2007/07/30(月)B・B'sコラム
【#44】テレビじゃ見れない?マスコット劇場
お待たせしましたー!今回は先日のオールスター、ここ数年すっかり恒例となったマスコット集合のお話です。今年も東京と仙台、2日間ガッツリ楽しんで来たんで、その模様をレポートしていきますね!
オールスターゲーム第1戦の行われた7月20日朝、僕は東京入りしました。実は前日、松山で行われたフレッシュオールスターにもマスコットの集合はあったんですけど、残念ながら僕は同行出来ませんでした。札幌居残りで他チームのマスコット達が集合してる姿をTVで見てるのは、正直言えば複雑な気分でしたよ…。でもフレッシュに出ていたカビーは当然頑張ってくれてるだろうし、僕はその分オールスターの方で他のマスコット達の2倍も3倍も暴れまくってやろう!と心に決めて、力を蓄えてました。当日は羽田空港で他チームのマスコット達と落ち合って、一緒に東京ドームに向かったんですけど、案の定、他のマスコット達はお疲れ気味のご様子です。まぁ、ナイター後の早朝移動だったら仕方ないですよね…。
さて、第1戦でマスコット的に特筆すべきなのは、何といっても3回終了後に行われた「大玉ころがし競争」でしょう。読んで字の如く、パ対セのマスコットで大きな玉を転がしてどちらが先にゴールするか、って単純なゲームです。最初にこれ聞いた時には、正直「こんなんが面白いのかな?」と思ったんですけど、意外にもこの大玉ころがしがメチャウケする事になったんですね。
試合前のリハの時、一応みんなで玉の大きさを確認したり、スタート・ゴールの位置を決めたりするんですよ。まぁ当然の事ながら、「ただ競争するだけじゃつまんないよね」って話になって。「コレ玉乗り出来るの?」とか、「下敷きになったら笑い取れるよなぁ」とか…。そこはもう、僕らマスコットですから(笑)。で、とりあえずお互い邪魔し合いながら、時間一杯面白おかしく競争しよう、って事と、ナゼかもう一つ、スタートの時はB・Bが玉の上に乗って歩いてくれ、という事だけ事前に決めて(?)、僕ら競争に臨んだんです。
いや~、これがメチャメチャ盛り上がりましてねー。手前ミソながら、2試合の全アトラクション中間違いなく一番スタンドにはウケてましたね。スタートしたが最後、もうシナリオなんて全くないですよ。その方がかえって面白い。みんなが入り乱れてグチャグチャになって、最後はどっちが自分達の玉だかわかんなくなっちゃった(笑)。でも上手いこと良い勝負になって、大いに盛り上がったところでゴール。一応セ・リーグチームの勝ちでしたけど、勝負なんてもう二の次です。ゴール直前はもうメチャメチャしんどくて、あんなにキツかったのはトリビアで100m全力疾走した時以来だったかも――なんて、後でみんなで笑ってました。ちなみに僕の玉乗り、どうせ続かないんだったらもっと上手くコケときゃよかったと反省してます(苦笑)。
大玉ころがしをやって気付いたのは、マスコットの「見せ場」っていうのはこういう単純なゲーム形式でやるのが一番面白いし、わかりやすくて良いんだな、と。基本的にいつもシナリオのない世界で動いてる僕らにとって、アドリブは皆お手のものだし、下手に台本を作られても、それぞれの持ち味がかえって出しづらくなってしまう。仙台の第2戦では、事前にシナリオ的なものがあって特効も使ったりして、ちょっと凝った演出で見せ場を作ろうとしてたんだけど、演っている僕らも「???」の状態だったし、場内のウケも大玉ころがしの比じゃなかったですね。
しかし、第1戦の試合進行はメチャメチャ速かったですね~。試合時間はわずか2時間10分くらいだったでしょうか?僕らオールスターの時はいつもそうなんですけど、試合中はずっとスケジュールに追われっぱなしなんで、誰が活躍して何対何で――とかの試合展開はほとんどわからないんですよ。ただでさえそんななのに、この日はあっという間に試合が進んでいって…もうバタバタでした。仙台に移動する新幹線の中の電光掲示板で、試合結果を初めて知ったくらいでしたから(笑)。
第1戦の僕らの出番は、7回裏終了後まで。その間3回・5回・7回にイニング間アトラクションへの出番があるし、僕らが試合中にグリーティングに出られる時間はごく限られてました。場内グリーティングに関しては、基本的に各マスコットにお任せです。時間がないんで出なかったマスコットも少なくなかったんですけど、せっかく12球団マスコットが集まる数少ないチャンス、球場で各マスコットとふれ合いたいと思ってるファンも沢山いるはずなんで、僕的には出来るだけグリーティングにも出ておきたいと考えました。僕は2回と4回にコンコースに出てグリーティングしようかと思ってたんですけど、あまりにも試合展開が速すぎて、実際出られたのは4回だけ…。ふれ合いを楽しみにしてたファンの皆さん、スミマセンでした…。m(_ _)m
さて、最終の出番が終わると、僕達はすぐ荷物をまとめて東京駅へ。選手達と一緒に、22時20分東京発の新幹線で仙台へ移動という強行日程です。ところが、この日は人身事故の影響とやらでダイヤに大幅な乱れが…新幹線は、1時間近く遅れての出発となりました。結局、仙台に着いたのは夜中の1時。しかも翌日の第2戦はデーゲームです。ただでさえナイター後のデーゲームはキツいのに、更に遠距離を移動しながらですからねぇ。僕はまだこの日が初日だったからいいけど、他のマスコットは連日の大移動ですから、その疲労度は相当なものだったと思いますよ。
