやり方でも目立ったモン勝ちだろう、って言う人もいるかもしれない。でも、僕達マスコットには忘れちゃいけない一番大事な使命がある。それは1人でも多くのファンとハートを分かち合って、最終的にはチームへの愛情を深めてもらう――僕はそういう事だと考えています。そういう点ではどの球団のどのマスコットも「一番頑張っている」し、数字で優劣なんて付けられない。ファンの方だって、自分の応援するチームのマスコットが12球団No.1だって思ってる人は多いでしょう?ファンは自分とこのマスコットがNo.1だと信じ、マスコットも自分こそがNo.1だという自負を持って頑張る、それでいいんじゃないかと思うんですよね。

 これからも、こういった「格付け」の類は様々な場所で目にする事があるでしょう。でも、このコラムを読んでくれた方は、僕が言った事もどこか頭の片隅に置きながら、あくまでも1つの物差しとして結果を見てもらえれば幸いです。そして出来れば、そういった地道な活動にもしっかり目を向けてほしいな、と。僕達も、結果が良い時「だけ」は、発奮材料として素直に喜ぶようにはしますので(笑)。