朝のドラめもん

2022/12/21

お題「黒田砦、意味不明だが壮絶に陥落の巻とかマジ受ける(決定会合レビュー)」

昨日の朝アタクシは「アタクシは黒ちゃんが会見で野々村号泣会見ばりに「今までの政策運営は間違っていましたー、もうしわけありませーん」と号泣するシーンを冥土の土産に一度は見たいのですけれども、どうせ号泣しないからアタクシの冥土行きもまだまだという事にしておいてください。」などと申し上げておりましたが、危うくアタクシの冥土送りが決まるかと無茶苦茶焦りましたが(大嘘)、会見での黒ちゃんは号泣してなかったのでセーフ(???)。


〇唐突にYCC柔軟化(しかもいきなりレンジ2倍)で金利急騰は買入拡大で抑えるとの事だが・・・・・・・

ご案内の決定内容。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/k221220a.pdf
当面の金融政策運営について
2022年12月20日
日本銀行

・最初の背景説明がそもそも「今さら何を言ってるんだ」状態でクソウケル

ということで項番1。

『1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、より円滑にイールドカーブ全体の形成を促していくため、長短金利操作の運用を一部見直すことを決定した。』

まあ「緩和的な状態を維持しながら市場機能の円滑化を図り、YCCの延命を図るために柔軟化」というのは10年のレンジを10bp→10bpの2倍程度、に拡大した時からの常套文句なのでこれはこれでまあ良いとしましょう。次からが無茶苦茶。

『本年春先以降、海外の金融資本市場のボラティリティが高まっており、』

ちょwwwwwwおまwwwwwwwwwwww

えーっと、それに対してブチ切れ事案が発生した結果、4月の逆切れ25bp指値連発開始からのチーペスト指値に、イールドカーブじゃなくてカレント3点コントロール、になった次第でして、その結果として、

『わが国の市場もその影響を強く受けている。』

いやいやいやいや、あんたらが急に10年0.25%をどんな犠牲を払ってでも維持するって頑張ったから海外の引き締め姿勢の強まりによる影響が主に為替市場にドドーンと出た結果150円まで円安がすすんだんでしょうが何貰い事故みたいな言い方してるの盗っ人モーモーしいとはこのこと。

『債券市場では、各年限間の金利の相対関係や現物と先物の裁定などの面で、市場機能が低下している。』

そんな話は6月の決定会合前からやってたことだし、チーペストのSLF要件の緩和はしたけど、大して効かない(確かにやらなかったらもっと悲惨だったが)状態で9月限と12月限の次限月へのカレンダーロールって2回連続で波乱になりましたよね。今更言うの遅すぎにも程があって、これをいうなら9月会合、遅くとも10月会合での話であって、何を今さらにも程がありますよね。

『国債金利は、社債や貸出等の金利の基準となるものであり、こうした状態が続けば、企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす惧れがある。』

しかもこの謎理屈なのだが、そもそも日銀が無理矢理10年カレントをピン止めしたから、経済物価情勢のファンダメンタルズに沿って発生した売り圧力が他年限に飛び火して、その飛び火のせいでカーブ形状がおかしくなったり超長期のボラがクソ上がりした訳で、その結果としてスプレッドが安定的にならなくなったとか、10年カレントを馬鹿みたいに低くするから、その分実力ベースの金利上昇のコンペンセートする形でスプレッドが調整された(同じことは物価連動国債のカレント銘柄でもあって、カレントの計算上のBEIが1年前の銘柄対比でやたら低いんだが、表の10年が(この前までだと)10bp位期間が長い方が金利低いというアホアホ現象があったから)というように。「実力ベースの金利水準と、日銀が無理くり抑え込んだせいでおかしい値付けになっている国債市場の金利差が拡大した」のを反映したものともいえる。

まあ社債の場合は政策先行き不透明感によるものとか、その手の問題もあるので、上記の日銀の物言いが全部インチキとは言わないけど、まあかなりの部分日銀がへなちょこ政策でイールドカーブを無茶苦茶歪めたせいなのであって、言ってることが完全に放火魔の火消しみたいな世界ですね。

