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EVのFAQ (ver.2.0)

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EVのFAQ (ver.2.0)

  1. 1. EVのFAQ (EVにはPHVを含む場合があるが、ここでは特にBEV = Battery Electric Vehicle、純粋な電気自動車を指す) 2021.1.24 櫻井啓一郎 (産業技術総合研究所 安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ 主任研究員) (個人の見解を含みます)
  2. 2. ・EVは運転しやすく、乗り心地が良い。 ・静か、反応が良くて加速もスムーズ。 ・冬期でもすぐに暖房が入る ・非常時の電源・移動手段確保(避難所等への給電可能、太陽光等でも充電可) ・排出量削減になる(ならない、という主張は一般論として不適切) ・地域で発電した電力を利用出来る→燃料購入費の域外への流出抑制 ・現時点の日本では ・まだ車両価格が高い ・充電速度が遅い車しか販売されてない(テスラ除く) ・充電インフラが弱くて不便 ・でも ・今後、車両価格でも内燃機関車より安くなってくる見込み(BNEF等) ・充電が速い車種も登場→遠出も不便無く可能に ・残る問題:充電インフラの弱さ→今から備えを! ・住宅(集合住宅含む)、職場 ・店舗、公共施設 ・幹線道路沿い インフラを整備すると、内燃機関車よりむしろ便利になってくる (これを見落とした議論がめっちゃ多い。) 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  3. 3. 「電動車」の種類 電動車活用促進ガイドブック(経産省・CEV)より ・どの電動車でもバッテリーとモーターは搭載 ・一番シンプルなのがEV(もしくはBEV) ・「EV」にBEVだけでなくPHVも含むケースもあるので注意(特に海外) ・BEV+PHVをまとめて「プラグイン車両(plug-in car)」と呼ぶことも。
  4. 4. EVの歴史 トルーヴェ(仏)(1881) 世界初の二次電池を使った 電気自動車 Jacques CATTELIN, CC BY-SA 4.0 1900年前後 電気自動車が普及(ガソリン車以前!) 初めて100km/hを突破(1899年) →1920年頃からガソリン車台頭、消滅へ 1913年、エジソンとEV (Public domain; Wikipedia) 1947-1950年 日本初の量産電気自動車「たま」 航続96~200km、最高時速35~55km/h 当時としては高性能、タクシー等に採用 東京電気自動車→プリンス自動車→日産 (CC-BY-SA-2.1-jp; baku13@Wikipedia) GM EV1 (1996) 航続96~240km 一部でカルト的人気に https://www.nissan-global.com/JP/ZEROEMISSION/HISTORY/PRAIRIEJOYEV/ 日産プレーリージョイEV(1997) 初のリチウムイオンバッテリー搭載EV 航続200km 国立極地研究所北極観測センターでも使用 (CC-BY-SA-3.0; Rmhermen@Wikipedia) テスラ ロードスター (2008) 0-96km/h 3.9秒、航続393km ノートPCと同じ18650セル採用 著名人も多数購入し有名に (CC-BY-SA-2.0; fogcat5@Wikipedia)
  5. 5. ついに普及が始まったEV (100年ぶりのリベンジ) 日産 リーフ(2011~) (Public Domain; TTTNIS@Wikipedia) 航続117km(EPA)→364km(同) 最大充電速度50~70kW 航続100~180km(EPA) 最大充電速度 50kW 三菱 アイミーブ(2009~) (Public Domain; OSX@Wikipedia) (CC-BY-SA 4.0; Vauxford@Wikipedia) 航続335km~647km(EPA) 最大充電速度120~250kW テスラ モデルS(2012~) (CC-BY-SA 4.0; Kevauto@Wikipedia) 航続383~417km(EPA) 最大充電速度 50kW Chevrolet Bolt EV(2016~) (<=>世界の4輪車:14億台超)
  6. 6. 価格も下がってきた https://www.ucsusa.org/resources/ev-batteries A: 総保有コストでは現時点でも安いケースあり。車両価格でもあと数年程度で安価になりそう バッテリ価格があと数年で一線を越えて安くなる ・走行コストが安い ・メンテナンスコストも安い(消耗部品が少ない) ・部品点数が少ないので組み立てコストも削減可能 ・2022~2030年にかけて順次、内燃機関車より安価に?(BNEF等) …と同時にEVシェアが急増見込み 世界の新車販売予測の例
  7. 7. 普及で先行する国々 国内で既にEV普及開始 2050年までに新車の半分へ (西安にて、2019年) バッテリーメーカーCATLは設立10年足らずで世界首位へ 安さだけでなく性能も向上、テスラも採用 テスラ対抗の高性能EVも登場、輸出も開始 XPeng P7 (CC-BY-SA 4.0; Jengtingchen@Wikipedia) 中国 ノルウェー 2020年は新車の54%がBEVに 主に金銭的インセンティブ 北極圏内にも充電器展開&増設中 世界 2020年11月は新車の4.1%がBEVに (約29万台) https://insideevs.com/news/463741/global-plugin-car-sales-november-2020/