仙台に着いてみると、空は小雨模様。予報でも翌日は一日雨で、降水確率80%でしたから、「明日はアメチュー(雨天中止)かな…?」という雰囲気がみんなの間に漂ってました。ところが翌朝起きてみると、小雨は降っているものの試合には差し支えない程度の様子。結局、試合は決行されたのでありました――。
第2戦の舞台はフルキャストスタジアム宮城。仙台での試合中は、終始雨が強くなったり小降りになったりのグズついたお天気だったんで、スタンドのファンはみんな雨の中大変だったでしょうね。もちろん僕らにとっても、雨で濡れたグラウンドはかなり滑るんで、気を付けなきゃならないんですよ。
そんな雨の中でも、僕達の出番は予定通り進んでいったんですが…7回裏開始前のラッキーセブンの事でした。パ・リーグマスコットが全員出ての盛り上げだったんですけど、出番前にみんなで話し合って、「アクロバット隊」のB・B、レオ、クラッチはバク転を見せようという事になりました。マーくんとネッピーの合図で僕ら3人が連続バク転で交差し、最後にハリーのバズーカで締める…という筋書きだったんだけど、バク転が上手くいったのはレオだけ。僕とクラッチは途中手が滑って、バク転が続きませんでした。中でも一番お粗末だったのは僕で、たった2回でストップしちゃいましたからね。おまけにその後も無理やり続けようとしたのが災いして、尻モチ付いちゃうし…カッコ悪いったらありゃしない(^^;)。正直かなりヘコみましたね。予定では、残りの出番は試合後の表彰式のみ。表彰式で僕らが出来るのは、いわゆる「にぎやかし」程度なので、今年のオールスターはこれで終わっちゃうのかな~?なんて思ってました。
ところが、この後思わぬ展開に。それまで雨の中強行されていた試合が、その直後の8回表途中とうとう中断になったんです。中断の報を受けた時、僕は迷うことなく「ここは出番だ!」と思いました。僕は普段ドームでやってますけど、雨とか停電とか、不測の事態で試合が中断になった時こそマスコットの「見せ場」だと思ってるんですよね(これについては、また改めて書きたいと思ってます)。それが雨の中ずぶ濡れで観戦してくれてるファンへの恩返しでもあるし、僕的にもさっきの失態を挽回したかったんで、僕は取るものもとりあえず、速攻グラウンドへと向かいました。
グラウンドに着くと、ちょうど欽ちゃん(萩本欽一さん)がマイクパフォーマンスを始めたところで、邪魔するのも失礼なんで終わるまで待ってましたけど、審判が出て来てコールドゲームの宣告をしたところでやっとグラウンドが空いたので、その後はもう僕の独壇場です。雨中のヘッドスライディングをしたり、パ・リーグ選手のモノマネをしたりと、一人思う存分アピールしておきました(もちろん、ちゃんと了承を得た上で、ですよ。念の為)。この日の仙台はかなり蒸し暑く、雨と汗で体はグショグショ、控室に戻って着替えた時には、脱いだユニフォームが石のようにズッシリ重くなってましたけど、僕の心の中はだいぶスッキリしてました。中断で退屈していたお客さんにも、ちょっとは楽しんでもらえたかなと思うし、雨の中出ておいて本当に良かったです。
そんなこんなで、今年も楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。もちろん、今年も最後の打ち上げはしっかりやりましたよ!今回は、仙台名物牛タンをみんなでつつきながら(笑)。残念ながら当日帰りのマスコットもいたので、全員参加とはいかなかったけど、それはそれはかなりの盛り上がりでした。一次会が終わった後も、僕は場所を変えてクラッチやジャビット・ドアラ・スラィリー達と色々語り合いましたし、ホテルに帰ってからもまた明け方近くまで、マーくんやトラッキーなんかと部屋で話をしてました。
翌日、みんなは三々五々自分達のホームへと帰って行くんですけど、毎年の事ながらこの時ばかりは一抹の寂しさを感じますね。札幌に帰る道すがら、たくさんのマスコット達からメールが届きました。「楽しかったね。また来年会いましょう」と…。来年のオールスターは、京セラドーム大阪と横浜スタジアム。一体どんな楽しいドラマが待ってるのか、ファンの皆さん同様僕達も大いに楽しみです♪
それにしても…札幌に帰ってからオールスター中継の録画を見たんですが、またしてもマスコットは全くと言っていいほど映っておらず…その点は今年もかなりガッカリでした。これだけアピールしといたにもかかわらず、露出のなかったせいで、球場で見てなかった方には「B・B目立たなかったね」とか言われる始末で…。球場内の演出は、僕らの声の反映される余地もいくぶんある為か、年々ちょっとずつは良くなってきてるんですが…TV中継に関しては毎年何ら変わってないですねぇ。一昔前「テレビじゃ見れない川崎劇場」なんてコピーがありましたけど、さしずめ「テレビじゃ見れないマスコット劇場」、マスコット達の活躍が見たければ実際球場に行きなさい、って事なんでしょうかねぇ?テレビ局の皆さん、誰かこのコラムを読んでらっしゃる方はいませんかー!?