2005/04/08(金)B・B'sコラム

【#17】 変わるもの・変わらないもの

 唐突ですが質問です。

 皆さんがマスコットに関心を持ったキッカケって、何ですか?
 それから、皆さんはマスコットのどんなところに一番魅力を感じてるんでしょうか?

 突然すいません(^^;)。このコラムを読んでくれてる方は、少なからず僕の事やマスコット全般に対して関心を持ってくれてると思うんだけど、その本質的な理由が知りたいと思って聞いてみました。どうしてこんな質問をしたのか…?僕の事をよくご存知の方々なら、大体察しはつくでしょう。

 3月28日の札幌での開幕戦、僕を見てビックリされた方は沢山いると思います。何しろ何の予告もないまま、そこにはすっかり「変身」していたB・Bがいた訳ですから…。この件に関して、ファンの皆さんからは色々な意見をいただきました。現実的な事を言えば、こういった「リニューアル」はマスコットの世界では時たまある事なんです。当然、変わりバナは賛否両論色々出るのも想定済でしたけど、反響の大きさが予想をはるかに超えてて、正直僕の方がビックリしています。中には「あれはニセモノだ。B・B自身が交代したんじゃないか?」とか、ひどいのになると「B・Bは体調を崩して、あれは2~3回限りの代打らしい」なんてデタラメなデマをもっともらしく流す人まで出る始末で…(苦笑)。僕はこの類のヘンな噂や憶測が大嫌いだし、今回のリニューアルの理由を誤解のないようにきちんと自分の言葉で説明する責任があると思う。今回のコラムは本来別の事を書こうと思ってたけど、予定を変更してこの件についてお話ししたいと思います。

 まず最初にお断りしておきたいのは、今回のリニューアルは僕の意思に反して球団に強制されたのではなく、あくまで僕自身の要望に沿って行われたものだという事。だから、今回の件に関しての苦情がある方は、球団ではなく僕自身に言って下さい!
 これまでのB・B(今回は仮に「旧B・B」と呼びます)は、1年3ヶ月の間激しく働き通した為、かなりボロボロになっていました。最後の頃、鼻の頭や眉毛があちこち擦り切れてたのに気付かれた方も多いと思うけど、ああいう目に見える場所だけじゃなく、内部の方はもっとひどく損傷していて、とてもあと1シーズン持つような状態じゃなかったんです。そこで今回のリニューアルへ…そこまではご理解いただけますよね?では、何故リニューアルに伴ってこれほど「変身」したのか?理由は大きく分けて2つあります。

 まず第一は、機能的な理由。これは結構現実的な話なんで、ここでどうやって書いたらいいのかちょっと難しいんだけど…要は「視界」の問題です(僕が以前からこのコラムで現実的な話ばっかりしてるじゃないか、と思ってる方もいると思うけど、僕がそういうスタンスを取るのはあるきちんとした理由がある時だけ。その辺については、また回を改めてお話しします)。
 去年、試合前に僕がスタンドのお客さんとキャッチボールをしてる時、足元に転がったボールを見失って右往左往してたシーンを目撃された方は多いでしょう。あれ、別にネタでやってた訳じゃなくて、本当にどこ行ったか見えなかったんですよ(笑)。あれに象徴されるように、旧B・Bは目が小さかった分視界が良くなかった。皆さんも、一度手で視界を4分の3ぐらい隠しながら歩き回って見て下さい。どれだけ不便か分かるハズです。今までは、その状態で札幌ドームの急な階段を上り下りしたり、ピアノ弾いたり、危険度の高いアクロバットもやっていた。トリビアで走った時も、走りながら自分が何位なのか良く分からなかったですからね(笑)。安全性や今後パフォーマンスの幅を広げる為には、視界の改善は急務だったんです。その為には物理的に目を大きくする事が当然必要になってくるんだけど、立体にはバランスというモノがある。機能性と見た目のバランスを考えた時、ああいう目の形にするのが結局ベストだったんですね。そして、目というのはマスコットの表情を一番左右する場所。そこを大きく変えた事によって全体のイメージが変わらざるを得ないのなら…という事で、次の理由に移ってくるんです。

 次の理由とは、「より多くのファンに受け入れやすいルックスにしたい」という事。旧B・Bは、良く言えば個性的、悪く言えばかなりリアルな顔立ちをしていた。実際に球場で「動いている」僕を見てくれてたファンの方は、動きや性格も含めてそんな旧B・Bを「カッコいい」と言ってくれてたけど、一方では僕を写真でしか見た事のない人や、初めて訪れる場所では顔をしかめる人も少なくなかった。小さな子供に怖がって泣かれるのは仕方ないとしても、大人にまで引かれるという反応が何度もあると、さすがに僕本人もヘコみますよ(^^;)。たぶんこの気持ちは、経験した事のない人には分かってもらえないんだろうけど…。これが生身の顔だったら、「生まれ持った顔にもっと自信を持て!」って倫理的な話になるんだろうけど、僕が思うに、マスコットの場合はちょっと事情が違う。マスコットに興味を持つ人って、その入り口は見た目の可愛さやカッコよさが関係してる人って多くないですか?ファンの大部分は日本人なんだから、日本人が一般的に好むキャラクターのルックスというのも、無視する訳にはいかない。これから色んな場所でより多くのファンを獲得していくにあたって、僕なりに長い間色々悩んで試行錯誤を繰り返しながら、ベストだと思う方法を選んだ結果が今回のリニューアルなんです。決してファンの事を考えずに軽い気持ちでやった事ではないんですよ!