  8. 8. さらに普及加速の動き 化石燃料車禁止の動き 2025年:ノルウェー 2030年:オランダ・ドイツ・イスラエル イギリス(PHVは2035年) 2035年:米国の一部州 中国(HV/PHVは除外) 2035~2040年:カナダの一部州(一部はHV/PHV除外) 2040年:フランス • 産業政策 • 化石燃料依存度低減 • 再エネ普及促進 • 大気汚染低減、気候変動対策 等々 既存予測よりさらに前倒しになる? 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  9. 9. 燃料購入費削減の効果 日本全体のガソリン・軽油の 小売価格の合計額:約12兆円 /年 (2018年度) (エネルギー白書2020のデータより算出) 人口10万人当たり:94億円/年 一人当たり:9.4万円/年 →大半が「外」へ流出 (家・企業・自治体・国…) 自治体内部 自治体外部 自前の資本で運営・発電した電力を使えば 地域からの資金流出を減らせる (外部資本による運営では 効果が薄い) 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  10. 10. 日本の化石エネルギー輸入額 10 昔に比べて年あたり何兆円も増大 そもそも、不規則に変動すること自体がリスク 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  11. 11. Q:航続距離が短すぎる? A: 急速充電インフラ&車両側の対応次第。 長距離移動を想定したとき: (1) 経路上に充電器が無い/充電しない場合 →充電器が無い区間を走りきれないといけないので、相応の航続距離が必須 (2) 経路上に充電器はあるけど、速度が遅い場合 →出発時に満充電にしておいて、充電速度の遅さをカバーするので その分だけ航続距離(バッテリ容量)が使い勝手に影響する (不足時は充電のために長めに休憩すれば、一応なんとかなる) (3) 経路上で超急速充電が可能で、休憩時間中の充電だけで間に合う場合 →休憩時間を延ばさずに長距離移動できる。 給油で車に張り付く時間が無い分、むしろガソリン車より時間節約も可能に 幹線道路沿いに超急速充電器を整備し、車両側も対応すると EVでの長距離移動も実用的に。 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  12. 12. Q:充電が遅すぎる? (給油と同じ速さで充電できないとだめ?) A:充電時間は給油時間と異なる。使い勝手は、休憩時間との差で決まる。 内燃機関車の給油中は、車を離れられない。 一方、EVは駐車のついでに充電する。充電中は車から離れて食事や買い物に行ける 内燃機関車と同じに考えてはいけない。 充電器を整備しておき、駐車のついでに充電するのが基本。 自宅や職場 → 普通充電(~20kW) 街のスーパー、レストラン等 → 普通~中速充電(~100kW) 高速道路のSA等 → 超急速充電(100kW~) →給油で拘束される時間が無くなる分、むしろEVの方が無駄な時間を減らせるように。 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  13. 13. 充電の実際 ・200Vコンセントに繋ぐだけ(3kW) ・残量から逆算して夜中に自動的に充電開始 朝の指定時刻までに満タン ・毎日脱着に10秒×2かけても月あたり10分 わざわざガソリンスタンドに行く手間無し →むしろエンジン車よりも便利に (どれほど急速充電が速くても、自宅充電が最強) ・V2Hシステムを入れれば建物への給電も可能に ・機械式駐車場にも充電器装備可能 (集合住宅への普及推進策が有効) (画像:パナソニック) 住宅 店舗、SA/PA、道の駅等 (写真:evsmart.net) ・ケーブルを繋ぐ ・充電器に専用カードでタッチ、開始操作 (テスラではケーブルを繋ぐだけ) ・充電中は車を離れて買い物や食事へ もちろん車中で休憩も可能、エアコンもタバコもOK ・充電速度がある程度以上速ければ(120~250kW以上) 通常の休憩時間だけで充電が足りるようになってくる →ガソリンスタンドに行かない分、より便利に 充電環境が整うと、EVが最も時間の節約になり得る(マジで)
  14. 14. ETCデータによる休憩行動分析結果 300km以上の移動ではおよそ5~6割の小型車ドライバーが 合計30分以上休憩する 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  15. 15. 具体例で見る充電速度の影響 EVで長距離移動時の充電速度の影響の見積もり例: 片道400kmを往復、目的地充電無し、電費6km/kWh、100km/hで走行、 バッテリ60kWh、満充電出発&空っぽで帰宅=途中で73kWhを充電 走行 走行 途中で必要な充電時間: 250kW:18分以上 100kW:44分以上 50kW:88 分以上 休憩 (充電) ボリュームゾーンのEVでは、 100~150kW程度の充電速度で案外足りるかも 半分以上のドライバーが途中で60分以上休憩 • 100kWなら平均的な休憩中の充電で足りる。 • 250kWなら半分以下の時間で足りる(充電器のない駐車場も選びやすい) • 50kWは休憩時間を延ばすことになりやすい。 (※実際の充電時間はバッテリの残量や温度等の条件で延びる) 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  16. 16. https://blog.evsmart.net/quick-charger/chaoji-next-gen-charging-standard/ 車両側の対応状況 近距離専用なら50kW程度の充電速度でも 売れる(Zoe等)。 バッテリを強制冷却できないと 充電速度が落ちやすい。 テスラ車のような250kW充電だと 10分間で200km走行分を充電可能 →200kmあたり10分以上休憩するなら、 充電インフラ次第で不便なくどこまでも 移動可能 ハイエンド車種では平均的な休憩時間中の充電だけでどこまでも移動可能 (ボリュームゾーンでは100~130kWぐらいが定着しそう?)
