うおっ乳デカいね♡ 違法建築だろ 作:珍鎮
と、友達のメスの匂いがしてクラクラする……!
早朝。
結局夢の中では意識してアシスタントとしての活動を続けていたせいか、性欲の解消どころか睡眠欲が昨晩よりも増大してしまい、結果的には寝ないで一徹した人になってしまった。
サンデー曰く夢で常にリラックス状態だったベル♡はともかく、他人の夢で起き続けるとそれは物理的に起きてる状態となんら変わらないらしい。マンハッタンの時と一緒だ。
ひとまずは欲情してドーベルに襲い掛からなかった自分自身を褒めてやる事にしよう。あ〜〜〜〜眠すぎてムラムラしてきた。おはようのチューが急務。
「んん……ぁ、つっきー……?」
「おはようさん」
「……お、おはよう」
少しばかり自分の身体や服装の乱れを確認するドーベル。だが何も無い。当然だ何もしてないんだから。寝るだけだと言ってるのにエッチなことなんてしないでしょ。ベルは傾奇者だね。
「ごめん……昨日、押しかけちゃって」
「俺がお前を無理やり連れてきただけだろ。気にする事じゃない」
「……うん」
申し訳なさを醸し出してはいるが、心なしか昨日よりも顔色がいい。
ゲーム制作が実際の現実で行われるかは分からないものの、夢の中ではこれから書く物語を一応は形にすることができたのだ。多少のモヤモヤは失せたに違いない。
お前は覚えてないだろうが俺はバッチリ覚えてる。あなたの健全な恋愛物語に変態成分をひとつまみ。後は加熱して調理終了です。
「……」
「ツッキー……?」
ジッと見つめてたら気づかれた。
まあ普通に寝起きでちょっと髪がポサッとしてるドーベルが可愛いのもあるが、何より
「だ、大丈夫……?」
「いや、ベルが可愛いなって思ってただけだから」
「……ふぇっ!」
性欲のオーバードライブ。今日の俺は一味違う。性的な興奮を隠すために、以前イベントの時にドーベルのタブレットで読んだ少女マンガに登場するイケメン風に振る舞うことに全力で取り組まなければならないのだ。脳細胞がトップギアだぜ。
「それよりベル、足の痛みはどうなんだ」
「えっ? ぇ、あ、えっと……あれ。足のこと、話したっけ……?」
「言われなくても見りゃ分かる。……昨日は気づかなくて悪かった」
「いぃぃいやいや! 全然ツッキーの責任なんかじゃっ!」
夢の中で徴収した情報をもとにメンタルケアを行っていこう。初めて会った時から思ってたけどめっちゃ美人だよね。
「軽く手当てをして早めに学園へ戻ろう。トレーナーさんには足の怪我のことは言ったのか?」
「ま、まだ……」
「じゃあ家を出るまでにメッセージの一つでも入れといてくれ。朝飯を食ったら遅刻する前にバイクで学園まで送る」
「……えっ、でもそれじゃあツッキーが遅刻しちゃうじゃない。ダメだよ、そんな……」
「中央の生徒が遅刻することに比べれば大したことないって。とにかくほら、肩を貸すから顔洗って」
ようやく朝の生理現象が治まったため、さっとドーベルを洗面台に連れていって俺はトイレ。
ていうかバイク、やよいにしばらく乗るなって言われてたけど緊急事態だからしょうがないよな。万が一怒られたら抱きしめて頭も撫でておでこにチューでもすれば誤魔化せるだろ。急に恋しくなってきた。
「……あれ、待って。よく考えたら今のアタシ、他校の男子の家に無断外泊してる……!? どうしよっ、どうしよう……ッ!」
なにやら洗面台でブツブツ呟いてるドーベル。
随分と心配性だ。トレーニング中の怪我で門限に間に合わず知人の自宅で一晩外泊しました、という立派な建前があるのだから大丈夫だろう。
それでも心配なら俺が安心させてやる。あの少女マンガを想起させるやり方でな。
「ベル、こっち向いて」
「えっ……?」
呼んで振り返った彼女の顔をふわふわタオルで包み込んでやった。ずっと顔を洗ってたら冷えちゃうぞお嬢さん。てか冷水じゃなくてお湯使いなさいよ。
「もふもふ」
「ぁう……っ」
「なるようになるさ、心配すんなって。必要なら俺もトレーナーさんに事情説明するから」
「……っ! ……うん、ありがと」
赤面してる。よーし楽勝。チョロすぎて申し訳ねぇなぁ。
「とりあえずそれ脱げよ」
「えっ……!?」
「あ、制服に着替えろって意味な。洗濯機まわして干してから家出る」
「……そ、そういうことかぁ」
どういう事かと思ったのかな。交尾したいならそう言うよ。今日のところは勘弁してやるがな。
ドーベルに貸した俺のシャツからは若干いい香りがした。小瓶に詰めるのは後にして、朝の支度と食事をテキパキこなしていく。
そしてついに出立。
トレセンまでならバイクで全然間に合う時間だ。俺は遅刻するだろうが問題ではない。
「……ねぇ、ツッキー」
ヘルメットを渡す直前にベルが呟いた。どうしたの愛しいお嫁さん。
「どうしてそんなに良くしてくれるの? アタシ、ツッキーには迷惑しかかけてない……」
この女急に何を言い出すかと思えばそんなくだらん事を。
現時点で目の保養になってるだろうが。うひょ〜♡ すげ〜身体。
ていうか何その質問。突然主人公の家で居候することになった不思議系ヒロインみたい。ていうかおっぱいデカくない? ふざけてる?
