2005/10/05(水)B・B'sコラム

【#23】秋風

 今年は北海道でも9月下旬まで結構暑い日が続いたんだけど、まるでシーズン終了に合わせたみたいにここ数日一気に秋めいてきました。シーズンも、結果的には去年より1週間早く終了…。今年も無事シーズンを乗り切ることが出来た、という安心感もあるにはあるんだけど、シーズンが早く終わってしまった寂しさを痛感する今日この頃です。今年はチーム的には悔いの残る結果に終わってしまったけど、気を取り直してプラス面を語っていきましょう(笑)。

 今年は、僕個人としては物凄く収穫の多かったシーズンでした。まずはマスコット交流。今年はホント色んな球場に出掛けましたね。交流戦が実施された事もあって、ビジターでは実に10球場を訪れる事が出来ました。オールスターでも2試合ともマスコット集合があったし、随分と他球団マスコットとも仲良くなりました。他球場にお邪魔した時は、いつも試合の後相手のマスコットと一緒に食事とかしながら、色々な話をしましてね。今でもみんなとは時々連絡取り合ったりしてますよ。今まで外から他のマスコット見てると、「もっとこうしたらイイのにな~」とか思う事も色々あったんですけど、実際会って話してみると、それぞれが自分の置かれた環境の中で精一杯頑張ってるんですよね。みんな基本的に考えている事は一緒なんだなぁ、と分かって嬉しかったですね。
 マスコット交流の際は、マスコットだけじゃなく各球団の担当職員の方々とも随分面識が深まりました。特にセ・リーグ球団の方達は、パ・リーグのファンサービスについて強い関心を持ってたみたいで、色々熱心にリサーチしてたようです。パのファンサービスや演出は随分と斬新に見えたらしく、しきりに感心してた方も結構いました。自分達としては、いつも普通にやってる事だし、まだまだ色んなサービスや演出が出来る余地は残されてると思ってるんですけどね。
 逆に僕にとっても、セの球場を見て回って色々と勉強や刺激になりました。やっぱり一番印象に残っているのは甲子園かな?あの地鳴りのような声援と、勝った後の六甲おろしの大合唱。いつか札幌ドームも、こんな雰囲気の中でいつも試合が出来たら…と夢に描きました。あの人気球団の巨人も、様々な工夫を凝らしてファンサービスに力を入れてたのには感心したし、今年から内野スタンドのネットが撤去された横浜スタジアムは、スゴくファンとの距離が近く感じましたね。そして何より嬉しかったのは、名古屋でも広島でも、僕が公式戦では初めて行く土地なのに、ましてや僕の事も初めて見る方がほとんどだったと思うのに、ファンの方々がみんな温かく迎え入れてくれたこと。これは、同じく初めて訪れた福岡や仙台でも同じでした。どこも大半は相手チームのファンなのに、敵味方関係なくそういった人達と仲良く一緒の写真に収まったり、グラウンドでのパフォーマンスで大きな歓声をもらった時って、物凄く幸せを感じるんですよ。やっぱりみんな、セとかパとかどこどこのチームのファンだとか言う前に、「プロ野球」のファンなんだな~、って事が実感出来て。そして、それぞれの土地に、自分達の「ホームチーム」をアツく応援するファンの方達が沢山いる…これぞ、これからの正しいプロ野球のあり方なんだろうな、と強く実感した日々でしたね。単に経営的な面を見れば、特にセ・リーグでは交流戦が導入された事によって不利益を被った球団が多いといったニュースも聞くけど、交流戦は単にセとパの試合が見られるという物珍しさや新鮮味だけじゃなく、ファンにとっては違うリーグのチームや選手について知識を深められる良い機会になるし、球団関係者にとっても色々な情報交換のチャンスを広められる絶好のキッカケになる。実際にあるセ球団の職員の方が言ってたけど、長い目で見れば、プロ野球界全体の発展にとって、絶対に交流戦はこれからもずっと続けていくべきだと思いますよ!僕も出来る限り、こういったマスコット交流の場を毎年恒例にしていきたいと思ってます。
 交流戦の話が長くなったけど、あと今シーズン感じたのは、ファンの輪がだんだん広がってきてるな~、って事ですね。僕のところに届くファンレターにもよく書いてあるんだけど、ファン同士一緒に応援しているうちに仲良くなったり、今まで野球に興味がなかったのに、職場の同僚や家族に誘われて球場に行ったらそこから応援にハマってしまった、っていう方が結構いるみたいです。グラウンドからスタンドの風景を見てても、みんな良い意味で応援慣れしてきたなぁ、って感じますね。それぞれが自分なりの楽しみ方・盛り上げ方を掴んできたと言うか。そういった人達を「にわかファンだ」とか言って揶揄する人もいるみたいだけど、その呼び方が妥当であるかどうかは別として、「にわか」大いに結構じゃないですか!そう呼ばれる人達をこれからどうやって「本当のファン」にしていくかが、僕達の仕事なんです。入場者数の発表方法が今年から変わったので、去年と今年の観客動員を単純比較は出来ないんだけど、現場で見てる印象からは、去年よりも今年の方がだいぶ盛り上がってた感じがしますよ。あとは、例えチームがどんな状況にあろうと、ファンの皆さんにはこれからどんな時も辛抱強くチームを愛していってほしい、と願います。必ずしも、常に「優しく」ある必要はない。チームが不甲斐ない時には、思い切り叱咤してもらって構わないので…。
 それから、僕に会いに来てくれるファンの方がかなり増えたな~、っていう実感もありますね。特に夏場以降、試合前や試合後、それから「B・B's Room」でのグリーティングの時はいつもアッという間に長蛇の列が出来ちゃって…。夏休みが終わるまでかと思ってたら、結局それが最後まで続いちゃった。ファンレターも沢山もらったし、最終戦の時には両手で抱え切れないぐらいプレゼントもいただきました。今のところは何とか頑張って全員に対応してるつもりだけど、もし今後これが一層エスカレートしていったら、逆に僕がファンにとって遠い存在になっちゃうのかなぁ…?なんて、ちょっと複雑な気分でもあるんですが(^^;)。でも、僕にはまだまだ北海道でやらなくちゃいけない「課題」が山ほどある。今後に向けて考えている事は次回のコラムにでも書くつもりだけど、僕はいつまでもファンの皆さんと「ハートの通じ合う」マスコットであり続けたいと思ってますんでご安心を!

 シーズンが終わっても、休む間もなくイベントがいくつか入ってましたが、これが一段落した後僕はちょっとだけお休みをもらって、長かったシーズン(とは言っても、アッという間に感じられましたが・笑)の疲れを取ってきます。そして、その後10月下旬からはまた来年に向けてフルパワーで皆さんの前に出掛けて行きますよ~。このオフも、もちろん冬眠せずに頑張ろう!と、朝晩めっきり冷え込むようになってきた札幌の秋風の中で決意を新たにするB・Bなのでした。