  17. 17. 急速充電器の整備状況 各国とも超急速充電器(150~400kW)の整備を進めている 日本はTeslaを除くと90kWぐらいまでしか設置されておらず、出遅れている https://energypolicy.columbia.edu/sites/default/files/file- uploads/EV_ChargingChina-CGEP_Report_Final.pdf https://insideevs.com/news/390092/ ccs-8000-fast-chargers-europe/ 米国 欧州 中国 他にもカナダ、オーストラリア等々… https://www.tesla.com/supercharger https://www.electrifyamerica.com/locate-charger/
  18. 18. 「航続距離」(バッテリ容量)だけでは売れない 「航続距離」は購入をためらう理由の筆頭格だが、実は単純にバッテリー だけを増やしても売れ行きは伸びない。リーフが身を以て実証済み。 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  19. 19. バッテリーがすぐ劣化する? https://survey.pluginamerica.org/leaf/charts.php https://survey.pluginamerica.org/model- s/charts.php リーフ(バッテリ自然空冷のみ) モデルS(バッテリ加熱・冷却機構あり) さらに最近は複数メーカーが「百万マイル持つ」バッテリをアナウンス。 まもなく市場投入されそう? A:最新技術では、数十万マイル以上使える耐久性がある (むしろ車体の方が先に廃車になる→バッテリを中古で再利用するビジネスも始まっている) バッテリの能動的な温度管理が重要
  20. 20. 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 ミラージュ タンドラ コルベット ハイランダー F-150 ローグ RX 450h プリウス モデル3 リーフ (24kWh) スマート fortwo i3 モデルS 60D RAV4 Hybrid 800 600 400 200 0 プリウス PHV 走行距離あたりコスト(車格の目安)(USD/mile) 走行距離あたり排出量 (g-CO2eq/mile) 純エンジン車 HV PHV EV Carboncounter.com (MIT Trancik Lab)のデータより 作成 電源の排出原単位:460g-CO2eq/kWh ライフサイクル中の走行距離:9.6万km で算出(日本の条件に近づけている) EVは排出量削減になる アルゴンヌ国研のGREET モデルに基づく (自動車全般の共通モデル) ・燃料や電力は 「井戸から車輪まで」 (Well to Wheel) ・車体、バッテリ等は 「ゆりかごから墓場まで」 ・燃費・電費はEPA基準 (現実に比較的近い) 詳細は論文で公開 https://doi.org/10.1021/acs.est.6b00177 電源の脱炭素化が進むと、 EVがさらに低排出になっていく (化石燃料車では 追いつけなくなる) 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  21. 21. 地球温暖化の予測の信頼性 IPCC(気候変動に関する政府間パネル;国連の組織)による評価報告書: ・世界中の科学者数千人の知見 (原則として査読済み論文)を収集 個別に科学的信頼性を評価 ・重要な結論は必ず複数の証拠に基づく ・全文が論拠と共に公開されている ・世界の殆どの国々がチェック&公式に承認 →手順等にも大きな問題が見つかっていない 大抵の懐疑論: ・一般向け書籍やブログ・動画等、まともな論文なし →そもそも世界で読まれてない(科学的な検証を受けてない) ・論拠に想像(陰謀論等)や独自解釈等が混入。信頼性が検証不能 ・「教授」等の肩書きに頼っている 等々 (IPCC webサイトより) 信頼性の差は明らか (「賛否両論」などと、同列に並べるのは不適切) 21
  22. 22. 科学的な議論をボクシングに例えると… Journal of ○○○ (論文誌=リング) 科学者は論文で主張を戦わせる。 (学会等での議論は限定的、記録にも残りにくい) ボクサー = 主張(研究者、ではない) パンチ = 論文 対戦記録 = サイテーションインデックス リングの“知名度” = インパクトファクターやH5 Index (世界の科学者にどれだけ引用されてるか) 一方、ニセ科学では… ・そもそも論文を出してない = リングに上がってない ・他のより信頼性の高い論文で否定されている = 「負けて」いる ・インパクタファクターも付かないような論文誌、分野違いの論文誌等 = シャドーボクシング(直接対戦してない) ・一般向け書籍、ブログ、動画等だけ = 観客を扇動して、相手ボクサーをリンチにかけようとしている? ©Keiichiro Sakurai (AIST) 2021.1.7 CC-BY 4.0