「どうしてもなにも友達だろ」
「──っ!」
何でハッとしてんの。もしかして友達じゃなかったのかな。不安になってきた。
「別に損得勘定で動いてるわけじゃねえって。友達が困ってたら助けるのが普通なんじゃないのか。……こういう恥ずかしくなるようなこと、あんまり言わせないでくれ」
「ご、ごめん……」
まもなくヘルメットを被って後ろに乗る可憐な女。好きって言って♡ 夫婦でしょ♡ 言えッ!
「…………えへへ」
微かな喜々の感情を察しつつ、敢えて指摘せず俺はバイクを走らせた。
おい背中にデカ乳押しつけるな! 重っ……こんなおっぱいを今まで活用してなかったの?
◆
トレセンの校門までやってきた。
ドーベルが事前に連絡していたらしく、件のネタ帳に名前があったマックイーンという少女が彼女を連れて行ってくれるらしい。
キキッ、と音を鳴らしてバイクを停めた。ちょうど登校時間と重なっているため、道行くウマ娘たちの視線を少なからず奪ってしまっているがしょうがない。
「ツッキー。言い忘れてたことがあるんだけど」
「何だ? あ、マックイーンさんが来るまで座ってな」
「ありがと」
バイクから降りたドーベルはやはり少し左足を庇って立っていたので、俺も降車して座席を譲った。
「実はあのお祭りの日、大半の人は怪異が見せた幻覚の事を綺麗サッパリ忘れたんだけど……全員がそうってわけじゃないの」
確かにドーベルを始めあの二人も怪異に見せられた夢の事はしっかりと記憶していた。
「アタシたち以外……他のウマ娘たちも”何かを見せられていた”っていう事を覚えていてね。しかも結構多いみたい」
「そりゃ災難だな。軽い恐怖体験だ」
「……それだけじゃなくて。みんな自分が囚われてる所を
つまりどういう事なのね。
「だから、えーと……」
何なんだ──しどろもどろになっているベルに問いたださそうとしたその時、後ろから声をかけられた。
「あっ!? あのっ、そこの人いいっすか!」
「ちょっとウオッカ! 突然どうしたのよ……っ!」
振り返るとそこにいたのはどこかで見た事がある短髪の黒髪ウマ娘と──ダイワスカーレット!?
うわわわわっわわ!!!! 魅力的で肉感的で素敵♡ 俺が巨乳コンサルティングとしてアドバイスしてやりたいところ。
「あ、アンタがバイクの人だったのか……」
「……えーと、ウオッカちゃんだったか」
「へっ? 俺の名前を知って……」
さっきダイワスカーレットが名前呼んでたからな。正直ちょっと忘れてた。乳がデカければ片時も忘れなかったのだが。
「スマホ、今度はちゃんと持ってる?」
「お、おう……やっぱりそうなんだ。いやっ、あの時はありが──」
「ウオッカ! ね、ねぇっ、この人海の家にもいたけど……もしかして夢で助けてくれたあの人じゃ……!」
ご名答ダイワスカーレット! 下品な体に生まれて良かったね。俺に開発される喜びがあるよ。
俺としては怪異とかいうカスとレースをしただけなのだが、幻覚から解放したことで少なからず彼女たちが見ていた夢に影響を与えてしまったのかもしれない。
ということは、何となく俺を知っているウマ娘が学園内で増えている可能性が高い。このダイワスカーレットもそうなのだろう。種付けチャンス。やはり俺の舞台は超エロ♡トレセン学園!!で間違いなかったようだ。
「ドーベル、お待たせしました──わッ!?」
「あ、マックイーン」
「その子がマックイーンか」
何だ、学園で助けたあの芦毛のウマ娘がマックイーンだったのか。綺麗で気品があって美術品みたい♡
「どどどドーベル……! どうしてこの方が……っ!?」
「え、メッセージで伝えなかったっけ」
「バイクで送ってもらうとしか! 一体どなたのお世話になっているかと思えば──」
「おはよう、マックイーンさん。ドーベルのこと宜しくね」
「わっ、ぁッ、は、はいぃ……♡」
夢の中のネタ帳を基に考えればこの少女は俺に一目惚れしている可能性が高いとの事だった。今世紀最大のモテ期到来じゃん。いや繁殖期か。性欲が限界なのでどいつもこいつも種付けして差し上げますから一列にお並びください。とりあえず連絡先だけ! ね!
