海上決戦、大天使ラミエル(作者 犬塚ひなこ)
#TOKYOエゼキエル戦争
#葛飾区のラミエル、台東区海上決戦
#葛飾区
#台東区
#ラミエル
⊕
●境海上の大天使
TOKYOエゼキエル戦争、台東区。
ディアボロスの活躍によって光の調停者イーリスは撃破され、この区は最終人類史に奪還された。TOKYOエゼキエル戦争内においての台東区は海へと変わり、この区で改竄された歴史や状況は跡形もなく消え去っている。
夕暮れの色彩が水面を染めていく最中、ある大天使が漂っていた。
「ここは……」
それまで気絶していた大天使『ラミエル』は濡れた翼を広げ、暮れなずむ空へと飛び立つ。
ラミエルは自分の身体にそれほど損傷がないことを確かめながら、意識を失う前のことを思い出した。イーリスが撃破された直後、背浅草寺も周辺地域も消えた。
「あれが『奪還』……。ディアボロスが、台東区を文字通りに奪ったのですか」
奪還という現象のことを詳しくは知らなかったラミエルは台東区に留まり続けていた。そのため、奪還される台東区と一緒に一時的に最終人類史に引き寄せられたようだ。
しかし、そこでラミエルは弾かれてしまい、TOKYOエゼキエル戦争の時代に戻されてきた。
翼を羽ばたかせ、更に上空へ飛翔したラミエルは考えを巡らせる。
「奪われた区は海に変えられる、ですか。報告には聞いていましたが、自ら巻き込まれるのとはやはり違いますね。どうやら、私以外は戻って来れなかったようですが……」
葛飾区から出立した際には護衛代わりの軍勢を引き連れており、ディアボロスの会話の時は身を潜めさせていた。
だが、どの配下も奪還に巻き込まれて何処かへ消えてしまったようだ。もしかすれば違う場所に漂着しているかもしれないが、今のラミエルにその行方は分からない。ただ、周囲に配下がひとりもいないことだけは確かだ。
結果、ラミエルは『台東区がディアボロスの土地に統合された』ということを、本能的に知った。
奪還の実態を知らなかったとはいえ、これは失態だ。
沸々と湧き上がる感情には怒りと焦燥が混じりはじめている。されど、ラミエルは自分が冷静さを欠いていることも自覚していた。彼女は焦りを抱きながらも、ディアボロスと交わした会話や、これまでに得た情報を思い返す。
「ですが、全く収穫が無かったわけではありません。あの瞬間、垣間見た光景……奪われた区は、ディアボロスが支配するディヴィジョンに統合されただけで、おそらく消滅させられてはいない……」
意識を失うまでの僅かな間ではあるが、ラミエルは最終人類史の景色を見ていた。
其処から導き出されるのは、ある可能性だ。
「それならば……ディアボロスがやってみせたように、私達が奪われた区を奪い返す事も可能ということ……。台東区を奪い去った余波が残っているうちに、ディアボロスのディヴィジョンへの手がかりを探さなければなりませんね」
ラミエルは台東区だった場所の上空を飛ぶ。
何かひとつでも手掛かりを見つけ、葛飾区に持ち帰るために――。
●決戦か、撤退か
「みんな、聞いて! 大天使ラミエルの消息が掴めたわ!」
時先案内人のひとり、東城・リリカ(デーモンのレジェンドウィザード・g01222)は集った仲間に現状を告げていく。
先日、台東区の支配者であるジェネラル級大天使『光の調停者イーリス』を撃破し、台東区を奪還することが出来た。これによりTOKYOエゼキエル戦争の台東区は海となった。
それまで台東区にいたクロノヴェーダは、消滅するか隣接区に漂着したようだ。
しかし、決戦時に台東区に居た大天使『ラミエル』だけは違う経緯を辿り、海上に取り残されたらしい。
「ラミエルは台東区の奪還に巻き込まれたときに、最終人類史についての断片的な情報を得たようなの。台東区奪還の余波について調査を始めようとしているらしくて、今は海上を飛翔しているわ」
このままでは、これまで大天使に知られていなかった情報が持ち帰られる可能性が高い。
とはいえ、ラミエルが考えている調査方法は的外れなものでもある。放っておいても、かつて文京区が新宿海を散々探して何も手がかりを得られなかった二の舞いになるだろう。
「奪還の際にどうなるか、といったこと以外の情報的な被害はあまりないわ。だけど調査の邪魔はしておく方が良いはずよ」
今こそラミエル撃破のチャンスだ。
さっそく台東区の海上に向かって欲しいと願ったリリカは、仲間達に信頼の眼差しを向けた。
ラミエルは海上に孤立している状態なので、こちらも飛翔すれば戦いを挑むことが出来る。
「もうエゼキエルの台東区に地面はないから、つまり――空中戦ね!」
まずは何よりも先に【飛翔】の効果を持つパラドクスで攻撃を仕掛けるのが良いだろう。
今回、ラミエルを撃破しても『葛飾区の奪還はできない』が、ジェネラル級を討ち取る好機であることは間違いない。
「以前までのラミエルはディアボロスとの融和を望んでいたわ。だけど、目の前でTOKYOエゼキエル戦争の大地が奪われたことで前よりもディアボロスへの敵意を強めているようなの」
そのため以前のように交渉は行えず、情報を教えてくれることもない。
ある程度の時間が経てばラミエルは冷静さを取り戻すだろうが、戦いの中では友好的な会話は期待できないだろう。だが、今回はラミエルを倒さず撤退させる選択もありえる。
「融和交渉や、友好的な返答はもう期待できないわ。だけど、ラミエルと会話を行ったディアボロスのおかげもあって、聞く耳を持たない状態ではないの。だから、こちらからの意志を告げておくことだけはできるわ」