  23. 23. 予想される影響の例 ・降水パターンの変化、気温の変化 既に影響は顕在化し始めている(AR5)。 →水資源、生態系への影響、食糧生産減少 →異常高温増加 →砂漠拡大、洪水・渇水被害増大、難民増加、戦争誘発(実例:シリア) ・海面上昇 既に第二次産業革命(~1900年)以降、 約20cm上昇。さらに上昇へ →浸水・水没被害 →数億人の移住が必要に?(AR5) 留意点:今世紀中の海面上昇量として“80cm”“1.1m”等の値が報道されるが、 m単位になる可能性も報告あり。(例:doi:10.1038/climate.2010.29) ・平均気温2.5℃上昇でも世界経済の損失はGDPの0.2~2%にも(AR5) そもそも人類文明自体が危機(自動車なんて造れなくなるかも?) →温暖化ガス排出を抑えるのにお金をかけた方が経済的 image: Brian Birke 23 (IPCC AR5)
  24. 24. どのぐらい切羽詰まっているか Emissions Gap Report 2019 日本語要約より この程度の削減では、取り返しの つかない事態を防げないかも (「ティッピングポイント」を 連鎖的に超えてしまうリスク) これ位ならそれなりに被害を 抑えられるかも (それでもある程度は発生) もう排出削減は待ったなし → 関連する規制に文句を付け難い
  25. 25. 自動車製造時の排出源 + - + - + - 原料採掘 精製・輸送 製造 CO2 CO2 CO2 発電(火力) CO2 燃料採掘 精製・輸送 原料採掘~製造等 電力 CO2 発電(再エネ等;低炭素) エンジン車: 製造時排出量:小 EV: 製造時排出量:中 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  26. 26. 走行に伴う排出 燃料採掘 精製・輸送 CO2 CO2 化石燃料エンジン車 発電(火力) CO2 原料採掘~製造等 CO2 Well-to-Tank (WtT;油井からタンクまで) Tank-to-Wheel (TtW;タンクから車輪まで) CO2 EV Well-to-Wheel (WtW) (燃料を燃やしながら走る) (電気で走る) 発電(再エネ等;低炭素) エンジン車: 走行時排出量:大 EV: 走行による排出量:電力次第 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  27. 27. 化石燃料車とEVの排出量比較(イメージ) CO2排出量 時間、走行距離 製造等 走行 化石燃料車 EV(石炭火力主体) EV(平均的な電力) EV(脱炭素電源のみ) (バッテリー等の製造のため、車体製造時の排出量はEVの方が多め) (走行に伴う排出は概してEVの方が少ない) 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  28. 28. 「排出量削減にならない」主張の欠陥例 マツダ:「EVと、内燃機関車のCO2排出量はほぼ同じに」 • 10年(以上)前のデータの利用 • バッテリ製造の排出量(177kg-CO2/kWh)が現在の水準(52~65kg等)の数倍 • 最新技術よりも短いバッテリ寿命の想定 (論文自体に断り書きあり(DOI:10.3390/su11092690) ) VW:「中国等ではEVの方がディーゼルより排出量が多い」 • 内燃機関車の走行時排出量を3割以上少なく見積もり • 燃料製造・輸送の排出量を5割以上少なく見積もり • 車体製造等の見積もり条件も不明 https://twitter.com/ThomasGibon/status/1335178227950686208 ADAC:「EVとディーゼルの排出量がほぼ同じ」 • バッテリ製造時の排出量を実際より3倍多く見積もり • 電力の排出原単位を見込みより2倍ぐらい多く見積もり • 内燃機関車の排出量を現実より25-60%少なく見積もり • 古すぎたり、根拠が不明な数値を利用 https://innovationorigins.com/tomorrow-is-why-german-automobile-club-study-is-the-anti-electric-lobby-at-its-finest/ Clarendon Communications (Aston Martinによるペーパーカンパニー; "AstonGate"): 「EVは約8万キロ走らないと排出量削減にならない」 • 内燃機関車の走行時排出量を実際より3割以上低く設定する一方、EV用の電力では5割以上高く設定 • 同じメーカーの同様の車体のはずなのにEVだけ中国製の想定(?) https://togetter.com/li/1629297 「電力需要が増えた分は全部火力発電になるから削減にならない」(SNS等) • 平均的な火力だけで走ったとしても、HVと同程度。他の電源が混じっていれば削減になる • そもそも、低炭素電源の割合を増やす政策とセットで普及させることが前提 • 蓄電能力で火力の調整力に頼る割合を減らし、再エネや原発を使いやすくする→電力の脱炭素化を促進する ディーゼル(VW発表値) ディーゼル(左記反映後) EV