「スペちゃん、おはよう」
「あ、スズカさん。あの、あそこにいる人……」
「んっ? ──えっ、葉月くん……!?」
遠くにサイレンスが見えた。おはようのベロキスお早めに。先頭の景色奪われちゃうよ。
「見て見てライスちゃん! あれ夢で悪いのやっつけてくれたお兄さんじゃない!? お礼を言いにいこーよ!」
「ちょ、ちょっと待ってウララちゃん、心の準備が……っ」
おむライス発見。朝から赤面してるのうはっ♡ エロっ♡ 真正の変態だわあいつ。
「むぅ゛うん゛っ! 退きたまえカフェ……彼の細胞をほんの少しだけでいいんだ! あの妙なレース場で人間には出せない速度で走っていたッ! あまりにも興味深すぎるじゃないか! 髪の毛一本でいいからぁ!」
「葉月さんには触れさせません……大人しくしていてください……」
あそこは何で相撲やってるんだろう。正気か?
「お兄さん、おはようございます。マーちゃんです」
「うおっ」
横から急に出てきた。誰だっけこいつ。マーチャン? それよりダイワスカーレットに負けず劣らず乳がデカくて話にならない。俺のこと好きになってから出直してこい。
「マーちゃん人形は気に入っていただけましたでしょうか」
「あ、あぁ……部屋に飾ってある」
「なるほど。ぜひ、マーちゃんを広めて頂けると、マーちゃんも嬉しいのですが」
「わかった、分かったからちょっと離れて。近い」
「はい。マーちゃんはアストンマーチャンといいます。アストンマーチャンです。覚えていてくださいね。マーちゃんでした」
ウマ娘ってやっぱりどいつもこいつも距離感が壊れてるよね。風紀はどうなっているんだよ! 朝から乳を押し付けるなどマゾメスすぎるだろ。
うるち米。とりあえずマーちゃん人形とやらを布教に使えとのことだから、あれは山田にでもプレゼントしよう。交友関係の広いあいつなら十分活用できるはずだ。
「ねえねえシャカール。校門の前で何か面白そうな事が起きているんだけど」
「興味無ぇな。……あっ、おい引っ張るな!」
「ん、オグリ? なに立ち止まってんねん」
「入り口が騒がしい。タマ、見に行こう」
「いやウチはどうでもい……ちょオグリ! 待ってぇな!」
「今日も美しいボク! おはようドトウっ!」
「はわわわぁ……」
「っ!? ボクに気がつかないほど鮮烈なものが校門前にあるのかい!? これはいけない、早急に調査をッ!」
──騒がしくなってきた。トレセンは男子が一人来るだけでこんな騒ぎになるのか。
マックイーンさんは迎えに来てくれたのだし、もうさっさと退散しよう。このままだと性欲に従って誰かに襲い掛かって返り討ちにあって死ぬ。
お前らは知らないだろうが今誰よりも助けてほしいのはこの俺なんだぞ。女子に囲まれたら間違いなく気絶する。
「ベル。またな」
「うん、ありがとうツッキー」
「困った時はいつでも頼ってくれ。じゃ」
そう告げてバイクを走らせトレセンを去っていった。興奮しすぎて危うくあの場でベルに告白してしまうところだったぜ。危ない。
……
…………
「秋川ッ!! 昨日サイレンススズカを連れ出したアレどういうことだ!?」
「説明して説明して説明してッ!!」
「コソコソ……あいつあの三人がいるっていうあの喫茶店でバイトしてるらしいぜ……」
「えマジ? メジロドーベルの連絡先とか貰えねえかな」
「あれっ、安心沢さん、お姉さんがトレセンの関係者なんでしょ? なんか知らないの?」
「全然知らないけど……トレセンの子たちと知り合いって、秋川君もしかして凄い人なのかな。クラスじゃあんまり目立ってないけど……よく見たら結構カッコいいかも……」
──どこいっても地獄だった。もう開き直ろうか。
ムラムラとか性欲とかそういうレベルではなくなってしまった。人として行動できる最大のギリギリが恐らく今日の夕方までだ。以降は絶対に理性が溶ける。
サンデー、昼飯食べるから屋上行こ。今夜は気絶すんなよ。
「秋川~」
「んだよ付いてくんな」
「そう言うなって。スズカさんたちの事いろいろ聞かせてよ」
「何でそんな知りたいの」
「当方キモ・オタクであるが故w」
山田も来るらしい。二人きりの時間を邪魔すんな。タコさんウィンナーいる?