葛飾区の支配権や、ミカエルの件。
そういった諸々の情報から、敢えてラミエルを葛飾区に撤退させておく戦法だ。ラミエルの頭が冷えた後に思い出して貰えるように、会話を通じてディアボロスの意志を示しておくのも良いかもしれない。
イーリスに引き続き、ラミエルも撃破できれば大天使勢力に大きな打撃を与えられる。
敢えて撃破せずにこちらの意志を伝えて撤退させれば、新たな可能性が広がるかもしれない。しかし、これまでのようにラミエルがディアボロスとの融和路線を取るかどうかは不明だ。
「憂いを断つなら、このままラミエルを撃破した方が良いわ。でも、ここで撃破した場合は墨田区のミカエルが葛飾区を併合して二区の支配者となる可能性が高いわね」
リリカは現状を整理していき、可能性の話をしていく。
「墨田区のミカエルは、アルケー亡き後に大天使を纏められる唯一の実力者――という情報もあるの。このままミカエルに力を持たせすぎるのは悪手かもしれないわ。だけどラミエルが生きて戻ったら、ミカエルと一緒にディアボロスへの対策や、奪われた区を奪い返す作戦を練るかもしれないし……難しいところね」
複雑そうな表情を浮かべたリリカは仲間達を見渡す。
ラミエルを撃破するか、見逃すか。
究極の選択は今、台東区に向かう者達の意志と行動に託されている。
リプレイ
レイア・パーガトリー
ラミエル、初めまして…よね?
私はイーリスに用があったし、イーリスを許せなかったから
貴公の意に添える形に物事を運べなかったわ
人生がままならぬものなのは人だけでなく、大天使もそうみたいね
無防備な状態で本気を出されたら死んでしまうから
精一杯抵抗させてもらうけど
挑発せず、敵の飛翔を止めることを最優先で考えて
竜翼翔破で組み付いて足止めを行うわね
相手はたいへんな強敵なので、わずかにはなるでしょうけれど
少しでも時間を稼いでおきたいの
反撃には一撃離脱の要領で直撃を避け、重傷を負わないように回避を試みるわ
どうか、落ち着かれますように
●交戦開始
元台東区・上空。
TOKYOエゼキエル戦争におけるこの場所は最終人類史に奪還され、海へと変わった。
奪還という現象をその身で体験した大天使ラミエルは、土地をこの時代に戻すための手掛かりを探そうとしている。その姿を捉え、レイア・パーガトリー(毒棘の竜騎士・g01200)は竜翼を広げた。
ラミエルへと素早く飛翔したレイアは身構え、その名を呼ぶ。
「――ラミエル」
「あなたは……ディアボロスですか」
「ええ、そうよ。私とは初めまして……よね?」
「イーリスを討ち、この地を奪った者の中にいたのは見かけましたが……」
レイアに敵意を向けたラミエルの眼差しは鋭い。しかし、問答無用といった様子ではない。それこそが奪還の前にラミエルと言葉を交わしていたことで生まれた僅かな変化だ。
いつでも攻勢に移れるように備えながら、レイアはそっと頷く。
「私はイーリスに用があったし、イーリスを許せなかった。だから貴公の意に添える形に物事を運べなかったわ」
「……ええ」
「人生がままならぬものなのは人だけでなく、大天使もそうみたいね」
「そうですか」
イーリスのことについてレイアが語ると、ラミエルは否定でも肯定でもない言葉を返した。自分もイーリスのように討たれると考えているのか、ラミエルはレイアの話にそれ以上答えようとしない。
レイアは奪還を目指し、大天使は融和を求めた。
条件が重ならず、折り合いもつかなかった今、こうして対立構造が出来ている。ラミエルも歩み寄ろうとしたゆえに帰還せずにこの地に残ったのだろうが、ディアボロスの意志とは相反するものになった。
レイアは挑発などはしないと決めていたが、戦う意思を持っている。このまま無防備な状態で大天使に本気を出されたときに、死が待っていることも知っていた。
「交渉はもう難しいのね。だったら、私は精一杯に抵抗させてもらうわ」
竜翼を広げたレイアは其処から翔破を放つ。
相手の飛翔を止めることは至難だが、体力そのものを奪っていけばいずれ彼女は地、もとい海に落ちるだろう。レイアが組み付くように急襲していく中、ラミエルは力ある言葉を紡ぐ。
「幻に抱かれて堕ちなさい」
「そうなるわけにはいかないの……!」
ラミエルが具現化させたのは空中に浮かぶ亀裂、レイアを引き裂く鋭い幻。無数に出現した力に対抗するレイアは両腕をクロスさせ、襲ってきた衝撃に耐えた。
雷霆を思わせる巨大な形ある斬撃は容赦なくレイアを斬り裂き、刃のように迸る。
「まだ終わりませんよ」
「こっちだって、あなたをそう簡単に倒せるとは思っていないわ。だけど、やられるわけにもいかないから!」
相手は強敵。しかし、少しでも時間を稼いでおきたい。
レイアは更に翼を羽撃かせていき、ラミエルの翼を貫く狙いで一撃を繰り出す。たとえ僅かであっても構わない。
(「どうか、彼女が落ち着かれますように」)
静かな願いと共に、レイアは力を揮った。だが、おそらくラミエルはこの戦いが終わるか、葛飾区へ帰還した後にしか普段の冷静さを取り戻すことはないだろう。それでもレイアは意思を強く持ち、勇敢に戦い続ける。
此処から繋がっていく未来はどんなものなのか。
未だ誰も知らぬ先へ、思いを馳せて――。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】LV1が発生!