  29. 29. 職場で充電できると… カリフォルニアにおける1~6月時間帯別電力価格 安い時間帯に充電 太陽光発電が 安い時に充電 (職場) 帰宅後、電力価格が 高い時にV2Hで使用 職場に普通充電器を配備すると • ユーザーは安価な電力を利用できる • 職場側は従業員の福利厚生の一環や非常時の電源にも利用可能 電力販売・蓄電資源提供で多少の収入も? • 電力系統全体では安価な蓄電資源としての利用機会が拡大
  30. 30. 価格(円/kWh) 0:00 2:00 4:00 6:00 8:00 10:00 12:00 14:00 16:00 18:00 20:00 22:00 24:00 0 2 4 6 8 10 時刻 (JEPX スポット市場システムプライス, 2020/2/23) (太陽光の電力が 余っている) (日没後に需要増大) 日本でも既に発生 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0 出力抑制も既に発生中 例:九州における再エネの出力抑制率:4.0%(2019年度) →これを減らせれば、再エネ発電所もその分だけ経営に余裕→普及促進&コスト低減余地
  31. 31. 電力の脱炭素化とEVの役割 電力 0 12 24 電力需要 時刻 火力発電 原子力等 水力 電力 0 12 24 時刻 太陽光 風力 電力 0 12 24 時刻 余る分は捨てる (出力抑制) 電力 0 12 24 時刻 EVの蓄電能力で 有効活用可能に →普及促進 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  32. 32. EV普及等の電化が排出量削減で果たす役割 運輸部門や熱部門の電化を進めることで、太陽光や風力による 排出量削減の余地も増大する 2020.12.7 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  33. 33. Q: BEVが普及したら電力が不足する? • 自家用乗用車6千万台で電力需要の1割少々 (自家用(旅客・貨物)自動車走行キロ6500億km / (電費6km/kWh) = 約1100億kWh = 110TWh) →需要は増えるが、対処可能な水準(今すぐ新車400万台全てをEV化しても、15年以上時間がある) (人口減少が見込まれる日本ではむしろ都合が良いかも?) • 皆が一斉に夕方に急速充電を始めたりするとまずい →自宅で夜間に充電(基礎充電)が基本 残量から逆算して夜中に充電開始、朝の指定時刻に満充電、等 デマンドレスポンス(DR)への対応を義務づけても良いかも →急速充電主体だと需要が特定時間に集中。日常ユースでは急速充電は補完的な存在。 自宅充電ならスタンドに行かずに済むので、EVが最も便利になる • むしろ柔軟性資源として系統の需給調整に貢献できる 系統から見れば「バッテリーのコストを考慮しなくて良い蓄電資源」 (余力を集めるコストのみ)。 再エネでも原発でも火力ほどの柔軟性は無いため、使わない手はない。 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0 電力の需要量自体は問題ではない。 充電のタイミングや電力需給調整への貢献等、政策的な調整・誘導が大事
  34. 34. EVの蓄電資源量 仮定: ・日本の全乗用車(6千万台)が平均50kWhのバッテリを積んだEVになる ・系統に対して一台あたり3kW迄の入出力を提供 バッテリ容量:3TWh 日本の丸一日分の電力需要に相当 入出力能力:180GW 日本の過去最大の瞬間的な電力需要の記録に相当 このごく一部だけでも、巨大な柔軟性資源となる(加えて、商用車のバッテリもある) (しかも系統側から見れば、バッテリのコストを考慮しなくていい。集めるコストのみ) EVで使用した後のバッテリは定置型蓄電池でリユース可能 →将来は安い中古バッテリが大量に利用可能に? 限界:長い周期(たとえば1週間以上)の需給調整には向かない 季節間変動のような長周期の需給調整にはフローバッテリや power-to-X(水素やe-fuel含む)のような技術が必要? 不確実性:将来は自動運転やシェアリングの普及で台数が減り、充電器に繋がっている割合 も低下するかも 2021.1.22 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  35. 35. Q:集合住宅だと充電器が設置できない? A: 設置できる。手続きが大変。 https://www.shinmaywa.co.jp/parking/products/p roducts_er_7.html 管理組合での合意等が手間取りやすい。行政の支援が有効。導入支援専門企業もある。 充電器付きの機械式駐車場(左) パレット上の専用コンセント(右) (写真提供:ユアスタンド(株))
  36. 36. Q:無線充電って使えるの? (NJo@Wikipedia; CC BY-SA 3.0) 整流器 + - 電源 送受電コイル https://www.daihen.co.jp/products/wireless/ev/ 無線充電の規格も策定 (SAE J2954、SAE J2847/6) ・3.7~11kW、効率94%(系統からバッテリー迄で) ・地上高100~250mmまで対応 ・誤差縦方向±75mm、横方向±100mmまで許容 ・位置合わせ情報を車内で表示可能 研究レベルではさらに高出力・高効率なものも。 ・営業車両 ・シェアリング ・自動運転 等に向いている。 非接触でもエネルギーを補充 できるのはEVの特長。 有線接続並の高効率が可能。