『日本銀行としては、今回の措置により、イールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果が、企業金融などを通じて、より円滑に波及していくと考えており、』

そもそも企業が賃上げすると好循環、って話をするならYCCとは別件で今回変更のなかったマイナス金利政策なんて家計の利子収入やら年金運用(最終的にはこれも家計ですわな)の運用利回りの低下(短期的に時価が上がってトータルリターンが増える話よりも長期間の低金利、マイナス金利によって再投資利回りがガンガン悪化する方が長く見れば効くわな)やらを通じて、今の長期間にわたるマイナス金利政策を起点とする低金利政策が個人部門の所得を政府部門に移転させている訳で、どうせならマイナス金利の撤回を何故しなかったのかは(この理屈を繰り出すなら)理解に苦しみますな。

『この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることで、「物価安定の目標」の実現を目指していく考えである。』

ということなのですが、これはもちろん10を10の2倍程度に拡大(その後2020年3月の点検で0プラマイ25程度になった)した時にも同じ理屈を捏ねていましたが、当時はそうは言いましても物価水準も低かったし、世界的なインフレどころか「フィリップスカーブが死んだ」などというような話(今にして思えば幻覚でしたが)があったような時代でしたので、まあゆうて確かにレンジ拡大で延命という話にはなったし、その後のコロ助ショックとかもあったから金利上がるって話はしばらく飛んでいたのは仰せの通り。

然るに、今回っていうのは「イールドカーブの歪みの是正により緩和的な金融環境のトランスミッションメカニズムを円滑化する」という説明にはなっていますが、そもそもの歪みは「死守している10年カレント3銘柄の金利が他年限対比無茶苦茶な水準になってしまった」ということによって発生していて、この場合、本当に10年の0.25%死守が意味のある話なのであれば、他の年限に指値バンバンぶっこんで輪番バンバン拡大して「10年以外の金利を必死に押し下げる」のが筋の筈なんですが(やったら地獄なんてもんじゃないですけどね)、死守するはずの10年戦線を大幅に後退させて金利上昇を容認する、って解決法を取った訳で、これ今はクリスマスだヒャッハーと言ってシュトーレン食ったりローストビーフ食ったりしてお家でお休みされている方々が絶賛戦線復帰されてきますと、「なんだ10年以外の金利を売り込めば最終的に日銀は10年のレンジ拡大するじゃん」という認識の元、マジノ線を迂回してベルギー国境からなだれ込んでくるドイツ機甲師団ばりにまたYCCアタック(ただしマジノ線正面ではなくてマジノ線迂回による)をしてくる、ということになりそうですね。これはアーニャも新年からワクワクが止まりません。

まあ確かに何ぼマジノ線死守したって後方のセダンが陥落してたら何の意味もないのであって、そらまあ現実的にはこうするしかないのですが、現実と折り合う事を拒否し続けた挙句にこのサプライズタイミングでポッキリ折れたのは負けるにしてもかなりみっともなくて、こんなことになるならせめて10月の展望レポートで「物価目標達成に向けた動きが強まってきたので、緩和度合いを微調整します」と王道の説明をしながら自分たちの勝利宣言も出来た筈なんですけどねえ。10月会合からここの間に何がどう変化したんでちゅかねえ~。



・全員一致とか今の審議委員(新任2名は辛うじて許さんでもない)と若田部某は全員そろって要らないので肥溜めで漬物にすべき

項番2も最初から何のギャグかという物件である。

『2.金融市場調節方針、資産買入れ方針については以下のとおりとする。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(全員一致)』

>(全員一致)
>(全員一致)
>(全員一致)

・・・・・・・・もうね、馬鹿かとアホウかと。

いやマジでついこの前お前ら展望レポート出して金融政策の維持を全員一致で決定したのに、この2カ月弱(前回は10月27-28日)の間に「全員一致」するまでの大変化が起きたかよという話ですわ。