効果2【反撃アップ】LV1が発生!
秋風・稲穂
へえ、大天使様…か
逃がしても面白い展開になりそうだけど…頭が回る敵はあんまり残って欲しくはないかな
そういう訳だから悪いね、積極的に攻撃させて貰うよ
飛翔し『空中戦』の為の戦闘態勢
Burn the darkとL・デルフェスを抜刀
最大速度まで加速し、『一撃離脱』の戦法を取る!
一気に此方の射程まで『突撃』して【ダイブアンドズーム】発動
2剣による『連撃』で攻撃を与えた後、即離脱
敵の攻撃に備えよう
私に雷撃のような軌道は迂闊だよ
『電撃使い』としての経験則で、形ある斬撃の軌道を予測
全部回避する必要は無い、致命傷になりかねない起動のものを予測してそれだけは回避
残りは『念動力』で威力を殺し受けきる!
アドリブ等歓迎
●夕暮れよりも深く
台東区の海上に舞う白い影。
その正体は三対六枚の翼を羽撃かせて飛ぶ、大天使ラミエルだ。
夕暮れ時特有の橙の光を受けて舞う姿は美しくも思える。神々しいとはこのような光景を指すのかもしれない。
されど、此処は今から激しい攻防が巡る戦場になっていく。
「へえ、大天使様……か」
秋風・稲穂(剣鬼・g05426)は大天使が飛ぶ天空を見上げ、自らも飛翔した。
ラミエルは今、瀬戸際に立たされている状態だ。
ディアボロスによって倒されるか、見逃されて葛飾区に戻るか。その選択をするのは彼女ではなくディアボロス側。稲穂は仲間達が導いた今の状況について考え、敵影を追う。
「逃がしても面白い展開になりそうだけど……頭が回る敵はあんまり残って欲しくはないかな」
「……! またディアボロスが訪れましたか」
おそらく稲穂が呟いた言葉をラミエルも聞いていただろう。稲穂は漆黒の刀身と同時に、光の力を宿す剣を抜き放った。彼女の敵意を受け止めたラミエルも魔力を渦巻かせ、迎撃体勢を取る。
「そういう訳だから悪いね、積極的に攻撃させて貰うよ」
言葉と共に最大速度まで加速した稲穂。
彼女が狙うのは一撃離脱の戦法だ。一気に射程まで突撃していった稲穂はダイブアンドズーム発動する。二振りの剣による連撃がラミエルの腕を斬り裂き、痛みを与えた。
そのまま即離脱しようと試みた稲穂だったが、相手はジェネラル級でもある。孤立しているとはいえどかなりの力を持っている者であり、油断は禁物だ。
「やっぱり反撃は来るか。受けて立つしかないね」
「轟け、我が力。大天使に仇成す者を貫きなさい」
身を翻した稲穂に向けられたのはクシフォスの斬言。力ある言葉によって、雷鳴のような轟音と衝撃の幻を巡らせ、息つく暇もなく発生させ続けていく技だ。
縦と横、凄まじく鋭い形ある斬撃はまさに雷撃の如く。激しく揺らめきながら迫る軌道をしかと見つめた稲穂は、二刀を交差させていき、攻撃を受け止めに掛かった。
「私に雷撃のような軌道は迂闊だよ」
此方とて電撃使いだ。ジェネラル級が圧倒的な力を持っていても、稲穂にもこれまでの経験則がある。斬撃の軌道を予測しながら稲穂は果敢に立ち回った。
全てを回避する必要はない。寧ろ完全な回避を狙い続けることは無理な動きに繋がり、致命傷を招くことになりかねない。僅かでも威力を殺し、受けきること。それがこの戦いにおいて重要になっていくはずだ。
「まだまだ、私の攻撃は終わっていないよ」
此処からも立ち向かい続けることを宣言した稲穂はラ・デルフェスの切っ先をラミエルに向けた。そして、もう片手に握った漆黒の刀身に強い魔力を込めることで、その刃は紅く輝きはじめる。
本番はこれからだと告げるかの如く。
突撃していく稲穂の剣閃は眩い煌めきを宿し、夕陽よりも紅い斬撃が大天使の翼を散らした。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】がLV2になった!