  37. 37. 充電速度選択の基本 経路充電 (幹線道路) 機会充電 (集客施設等) 基礎充電 (自宅・職場等) 高速道路のSA/PA、道の駅等 停車時間:30分以下 数百km走行分/時以上のペースで充電(100kW~) ホテル、レストラン、ショッピングセンター、 ビジネスセンター等 停車時間:1~数時間 ~50km走行分/時のペースで充電(数kW~100kW) 戸建てや集合住宅、貸し駐車場、 オフィスビル等 停車時間:6時間以上 ~数十km走行分/時のペースで充電 (数kW~20kW) ・基本は自宅や職場での基礎充電 ・様々な駐車場に併設 ・停車時間に応じて充電速度を加減 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  38. 38. 公衆充電器に求められる機能 ・充電器の稼働状態、使用可否の情報提供 ・電力消費量の管理 ・利用統計データの収集 ・複数台のEVへの電力振り分け ・ユーザーの識別と料金請求 ・複数サービス間でのローミング ・地図への追加 ・ルートプランニングアプリとの連携 ・充電予約機能 ・電力需給(価格)に応じた充電速度調整 ・蓄電池の活用(受電電力平準化&非常時利用) 等々 単純に充電器を設置するだけでなく、様々なサービスとの連携まで考慮 (Kowloonese@Wikipedia, CC BY-SA 3.0 ) + - + - + - Felix Kramer, CC BY-SA 2.0
  39. 39. 蓄電池併設の急速充電器の可能性 普段は契約電力引き下げや安価な電力の利用、非常時は併設施設や緊急車両へ給電 + - + - + - 電力 0 12 24 幹線道路沿いの 充電器の電力需要 (イメージ) 時刻 電力 0 12 24 蓄電池利用時 時刻 (契約電力 引き下げ) 非常時 安価な電力の利用 蓄電池(大容量) □○コンビニ 2021.1.24 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  40. 40. Q: 感電しない?燃えない? • EVのバッテリーは強固なケースで保護 • 異常時は内部(コンタクタ)で出力を遮断(法的義務あり) • リーフも水深80cmでテスト済み (注:危険が無くとも事後に修理やメンテナンスが必要になったりするので、水没は避けるべき) • 感電の危険性はHVと同様(日常的に気遣う心配はない) ただし物理的に大きく変形するなどした場合は危険な場合もあり得る • エンジン車やHV同様、電極剥き出しの12V鉛蓄電池がショートして発火することが ある。 • 製造不良等でリチウムイオン電池が発火するケースもある。 • 米国NHTSAによる報告では発火事故の危険性はガソリン車以下との評価。 https://www.nhtsa.gov/sites/nhtsa.dot.gov/files/documents/12848-lithiumionsafetyhybrids_101217-v3-tag.pdf 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  41. 41. Q:EVが雪で閉じ込められたら? 日頃の備え(多くは全ての車に共通): • 毛布/保温シート/寝袋 • 防寒具 • 使い捨てカイロ • スコップ、スノーブラシ、スクレーパー • 長靴/スノーブーツ/手袋 • 飲料、食糧、常備薬 • 簡易トイレ、尿漏れパッド、オムツ • 防臭ゴミ袋、ティッシュ類 • タイマー/目覚まし • 赤色灯付きランタン/ヘッドライト、予備電池 • 100V充電ケーブル&延長ケーブル 電流が制限できる製品が便利かも (車両側で設定できない場合) • 厚紙、マジック(窓にメッセージを出す) • 雪が予想されているなら充電(燃料)を常に 多めに保つ • 大雪の予報ならそもそも外出を控える さらに備えるなら: • ホイッスル(転落時等への備え) • 携帯ラジオ/テレビ(ナビの節電) • モバイルバッテリー • ジャンプスターター • ポータブルバッテリー+電気毛布/電熱ベスト • 断熱機能付き窓シェード(車中泊の多い方) A: シートヒーターを活用すると、長時間持つ。(一部PHV,HV等も共通) いざ閉じ込められたら: • 電装品の節電(ナビの電源オフ、照明オフ) • 電熱式の暖房は消費電力が大きいので避ける (例えば3kWぐらい消費する) • ヒートポンプ式の暖房は例えば1kWぐらいなので ガソリン車のアイドリングと同程度の時間持つかも (性能次第)。でも使用は最小限に。 • 主にシートヒーターで暖を取る。 消費電力は例えば平均50~200W/席なので、 他の電装品の消費が少なければ数日以上持つかも。 (熱をなるべく逃がさないよう、毛布等が重要) • 車の電源は切らない(12Vバッテリーあがりを防ぐ) • 自分の吐息での窒息に注意。時々換気。 (自車排ガスによる中毒の心配は無いが) • 空調を使用するなら、吸気口の積雪を時々払う。 (タイマーを使う) (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.4)