せめて前回の展望レポート会合で「柔軟化」と言わなくても何らかの反対意思表示が審議委員から出る、というのであれば少しは話が分からんでもないし、なによりも今回何で若田部とか反対に回らないのお前何のためにリフレ派名乗ってるの(同じことは安達野口にも言えるが、先日の金懇で野口は執行部というか事務方の犬であることを高らかに宣言する情報発信をしていたので既に人間様ではなく犬あるいは置物あるいは自動賛成人形になっておる)かと小一時間問い詰めたい訳で、おどれらどのツラ下げて置物一派名乗っとるねんという話でもありますな。

前回はともかく、今回反対票出ないで決定、ってのは明らかに不自然であって、日銀の政策委員会がガバナンス機能を果たしていない、という事を示しているとしか申し上げようがないので、これがまた致命的に問題だと思います。まあ馬鹿政権が類は友を呼んで馬鹿ばかり送り込むからこうなったとは言え、見るも無残であり、とりあえず新任2名と黒ちゃん雨宮さんは勘弁するとして、他の政策委員は一生肥溜めの中に漬かって二度と出て来るなって感じですな。

その点、FOMCってのは立派なもんでして、今年6月に利上げ幅を直前になって(それまでの衆目の予想だったし、FRBの要人もそういう説明だった50bp利上げをひっくりかえすべく)強引に75bpの利上げをFOMC直前に織り込ませにいって、強引に75bp利上げを実施した際に、本来はバリバリのタカ派であるカンザスシティ連銀のジョージ総裁が「このようなサプライズ利上げはよくない」ということで50bpの利上げを主張して反対票を投じた、という事案がありましたように、一本筋の通った方がいらっしゃるわけでして、彼我の差を見ておりますと日本の情けなさに涙が止まりませんね。


・ところで国債買入拡大して他年限の指値オペも乱発しながら市場機能の為に利上げってのも無茶苦茶過ぎて凄いですね

項番2に入るまでで何でこんなに悪態をつけるんでしょこの政策はw

『①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。

長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。』

でもってこれは当たり前のように会見でバッシバッシ突っ込まれていましたが、黒田さんや内田理事が会見や国会答弁などで「10年金利のプラマイ0.25%のレンジ拡大は事実上の利上げ」って言ってたのに今回は頑なに「利上げではない」と言い張っていて、はいはいおじいちゃんさっきは逆の話をしてたでしょってツッコミをされていましたが、会見の文字起こしは本日出るので、そこでまた色々と悪態がつけると思いますが、黒ちゃんのロジックによると、この「10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう」が変わっていないので利上げではない、という新手の屁理屈を繰り出してきました。

するってえと何だい、3%水準は0%~10%のレンジで見たら0に近いから3%でもゼロ%程度って屁理屈でもいうって話かいって混ぜっ返したくなる所でございますが、結局の所これって年初に出た政策見直しに関するロイター砲に対して黒ちゃんが過剰に意地張って反応した無理が積もり積もって爆発したから今回従来の説明と矛盾するのを無茶苦茶な説明にもなっていない説明で体裁をなんとか取り繕わざるを得なかった、って話なんでしょうねえ、と思う訳で、人間謙虚に生きるべきで大言壮語すると後で死ぬこともある、という教訓ですな、と思うのでありました。

しかしまあ何ですな、

『②長短金利操作の運用

国債買入れ額を大幅に増額しつつ1、長期金利の変動幅を、従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大する。10 年物国債金利について 0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。』

指値水準が変わっているのに利上げでない、と頑なに言い張るのはまあ「あーはいはいおじいちゃんよーくわかりましたから、おくすりのおじかんだからのんでちょうだいねー」で済ますとしまして、

『上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、各年限において、機動的に、買入れ額のさらなる増額や指値オペを実施する。』

というのが最早何をいってるのか分からない(いやわかるけど)話でして、「市場機能の低下が問題」と言っておきながら、市場統制を強める「輪番オペの拡大」「他年限の指値オペ(早速昨日実施していましたが)」の実施という施策を取っておりまして、こいつら市場機能を回復したいのか統制強化したいのかどっちだかさっぱり分からんのだが、お前ら自分たちでやってる事の意味わかってるのと小一時間問い詰めたい。


・昨日の指値の金利水準の意味が全然分からない件(ちょっとここでオペ話を挿入)

ちょっとオペ話挿入しますが、
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of221220.htm
オファー (12月20日<火>)