効果2【アヴォイド】LV1が発生!
リューロボロス・リンドラゴ
アンデレ(g01601)と共に。
我はリューロボロス。
ラミエルよ。
貴様は命を賭け、言葉を尽くし我等との対話に望み……そして決裂した。
選んだのは貴様であり、我等である。
ここで貴様の賭けそのものを無かったことになどせぬ。
貴様を討つことが……命を賭けたぬしへの我が誠意と知れ。
アンデレと共に【飛翔】し《空中戦》よ。
我が強襲、受けるが良い!
『力ある言葉』か。
ふん、交渉にも使えそうな力だが……敢えて使わなかった、か。
動きを封じてからの斬撃、つまりは“来る”と覚悟はできるということ。
ならば我はこう応えよう。来い、と。
後は耐えるのみ、よ。
聞いたぞ、貴様の言葉。効いたぞ、貴様の斬撃。
決して軽いものではなかったよ。
ア・ンデレ
リューロボロスちゃん(g00654)と一緒に、ラミエルを殺しにきた。
アンデレちゃんはともだちパワーの翼で空を飛ぶ。
「ラミエルちゃん、ごめんね。ディアボロスと、はなしにきてくれたことはうれしいけど、でも、しんでもらうね。」
アンデレちゃんは、笑顔でラミエルに宣戦布告する。
「ラミエルちゃんは、なんで、イーリスちゃんといっしょにたたかわなかったのかな。
なんで、ミカエルちゃんといっしょにこなかったのかな。
けっきょく、ひとりで。けっきょく、ごうまんで。けっきょく、てんしだ。」
アンデレちゃんはともだちパワーを拳に集める。
突撃して、最強のパンチをラミエルに喰らわせる。
「うまれかわったら、ともだちになろうね。」
●言葉と意思
台東区海上にて、ディアボロスはラミエルが飛ぶ領域に向けて飛翔する。
此方を一瞥した大天使に向け、リューロボロス・リンドラゴ(ただ一匹の竜・g00654)とア・ンデレ(すごいぞアンデレちゃん・g01601)は名乗りを上げる。
「――我はリューロボロス」
「アンデレちゃんだよ」
「貴方がたもディアボロスですね」
ラミエルは少女達に敵意を向けていた。
奪還された海の上空まで訪れるのはディアボロスしかいない。それゆえにラミエルにとっては、此処に来る者すべてが退けるべき敵に思えているのだろう。
リューロボロスは竜翼を広げ、アンデレはともだちパワーのパラドクスを巡らせる。
飛翔の力が重ねられることでディアボロスは更に高くまで上昇できるようになった。この後がどのような展開に繋がったとしても、これならば不利にはならない。リューロボロスは身構えながらラミエルへと呼び掛けていく。
「ラミエルよ。貴様は命を賭け、言葉を尽くし我等との対話に望み……そして決裂した」
「そうですね、確かに決裂しました」
少女から投げ掛けられた言葉に対し、ラミエルは事実だと認めた。リューロボロスは真っ直ぐな視線を向けたまま凛とした口調で言い放つ。
「選んだのは貴様であり、我等である。ここで貴様の賭けそのものを無かったことになどせぬ」
「――というと?」
「貴様を討つことが……命を賭けたぬしへの我が誠意と知れ」
「随分と身勝手な言い分ですね。ですが、戦いならば受けて立ちましょう」
リューロボロスとラミエルの眼差しが交錯する。
一触即発の雰囲気が漂う中、ア・ンデレも己の思いを声にしていく。
「ラミエルちゃん、ごめんね。ディアボロスと、はなしにきてくれたことはうれしいけど、」
笑顔を見せたア・ンデレは拳に力を集め、一気に飛翔する。
「でも、しんでもらうね」
「我が強襲、受けるが良い!」
宣戦布告と同時に放たれたのはア・ンデレによるともだちパワーを宿した一撃。それと同時にリューロボロスが高速で突撃していき、双方からの攻撃がラミエルに迫った。
はっとしたラミエルは身を翻し、ア・ンデレの一撃をいなす。だが、直後に見舞われたリューロボロスの強襲にはうまく対応できなかったようだ。
されど相手はジェネラル級。反撃に移ったラミエルは雷鳴のような轟音と亀裂、引き裂く幻を具現化した。
「轟け、雷霆。引き裂かれろ、ディアボロス達よ」
リューロボロスとア・ンデレに向けて放たれた力ある言葉は激しく広がる。