  42. 42. Q:電欠車両の救助方法? A: レッカー、もしくは最寄りの充電器までの走行分を充電。 • 電欠になったEVは基本的に牽引不可 (ちょっと横へどける程度ならOK) → 1台2台ならば充電器までレッカーするのが速い • 高速道路上ならば数分間充電すれば、最寄りのSA/PAまで到達できる →発電機と充電器を持って行って充電 救援用トラック(10t程度?) 発電機 100~200kW (将来はe-fuelの発電機に?) 中速充電器(30kW程度、複数) 予備ケーブル ケーブルは取り回し優先、容 量20-30kW程度。ヒーター内蔵 (救援対象車両) 最寄りの 充電器へ 自走 バッテリーが冷えていると充電速 度も落ちるが、30kWでも6分間の 充電で15km走行可能になる →最寄りの充電器まで自走 3台同時に充電ならば2分/台、 6台同時充電なら1分/台で救出可能 (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.24)
  43. 43. Q:豪雪地での充電設備設計?(私案) 普通充電コンセント(200V) カバーをつける? こういう通常タイプだと ケーブルを挿したまま 凍る可能性。 ケーブルごとカバーできる タイプを使うか、 コンセントを雪除け カバーで覆う。 適宜、鍵付きのものを ケーブルを地面に置くと凍り付く可能性(充電中だけ暖まる) ケーブル掛け(樹脂製?)で地面に置かずに済むようにすると良いかも (ケーブル掛けはヒーター内蔵?) 充電器やコンセントは シャッター付きの小屋等に入れるか、 せめて屋根を掛けた方が良い
  44. 44. 豪雪地・寒冷地対策で現在のEVに足りないもの 気象条件によってコネクターやケーブルが凍り付くことあり。 カバー等の対策は可能だが、手間が増える。 充電ポートやケーブルにヒーターによる凍結防止or解凍機能があると良い? (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.4)
  45. 45. 住宅の脱炭素化との関係 現在の日本の住宅: 7割が無断熱、又はほぼ無断熱 →局所暖房・冷房が中心 石油ストーブ等、化石燃料も暖房に使用 災害などで長期間停電した際 寒冷時:燃料の備蓄があれば耐えやすい 猛暑時:どうしようもない 少々の電力ではエアコンも追いつかない これからの日本の住宅: 高断熱化&暖房もエアコンで(寒冷地・豪雪地でも) →部屋全体、もしくは家全体の冷暖房が当たり前に 災害などで長期間停電した際 家自体の断熱性能で暑さ・寒さを緩和 比較的少ない電力でエアコンを動かせる→EV(一部PHV、HV等も)からの給電が有効 猛暑日が増加している (都市化の影響が少ない地点でも) 出典:気候変動監視レポート2017 住宅の脱炭素化(電化)に際して、EVは非常時のバックアップになる エアコン 冷
  46. 46. これからの住宅の設計指針 (1) 断熱性・耐震性の確保 断熱が悪いと幾ら電力があっても足りない。地震で壊れたら元も子もない HEAT20 G1以上、耐震等級3以上を推奨 (2) EV充電コンセントもしくは充電器の設置 (3) EV等からの給電用設備(あるいは配管だけでも)設置(200V 30A以上を想定) (4) 化石燃料暖房からエアコンやエコキュートへ (5) EV導入 (6) それでも余裕があれば太陽光発電や定置型蓄電池 住宅の脱炭素化(電化)に際して、EVは非常時のバックアップになる 家の外から給電できる配線、もしくはV2Hシステム (200V30A以上に対応した配管だけでも 設けておくと良い) EV,PHV,HV,FCV,発電機等 + - (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.24)
  47. 47. 災害時にも有効 災害時における電動車の活用促進マニュアル (経産省・国交省・CEVS)より ・避難所等へ給電可能 (巨大モバイルバッテリー) ・太陽光発電からも充電可能
  48. 48. 日本車のV2X対応の課題 日本車の規格 (Chademo / Chaoji) 将来の可能性 (テスラは既に想定?) バッテリー インバーター インバーター EV V2Hシステム (数十万円) バッテリー インバーター V2H用インバーター (出力数kW) 車載インバーター (出力数十kW~数百kW) 日本の充電規格はテスラに遅れを取っているかも? (V2Hまで考えると、数十万円の価格差に相当?) 自動車がHEMSやスマートメーターと通信する事になるかも? 直結? 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  49. 49. https://insideevs.com/news/433930 /patents-reveal-affordable-dacia- spring/ https://insideevs.com/news/435676/vw-id1-e- up-ev-replacement-2025/amp/ Dacia Spring 1.8万ユーロ、2021年? VW ID.1 2万ユーロ程度、2025年? 安価なEVも出てきている SAIC Hongguang MINI EV 約45~60万円、9.6kWh/13.9kWh 目下中国で大ヒット中 https://blog.evsmart.net/ev-news/wuling-hongguang-mini-ev-china/