最早何が何だかわかりませんが、後場になって50bpのディレクティブ通りの指値を打ったのは順当なので別に良くて、その次の臨時輪番もサプライズ結果だった分の金利上昇をスムージングしたいというのはまあ分からんでもないのですけど、その後のが全く持って意味不明で、

(注10) 固定利回較差の結果、2年利付国債443回の買入利回りは、0.020%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
(注11) 固定利回較差の結果、5年利付国債154回の買入利回りは、0.170%となる。買入金額に制限を設けずオファー。
(注12) 固定利回較差の結果、20年利付国債182回の買入利回りは、1.245%となる。買入金額に制限を設けずオファー。

最初2年5年の指値がオファーされて、後から20年の指値が追加されたと思うのですが、7年の指値が0.50%になっているのに5年の指値が0.17%ってお前どんだけイールドカーブ歪んだ指値してるんだよって話でございまして、イールドカーブの歪みが問題だからYCCの10年金利レンジの拡大したって話は何処に逝ったんだよと小一時間問い詰めたい。

しかもですよ、このオファーって既に市場の5年金利水準が軽く0.2%を抜けている中でいきなりインザマネーの水準で指値ぶっこんできておりまして、指値水準が市場金利よりも若干なりとも高い水準ならまだしも、いきなりどインマネの指値ぶっこむとか市場機能を更におかしくするだけじゃんという話。

だいたいからして、この0.17%の根拠って何だよということでありまして、均衡イールドカーブの概念から考えて適切な水準である、とでも考えているんだったら均衡イールドカーブの考え方を整理して出してくれればこっちだって経済物価情勢から日銀の考える適切な緩和水準をのっけて日銀の意図する望ましいイールドカーブ構造を考えていけるのですが、そのような背景説明が一切ない、という中でいきなり7年の指値水準から見て全然違うだろって水準(1億歩譲って考えれば10年0.50%で0年▲0.10%なんだから5年はその間の直線一気理論で計算すれば0.20%になるので、0.20%とでも言ってくれればまだしも(7年の0.50%はバックストップ、と無理矢理整理する)、0.17%とかいう意味不明な刻みマジでわからんわ)が打ち込まれますと、いやこれからこの指値どういう運用するんだよという話だし、10年以外の2年5年20年にバカスカと根拠不明の指値しかもインマネ指値あり、が何時飛んでくるかわからん、って話になったら、益々マーケットメイクするのただのリスクになってしまうから、オファービットが超絶広くしないとやってられなくなるし、市場の流動性もっとひどい事になりませんかねえ、と思ってしまう訳で、まあ単に輪番増額するだけならスムージングで話はわからんでもない(臨時輪番頻発はアカンけど)ですが、こんな指値という最終兵器の飛び道具バンバンぶっこんでしまうのはそもそもの「市場機能の低下に対応した措置」とマッコウクジラで矛盾するんじゃないですかねー、とこれまた思うのでありました。


〇ということで時間がアレのため(すいません)続きは明日ですが記者会見は酷かったですね

まあ当然ながら今回の会見は最初から最後までじっくりと拝聴しましたが、政策変更しているのにいつもの時間で切ってしまう時点でお前コミュニケーションやる気あるんか、という話ですが、会見場に登場してきた黒ちゃんの顔色が最初かなりどす黒く見えまして(個人の印象です)、質疑応答の途中でも目が泳いでいましたし、まあ政策決定自体が今までの論理破綻を更に論理破綻させているから支離滅裂になっているのは順当ですけど、今回はその説明もあまり力強くなかったし、まあ黒ちゃん完全にレームダック状態じゃんと思わせる物件であったし、しかもその説明が論理破綻なんてもんじゃなくて、今日の文字起こしが今から楽しみであります。


・・・・・・・・・とまあそういう訳でして、続きは明日(とオペ具合みながら明日以降も、かもしれませんね)でお願いいたします。なんかもう思ってることをキーに打ち込んでいるだけでもドバドバといろんなのが出て来まして、あたまも整理しないといけないし、時間もないし、手は勝手に動くし、みたいな感じで誠に申し訳ございませんでありまする。







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