鋭い痛みの幻と共に形ある斬撃が叩きつけられ、リューロボロスの体勢が僅かに揺らぐ。ア・ンデレは何とか避けたようだが、相手の力が強大であることは十分に分かる。
「それがぬしの力か。ふん、交渉にも使えそうな力だが……敢えて使わなかった、か」
「そのような使い方をして融和が認められるのならばやっていましたよ」
リューロボロスの言葉に対し、ラミエルは力には使い時があるのだと告げた。おそらく彼女が言いたいのは、戦いのための力を揮うのが今だということだ。
その間、リューロボロスは相手の攻撃がどのようなものか確認した。動きを封じてからの斬撃。
つまりは、来る、と覚悟はできるということ。それならば――。
「我はこう応えよう。来い、と」
厳しくなることは承知の上。後は耐えるのみ。リューロボロスの覚悟は強く、再び突撃を見舞いに向かう。その際に斬言が振るわれようとも彼女は止まらない。
ア・ンデレも攻勢に入り続けながら、ラミエルに疑問を向けた。
「ラミエルちゃんは、なんで、イーリスちゃんといっしょにたたかわなかったのかな」
「イーリスと共に滅ぼされる道を選べと?」
「なんで、ミカエルちゃんといっしょにこなかったのかな」
「それは貴女のお仲間に伝えてあります」
ア・ンデレは自分がさいきょうだと信じる力を巡らせ、鋭いパンチを繰り出した。ラミエルの体勢が揺らぎ、痛みを堪えるような表情が見える。ア・ンデレは次の一手に備えつつ、感じたままの思いを言葉に変えた。
「けっきょく、ひとりで。けっきょく、ごうまんで。けっきょく、てんしだ」
「……好きに思っていなさい」
ア・ンデレとのまともに会話することを諦めたのか、ラミエルは返答を放棄した。そして、其処へ迫り来るのはリューロボロスによるオーラ強襲だ。
「あれを受けてまだ動けるのですか」
「聞いたぞ、貴様の言葉。効いたぞ、貴様の斬撃。決して軽いものではなかったよ」
それゆえに覚えている。
リューロボロスの言いたいことを理解したらしいラミエルは、そっと頭を振る。
「成る程。貴女は武人のような方なのですね。しかし、私がその意志を受け入れると思わぬことです」
更に力ある言葉を放ったラミエルはディアボロスを退けようとしてきた。
攻撃は激しいが、戦うならば此方に勝機がある。そう感じたア・ンデレは別れの言葉を先に告げておくことにした。
「うまれかわったら、ともだちになろうね」
生まれ変わりという言葉をクロノヴェーダである大天使は信じているのか。それすら分からない現状だが、ア・ンデレはただ真っ直ぐに伝えていた。
そして――戦いは更に深く、激しさを増していく。
成功🔵🔵🔵🔵🔴🔴
効果1【飛翔】がLV4になった!
効果2【アヴォイド】がLV2になった!
【反撃アップ】がLV2になった!
橡・広志
ラミエルとの融和は不可能ではないかもしれない…
だが東京の奪還を考えるのならいずれは倒さなければならない敵だ……なら倒せるときに倒したい
なにより、俺は最初から大天使との関わりが有益になるとは限らないと思っている
対して生かしておくデメリットは確実だ
だからラミエルはここで倒す!
仲間から【飛翔】の力を受け取り、不規則な動きで攻撃を回避しつつ距離を詰めていこう
至近距離まで接近して鉄パイプの打撃と、ピストルのゼロ距離射撃、ディガーパックの工事用アームを叩きつける、組み付いて250mmバールでの突き刺しと異空間から武器を次々と取り出し手を替え品を変えつつ攻撃を繰り出すぞ
音羽・華楠
残留効果の【飛翔】を使い、ラミエルに空中戦を挑みます。
ラミエルは雷使い……の振りをした幻使いですか!
本物の雷使いとして負けられない相手です!
そう自分を鼓舞し、雷鳴を模した轟音や衝撃、その後に来る『形ある斬撃』もまとめて斬り払ってラミエルに一撃を届かせるくらいつもりで、《雷幻想・斬鉄》を振るいます。
ラミエルが逃れようとしても、《斬鉄》の雷の刃は変幻自在!
伸びて曲がってラミエルを追いますよ!
ラミエルと敵対する私の意志は、イーリス決戦で既に彼女に伝えてますが……もう一点だけ。
私たちサリエルと戦った復讐者は、彼女から頼まれてるんです――
――あなただけは絶対に殺せと!
その約束、反故にする理由も無いので!
