2006/08/25(金)B・B'sコラム

【#33】ハンカチ王子と夏の悩み

 巷では今「ハンカチ王子」なるモノが急激なブームになってるようですね(笑)。確かに今年の夏の高校野球はドラマチックな試合が多かったけど、すぐに流行のモノに飛び付くのはどうも日本人の悪いクセのようで…。まぁ、そう言う僕も1回くらいは試合の時小ネタで使わせてもらうかもしれないですが(笑)。
 早実の斎藤投手の使っていたハンカチ見ながら僕が思い出してたのは、ファンからのプレゼント。「汗拭きにでも使って」とハンカチ大のミニタオルをもらう事が時々あるんです。誤解のないように最初に言っておくと、ファンの方からプレゼントをいただくって事は、全般的にスゴく嬉しいものなんですよ。物をもらっておいて文句言うのも失礼だし、そういうつもりじゃないのはわかって下さい(プレゼントについては、また機会を改めてそれをテーマにコラムを書きたいと思っています)。ただ正直を言うと、実際にはミニタオルって僕の場合あんまり役に立たないんですよ…

 マスコットにとって、暑さとの戦いは永遠のテーマ。「マスコット=暑いだけの仕事」って固定観念持たれるのは好きじゃないし、みんなそれを承知の上で好きでやってる事なんですけど、僕らにとって夏が一番キツい季節であるのは認めざるを得ない事実です。特に、夏場に汗をどう処理(?)するかはいつも頭を悩ませる部分なんですよね。先日もオールスターのマスコット集合の時、某マスコットとそういう話になって、あぁみんな同じような悩みを抱えてるんだなー…と(^^;)。
 皆さんご想像に難くないと思いますが、僕ら特に夏場は汗を大量にかきます。僕は元々全然汗っかきじゃなかったんですけど、マスコットを始めてからは気のせいか随分と新陳代謝が良くなったようで(^^;)。どのくらい汗をかくか、量ったことはないんで正確にはわからないですけど、多い時には1試合中に4~5?程度は水分摂ってますから、同じくらいの量は出てるはずです。夏の暑い日には、ユニフォームを脱ぐと汗でズッシリ重いですからね。夏の間はミニタオルどころか、バスタオル2枚くらいはないと間に合いません(笑)。
 ちなみに、僕らが仕事中に「暑い」と感じる要因は、単に温度だけの問題じゃないですね。実は、僕らにとって温度以上に重要なのが「湿度」。湿度が高いと、つまりムシムシしていると、たとえ温度が低くてもキツいですし、逆に温度が30℃くらいあっても、湿度が低くてカラッとしていれば、周囲が思うほどしんどくない。だから台風なんかが来たりして、暑い上に湿度100%なんて時は最悪ですよ(笑)。それから僕は地域柄、冬場は屋外で-10℃くらいの状況の中でイベント出たりする事もありますけど、たとえ-10℃だろうが-20℃だろうが、激しく動けば結構汗をかいたりするモノです。さすがにそのくらいの気温になると、じっとしてたら僕らでも寒いと感じますけどね(笑)。

 話が脱線したんで「汗問題」に戻りますが、問題はグリーティング等の際、それをどうやってファンに極力悟られないようにするかって事。ファンの皆さんは、マスコットと肩を組んで写真を撮ったりした時に、マスコットのユニフォームが汗でビッショリ濡れてたらどう思うんでしょうかね?「うわっヤダ!」と思うのか、「随分頑張ってるんだなぁ」と感じてくれるのか…。まぁ人それぞれだとは思うけど、僕はいつも前者の方を想定しながらやってます。まぁやっぱり普通、ふれ合った相手が汗ビッショリだったら抵抗は感じるモノですからね。
 だから、特に夏場にファンと直接ふれ合う際には、極力そういう事態は避けるように努めてはいます。僕が今持っているユニフォームの替えは2着。選手は多分ホーム・ビジターとも各3~4着程度以上は持ってるんじゃないかと思うけど、マスコットのユニは特注で1着1着の製作費が高い事もあって、意外とみんな衣装持ちじゃないんですよ。着替えがそれだけしかないと、表から触って汗で濡れていない状態を極力保つ為には、夏に限らず色々とやりくりが必要になってきます。僕は通常、試合前のグリーティングから試合開始までの間に1着、試合中にはもう1着の方を使って、試合後のグリーティングの時は、試合前に使った方を試合中に干しておいて再使用してます。夏の間は普通に干してるだけでは乾かないから、脱水した上で乾燥機にかけたりしてますね。
 ただ、僕の場合1回のグリーティングで長時間出づっぱりな事がザラだから、1時間以上とか出てるとどうしてもユニフォーム表面にまで汗がにじんでくる(^^;)。そんな時に「あー、B・B汗かいてる!」とか「わ~…なんか濡れてるぅ…」とかストレートに言われるのは、結構グサッとくるモノです(^^;)。カビーなんか僕以上に大変ですよ。鎌ヶ谷はいつもデーゲームな上に、今のところユニフォームが1着しかないみたいなんで…。彼が試合途中でTシャツとかに着替えてるのは、実はそういう理由もあったりするんです。
 今のところこの「汗問題」に関しては、有効な解決策は見当たりません…。グリーティング出てる最中に、ファンの前でユニフォームを着替える訳にもいかないですしね。僕らも機械じゃないんで、生理現象としてこれは仕方のない事かと…。もしどうしてもそういう状態を避けたければ、ファンと直接ふれ合う時間を短くするかやめるかしかないんだけど、そんな理由でグリーティングやめてたらマスコットは務まらないですし。よく人に冗談半分で「衣装に冷却装置付けたら?」なんて言われる事あるんですけど、それは僕の場合あり得ないですねぇ…。実際、海外のマスコットメーカーのカタログでそういうのを見た事ありますよ。中に冷却パック付のベストみたいなのを着用するような形だったかな?でも、そんなの着てたらアクロバットとか激しいアクション出来ないですしね(苦笑)。あと、これも夏場に、時たまファンの方から冷却シートみたいなものをプレゼントされる事があるんですけど、市販されてる冷却シートのようなものでは、残念ながら僕らの暑さは全く解消されるレベルではないんです…。

 今回は何だか汚い話でスイマセン…。m(_ _)m でも、せめて僕に出来る事と言えば、長時間のグリーティングの終盤になってきたら、ファンと写真を撮る時の肩の組み方を、出来るだけ体が密着しないような形に変えるとかくらいしかないのが現状ですね…。 あとは、ファンの方々には出来るだけ「あ、汗かいてる!」的な事を僕らの前では言わずに、気付かぬフリでもしておいてもらえれば助かります。マスコットに会って嬉しさのあまり抱き付いてみたら、汗で濡れていた――ファンの方もちょっと抵抗を感じるでしょうけど、僕らもそう言われるのは、同じくらい、いやそれ以上に抵抗を感じるモノですから…。