アルプス電気は2017年にも、ゲーム向けデバイス「ハプティックトリガー」の量産を開始する。同製品は内蔵したモーターの力で指を押し戻すことで、モノの硬さを表現する。例えばハサミで硬いケーブルを切る画面では、ケーブルに指が当たった時の感触や、切断した際の感触を作り出す。
感触を伝えるための材料開発も進む。栗本鐵工所が開発した「ナノ磁気粘性流体」は鉄の微粒子を混ぜた液体で、磁力の強さで粘り気や硬さを自由自在に再現できるようになった。例えばドローンやラジコンのコントローラーに使えば、逆風を受けた時の抵抗感を操作者に伝えることができる。
既に、無線操縦機国内大手の日本遠隔制御(大阪府東大阪市)が製造するコントローラーへの採用が決定。今年中にも、初の製品が発売される予定だ。
次々に技術開発が進むハプティクス製品。共通する課題がコストの高さだ。量産化された製品や部品が現時点では少ないこともあり、「スマホに採用されたとしても、製品コストは少なくとも1割は上がる」(電子部品大手の幹部)との指摘もある。
ロボットやスマホなどに広く採用されるようになるか否かは、ハプティクスによってどんな付加価値が提供できるかにかかっている。感触を味わえた時の驚きは確かにある。だが、その驚きを利用者のメリットにつなげることができなければ、コスト増をクリアすることはできない。
ハプティクスは全く新しい技術だけに、可能性は無限大。技術シーズを持つ企業と触覚を使った製品やサービスを実現する企業の協業が、巨大な新市場を生む。
(日経ビジネス2016年5月16日号より転載)
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