●可能性と選択
――ラミエルとの融和は不可能ではないかもしれない。
それが橡・広志(理不尽への叛逆・g05858)が此度の交渉に抱いた印象だ。
しかし、現実はそう簡単には進まない。どれほどに融和を望み、望まれようとも、超えられない壁があることも確か。それに東京の奪還を考えるのならば、大天使ラミエルもいずれは倒さなければならない敵となる。
「……それなら、倒せるときに倒したい」
「同感ですね」
広志が出した結論はラミエルの討伐だ。
彼の言葉を耳にした音羽・華楠(赫雷の荼枳尼天女・g02883)は頷き、自分も同じ考えだと語る。
戦いをこの場で行っておくか、いつかどこかで後々に行うかの違いだ。加えて現状の冷静ではないラミエルを帰還させた場合、どうなるか不明だ。何より、広志は最初から考えていたことがある。
「大天使との関わりが有益になるとは限らない。対して生かしておくデメリットは確実だ」
「貴方はそうお考えなのですね」
残念です、と言いたげな声が空から降ってきた。広志が言葉にしたことが聞こえていたのか、ラミエルは翼を羽撃かせた。頷いた華楠と広志は周辺に巡るディアボロスの力を使い、声の主のもとまで飛翔した。
「聞いていたなら話が早い。ラミエル、お前はここで倒す!」
「ならば、私は全力で抵抗します」
ラミエルがいる高度まで一気に近付いた広志は宣戦布告した。対する大天使は他の復讐者からの攻撃を交わしながら、広志達にも警戒と敵意を向ける。
華楠はこれまでに仲間に向けられた攻撃から敵の力を分析した。
「ラミエルは雷使い……の振りをした幻使いですか! 本物の雷使いとして負けられない相手です!」
自分を鼓舞した華楠は身構える。
――雷幻想・斬鉄。
それは陰陽木行に属する雷の術を妖精たちの補助で昇華した技だ
雷鳴を模した轟音や衝撃、その後に来るはずの形ある斬撃すらも、まとめて斬り払ってラミエルに一撃を届かせる。心に決めた華楠は力を巡らせた。
たとえラミエルが逃れようとしても、斬鉄の雷の刃は変幻自在。
「ラミエル、この力はどこまでも追いますよ!」
「成る程、貴方の力はこのようなものですか。私の力もじっくりと見せてあげましょう」
華楠が強く呼びかけると、ラミエルは雷刃をいなしながら身を翻す。おそらく先程、華楠がパラドクスのことを聞いたので向こうも気に留めていたのだろう。今は何も押し隠すことなどなく、双方から全力のパラドクスが解き放たれている。
広志は敢えて不規則な動きを取り、少しずつ距離を詰めていった。
狙うは至近距離。
ひといきに接近した広志は異空間に繋がる穴から鉄パイプを取り出す。打撃を与えるべく振るった一撃の直後、彼はもう片手に構えていたピストルの銃爪を引いた。
「……!」
クシフォスの斬言が反撃としてラミエルから放たれ、雷鳴の如き轟音が響き渡る。
斬撃が襲い来る中、広志は身を反転させながらディガーパックの工事用アームを叩きつけた。そのままラミエルに組み付く勢いで飛んだ広志は、バールの一閃を叩き込んだ。
「あのような宣戦布告をするだけのことはあるようですね」
されどラミエルも抵抗を続ける。渾身の突き刺しが躱されても広志の手は止まらなかった。
異空間から武器を次々と取り出した広志。彼は手を変え品を変え、打倒ラミエルを狙う。戦いは激しいが、続々と仲間が集っている。このまま押し切れば勝てるはずだ。
華楠は仲間と連携を続けながら、ラミエルに声を掛けていく。
「ラミエルと敵対する私の意志は、イーリス決戦で既に彼女に伝えていますが……もう一点だけ」
「何ですか?」
「私たちは……サリエルと戦った復讐者は、彼女から頼まれてるんです」
「大天使との融和をよしとしない貴方が、サリエルの願いを?」
ラミエルは一瞬、これまでとは違った表情を見せた。まずは疑問。更に別の感情が裡にあったようだが、ラミエルはすぐに思いを隠したようだ。そして、華楠は強く言い放つ。
「――あなただけは絶対に殺せと!」
その約束を反故にする理由もない。宣言した華楠は更に高く舞い上がった。
雷刀から伸びる斬撃は鋭く、見事にラミエルを穿つ。
復讐者達はそれぞれの思いを抱いてこの場に訪れていた。戦いは徐々に此方の優勢になってきているが、此処からどのような展開に転ぶかはディアボロスの行動や思い次第。華楠も、広志も己の考えを貫くことを決意していた。
しかし、誰にも『正解』は選べない。
言い方を変えれば、今は正しいことを選ぶ場面ではない。
決戦を成し遂げるか、帰還させるかか。どちらがよりよいことであるかはまだ誰にも断定できないからだ。
選んだ道筋を、自らの手で正解にしていく。
それこそがディアボロスとして――或いは、この世界に生きる者としての歩み方だ。
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【アイテムポケット】LV1が発生!
【一刀両断】LV1が発生!
効果2【先行率アップ】LV1が発生!
【命中アップ】LV1が発生!