 勿論、好みは人それぞれ。100人いたら100通りの好みがあるだろうから、全ての人に満足してもらうのは至難の業です。旧B・Bが好きで思い入れを持ってくれてるファン、特に大人の方ほど、ニューB・Bに違和感を持ってるというのもよく分かりました。だけど僕には、ニューB・Bもそう遠くないうちに受け入れてもらえる自信が充分あります。何故ならば僕は僕のままであり、B・Bの「ハート」は何ら変わっていないから。言ってる事、分かりますよね?マスコットの場合、前述の通り「関心の入り口」はルックスであっても、いつも球場に来て触れ合っているうちに、それぞれのキャラクターのもっと本質的な部分、つまり性格であったり、パフォーマンスであったり、ファンへの対応であったり…そういうところにみんな魅力の対象が移って行くんじゃないかと思うんです。だから、僕が僕である限り、例え見た目が変わってもB・Bは何も変わらない。いつも球場で僕をちゃんと見てくれてるファンならば、パフォーマンスの時の動きやファンへの対応を見れば、すぐに「あ、いつものB・Bだ」と気付いてくれると信じてるんです。だから、開幕初日に「あれはB・Bじゃない!」と言われたり、ニセモノ疑惑までかけられた時は信じられなかったし、正直傷付きました。「みんな、一体今まで僕のどこを見てくれてたんだ?」と…。以前コラムにも書いた通り、僕は例えケガや病気をしても這ってでも試合に出たいと思ってるし、どうしても出られない時は皆さんにきちんと説明した上で「お休み」します。ファンの皆さんに何の断りもないまま、交代するなんて失礼な事をする訳がないじゃないですか!だから実際初戦の日の晩は、悔しくて眠れなかったですよ。「明日は体が壊れるまで走りまくって回りまくって、ニセモノだと言ってた人達を見返してやる!」と思いましたからね。おかげで翌日は張り切りすぎて、脱水症状を起こして試合後は全身ケイレン起こしながらバク転してましたが(笑)。

 これが全ての真相です。リニューアルに当たって自分でこんな事情説明をするマスコットなんて、前代未聞でしょうね(苦笑)。正直言って、僕もこのコラムでこんな事を書くハメになるとは思ってもみませんでしたから。
 人って基本的に、変化に対しては抵抗を感じる生き物だと思うんですよね。ユニフォームだって変更になると、最初は違和感覚える人が多くて賛否両論出るじゃないですか?「前の方がカッコよかった」とか(ファイターズの現ユニフォームは、珍しい例外だと思うけど)。だから、ニューB・Bに関しても「慣れ」と「時間」が解決してくれると僕は思ってました。でも、反響があまりにも大きすぎて…。逆に言えば、特に去年は移転1年目で思い出深い年だっただけに、それだけ旧B・Bに愛着を持ってくれてた人も多かったんでしょうね。ありがたい事です。それから、何の予告もなしにニューB・Bに切り替えてしまったので、皆さんの心の準備が出来てなかった事も大きいでしょう。せめて旧B・Bの見納めをしておきたかった方も沢山いるでしょうから…。僕も予告しようかと思ったんですが、こういう事って「着ぐるみリニューアル!」みたいに堂々と告知していいものかどうか迷っているうちに、開幕前のバタバタにも流されて予告せずじまいになってしまったんですね。これは素直に謝ります。ごめんなさい!m(_ _)m
 「旧B・Bに戻して」って声も少なからずあるけど、申し訳ないですがそれは出来ません。今戻したら余計混乱を招くだろうし、最初に書いた通り旧B・Bは到底あと1年持つ状態ではないので…。今僕に出来るのは、ニューB・Bが1日でも早く全てのファンの皆さんに受け入れてもらえるように全力を尽くす事だけです。まだニューB・Bに違和感を感じられてる方、今回のコラムを読んで納得していただけたかどうかは分からないけど、球場でパフォーマンスをしている僕、そしてファンと触れ合ってる僕の姿をもう一度近くでよーく見てみて下さい。そこには今までと全く変わらない、いや、今まで以上のB・Bの「ハート」があるはずですから…。そして、今まであなたがB・Bのどんな所に一番魅力を感じていたのか、もう一度考え直してていただけたら幸いです。