カイ・ハイデッガー
今となっては、流石に見逃すことは難しいな
対話がイーリス決戦のタイミングでなければ……
或いは討伐が成された時点で他区へ移動していたなら、また違ったのかもしれないが
さて、【飛翔】を使っての【空中戦】だ
仲間と連携できそうなら敵の視界外からの【不意打ち】を検討、そう出来ない場合でも何とか一撃入れられるように努力しよう
何方が先に仕掛ける形になるかは判らないが、やる事は単純
雷霆を思わせる斬撃ならば、軌道を【電撃使い】の知識で割り出し【看破】
致命的なものは回避、それ以外はオーラで防御しつつ最高速度で突っ込む【捨て身の一撃】を行うまで
攻撃後はその勢いのまま離れよう(【一撃離脱】)。追撃が来るのは避けたいからな
●一撃離脱
もし、あのような状況でなければ。
復讐者と大天使の対話は別の可能性を経て、うまく巡っていたのだろうか。
カイ・ハイデッガー(ユーバーシュライベン・g03134)の胸裏に巡るのは、もしもの話。だが――。
「今となっては、流石に見逃すことは難しいな」
彼の思いは固まっていた。
もし対話を持ちかけられたのがイーリス決戦のタイミングでなければ。或いは、討伐が成された時点で大天使ラミエルが他区へ移動していたなら、また違ったのかもしれない。
されど、この過去はどうやっても変えられない。ディアボロスが変えていけるのはこれから続いていく未来や、行く先のみだ。しかし、それでいい。
翅を広げたカイは高く飛び立ち、仲間達とラミエルが交戦する上空へと向かった。
空中戦は激しいものになるだろうが、既に仲間が大天使への攻撃を仕掛けている。攻勢に対応するラミエルには隙が出来るはずだ。その瞬間を見極めたカイは不意打ちに入る。
「――ッ!」
「!?」
武器である思念を全身に纏い、重心移動を利用した飛翔を行ったカイ。彼の一撃が直撃した瞬間、ラミエルはカイという新手が現れたことに気が付いた。翅を使った急加速はラミエルが捉えるよりも疾かった。カイは手応えを感じた直後、加速の勢いを殺さないように更に飛翔する。
「この攻撃はなんと忌々しい」
対するラミエルは苦しげな声をあげる。悪態めいた言葉が聞こえたが、それはカイにとっての褒め言葉となる。ラミエルに強い一撃を与えられたからこそ、あのような反応を引き出せたからだ。
続けて、大天使は力ある言葉を紡ぐ。
「引き裂かれて海に墜ちなさい」
亀裂と引き裂く幻を無数に具現させたことで、ラミエルはカイを惑わそうとした。それと同時に雷霆を思わせる巨大な形ある斬撃が次々と叩きつけられる。
「く……ッ! さすがはジェネラル級ってところか」
軌道を看破しようとしたカイだったが、斬撃は数え切れないほどのものだ。一撃目、二撃目は読めてもその後に迫ってきたものを見切るのはきりがない。だが、それでも致命的なものだけは回避できた。
オーラを纏ったカイは痛みを堪らえ、果敢に次の一手を見舞いに向かう。翅で風を切り、今の自分が出せる最高速度で突っ込んでいくカイ。それは捨て身の一撃だ。
「いずれお前にも終わりが訪れる。分かっているだろ?」
「う……くぅ……っ! それが今ではないことを、願うのみです」
カイの体当たりを受け、その言葉を聞いたラミエルは鋭い視線を返してきた。そうか、と答えたカイは突撃した勢いのままにラミエルから離れていく。
追撃が来るのは避けたい。あの攻撃をまともに受ければラミエルの言葉通りに海に落下するだろう。そう考えて一撃離脱戦法を取ったカイは、そのままラミエルの攻撃が届かない視界外へ飛び立った。
あの一撃が、確かにラミエルに効いていたことを確かめながら――。
成功🔵🔵🔴
効果1【飛翔】がLV5になった!
効果2【反撃アップ】がLV3になった!
八百陣・葵漆
そもそものところで、ディアボロスというのはその全てがクロノヴェーダへの怒りを抱く復讐者だからね
融和なんて、土台無理な話というわけさ
そして最終人類史も見られた以上、逃がす手は無いね
残留効果の飛翔を利用して空中戦だ
とはいえ、基本は回避重視
残留効果のアイテムポケットで取り出した絡繰り道具を使おうとしつつ
攻めあぐねているように見せかけようか
といっても、ジェネラル級相手では本当に致命傷の回避で手一杯になるかもだけどね
まあ、それでこちらに敵の注意を引きつけられれば問題なし
『偽・足下注意』
本命の絡繰り兵器は敵の頭上に辿り着いた
後はそこから投射される爆弾等で、不意打ちさ
真紅堂・乎乎那
アドリブ連携歓迎にて。
そうだねェ……。勘の良いヤツだ。
再奪還という発想に至ったのは危険すぎる。
愛すべき隣人達をまた失う訳にはいかない。
というワケで、いざ灼熱の空へ。
・フム。攻撃チャンスはあって一度と予想。
なるべく早めに攻撃して、私より攻撃力の高い者へ命中アップを繋げよう。
・飛翔とフライトドローンを利用し、目標まで一直線だ。
そしてデモニックボム。旋回しながら突っ込んで爆破しろ。
私に空中戦の心得は無いが……この子達は優秀でね。
祈ってやるよ。
「せめて、私達の思い出と融和できますように。」
●いつかは倒すべき者
対話と融和を求めていた大天使、ラミエル。
彼女が望んだ交渉は決裂しており、現状はまともな返答は期待できない。
しかし、八百陣・葵漆(勝利こそが正義・g01007)はそれでいいのだと感じていた。寧ろ変な方向に話が拗れていかないのならば、この状況は良いものだ。
「そもそものところで、ディアボロスというのはその全てがクロノヴェーダへの怒りを抱く復讐者だからね」
融和など土台が無理な話だ。
おそらく現在のラミエルも融和路線を前に出してこない。それ以上に重要なことを探り、知ろうとしているからだ。そのように葵漆が言葉にすると、真紅堂・乎乎那(埋火の魔創剣士・g02399)が頷く。
「そうだねェ……。それに勘の良いヤツだ。再奪還という発想に至ったのは危険すぎる」
「そして最終人類史も見られた以上、逃がす手は無いね。おそらくラミエルは今までのクロノヴェーダよりも更に先を見てしまっていて、その上でどうすべきか判断しようとしているかもしれないね」
「あぁ、愛すべき隣人達をまた失う訳にはいかない」
既に取り返した区にはディアボロスを信じている人々がいる。
彼らが住み、愛する土地を、もしも何らかの形で再びTOKYOエゼキエル戦争の地に戻されたとしたら――。其処に待っているのは今まで以上の地獄だろう。
現状のラミエルをただ撤退させるということは、かなり危険なことだ。
だが、もし逃したとしても勝算がなくなるわけではない。撤退までにラミエルの考えや復讐者への思いを変えるほどの言葉を掛けられたならば、未来は変わるだろう。
それでも、どのような言葉がラミエルの心に届くかは誰にも分からない。
それならば後はリスクに対してどう出るかだ。葵漆と乎乎那は此処でラミエルを倒すべきだと判断した。
「おっと、向こうもこっちに気付いたようだよ」
「フム」
葵漆は一気に飛翔していき、乎乎那もそれに続く。
ラミエルはディアボロスに抵抗しようとしており、熾烈な攻撃を解き放ってきていた。他にも強力なジェネラル級がいるといえど、ラミエルとて同じジェネラル級。
彼女が放つ力ある言葉は形ある斬撃となり、容赦なく迫ってくる。
「攻撃チャンスはあって一度だろうか」
そう予想した乎乎那は味方の配置を確かめるために周囲を見渡した。それならば出来る限り早く行動することで仲間に次の一手を繋げることが重要だ。
葵漆は正攻法よりも搦手で攻めることを決め、共に戦う仲間の援護に入っていく。
攻撃には敢えて転じず、葵漆はラミエルの攻撃を回避することを目指した。アイテムポケットから取り出した絡繰り道具を使おうとしていく葵漆だが、なかなかそれを使おうとしない。
その様子に気付いたラミエルは怪訝な様子を見せた。
「……?」
(「よし、こちらが攻めあぐねているように見せかける作戦はいける」)
葵漆の行動は敢えてのものだった。
ただしこの行動は何度も使えるものではないだろう。それにジェネラル級相手では本当に致命傷の回避で手一杯になるかもしれない。だが、こちらに敵の注意を引きつけられれば問題はない。
その間に乎乎那がパラドクスを巡らせた。
「私に空中戦の心得は無いが……この子達は優秀でね」
コウモリの如く敵に向けて飛ぶ悪魔爆弾の群れが放たれていく。それらは目標まで一直線に飛び、旋回しながら突っ込んで爆破しろ、という乎乎那の命令を忠実に実行していった。
爆発がラミエルの周囲で巻き起こり、ダメージが巡る。
其処に生まれた隙を逃さなかった葵漆は攻撃を叩き込むに相応しい好機を掴み取った。
「足下注意……ふふ、本命はこっちさ」
――偽・足下注意。
これで本命の絡繰り兵器は敵の頭上に辿り着いた。後は兵器から投射される爆弾で不意打ちを見舞っていけばいいだけだ。はっとしたラミエルが上を振り仰いだときには既に遅かった。
反撃の余地も与えぬまま巡った爆風が大天使を貫く。
葵漆は身を翻して飛び、乎乎那も戦いの行方を見据えるような眼差しを敵に向けた。
祈ってやるよ、とラミエル告げた乎乎那は金の瞳を細め、心からの言の葉を紡ぐ。どのような結末になろうとも、此処からどんな未来が続いていこうとも、この思いだけは嘘ではない。
「――せめて、私達の思い出と融和できますように」
大成功🔵🔵🔵🔵🔵🔵
効果1【避難勧告】LV1が発生!
【フライトドローン】LV1が発生!
効果2【ダメージアップ】LV1が発生!
【命中アップ】がLV2になった!