  50. 50. 途上国・新興国におけるEV普及の意味と方策 普及は必然 ・気候変動対策上、不可避 ・化石燃料輸入コスト削減、大気汚染抑制の観点からも求められる ・PVがあればエネルギー供給体制が不安定な地域でも利用できる 対応も必然 ・これから最も伸びる市場 課題 ・現時点では車両価格が高め →既に安価なものの販売が始まっている ・充電インフラの整備 →車載PVや、外部PVによる充電が役立つ Recommendation(私見) ・先に二輪・三輪のEV普及を進める ・充電インフラの整備を支援 ・外部PVによる充電にも対応しておく? https://www.nrel.gov/usaid-partnership/energy-goals-india.html
  51. 51. EV化が遅れそう/読みにくいセグメント ・軽自動車 車体が小さいので、バッテリー搭載スペースも小さい 近距離用なら良いが、長距離も乗る用途にはバッテリの性能向上が必要 充電レート向上→休憩をやや小まめに取れば長距離移動可能に エネルギー密度向上→無充電で長距離を移動する需要もカバー可能に →まだ時間かかる(BNEFは2030年ぐらいに置き換え可能になると予測)。 ・長距離バス・トラック BEVとFCVのどちらが有利か、まだハッキリしない(どっちも出来そうではある) インフラ整備的には早く決着付けて欲しいところかも (注:路線バスはむしろBEV化(&FCV化?)が速いセグメント) ・重機、農機 小型機ならまだしも、大型になるほどバッテリー容量が必要 → 重量・価格? 大型機では大幅なバッテリー性能向上が必要? 充電設備へのアクセスや充電器の出力(送電線容量等)に難がある可能性 e-fuelや水素の方が良い? 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  52. 52. 産業への影響 影響は避けられない。 ドイツではEVシフトで数十万人の雇用に影響との 予測も(対策が不十分ならば) →当のドイツ自動車産業協会(VDA)は 「非現実的で極端なシナリオ」と一蹴 ・ドイツ、あるいは欧州全体でも域内での生産や 技術開発に大規模投資、次々に工場も立地 ・VWは社運を賭ける規模で取り組み ・バッテリ調達に大規模投資 ・工場を丸ごとEV専用にして組み立てコスト削減 ・車載ソフトも丸ごと造り直し (そのせいで出荷が遅れても遂行) ・GM、Ford等も含め既存メーカーも発売・発表 不可避ならば、早めの着手が良いのでは? (普及のペース自体はサジ加減が大事だが)
  53. 53. 主な普及予測・シナリオの例 2030年時点で2割前後? (2020年11月時点で4%超) 2050年カーボンニュートラルを目指す国が増えており、上振れの可能性 (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.24)
  54. 54. EVの特徴 (主にBEV、一部はPHVも) 利点 ・素早くスムーズな反応で運転しやすい。 ・加速が良い(合流・右折等がラク)。 ・静か。エンジンの振動が無い(→疲れにくい?) ・ワンペダル運転可能。 ・モーターの反応が速いので姿勢制御や自動運転との相性が良い。(特に将来、インホイールモーターになると効く?) ・排ガス臭くない(たとえ火力発電の電力でも省エネになり、発電所でより高度な排ガス処理も可能。健康被害を抑制できる)。 ・重心が低くて乗り心地が良い。 ・メンテナンスの手間が少ない(オイルやプラグの交換なし、ブレーキパッドも減りにくい等)。 ・一般的に走行コストが安い。 ・現時点でも総保有コスト節減が可能(既に営業車両での大量採用例多数)。 ・暖房がすぐに入る(エンジンが暖まるまで待たなくて良い)。 ・排出量削減になる。 ・新たな柔軟性資源として、火力発電の削減を助ける(系統にとって、余力を集めるコストだけで利用できる蓄電資源)。 ・自宅や職場で充電できるなら、ガソリンスタンドに寄る手間が無くせる。無線給電も可能。 ・ガソリンスタンドに比べ、充電器の設置場所や管理の制約が少ない(店舗等の駐車場に併設。機械式も可能)。 ・ガソリンのインフラを省略し、電力に一本化できる(過疎地・離島等)。 ・災害時に巨大モバイルバッテリーとして活躍(対応機器があれば、洗濯機やエアコンも動かせる。太陽光発電からも充電可)。 ・エネルギー供給が不安定な地域でも使える(設計次第で太陽電池でも充電可能)。 欠点 ・現時点ではまだ車両価格がお高め(2022~2030年ぐらいの間に順次、内燃機関車より安価に?(BNEF等))。 ・現時点では充電インフラが不足しがち(充電速度、充電器数、集合住宅・職場等;各国で整備中)。 ・休憩なしで一気に長距離移動するような用途だと厳しくなる(交代しながら一気に1000km等)。 ・車両重量が重くなる(でもHVもそれなりに重い)。 うかつに批判するとマズいのでご注意 ・「航続距離が…」「充電時間が…」→ 充電速度次第。昨今の技術なら、平均的な休憩時間中の充電で長距離移動可。 ・「寒いところでは…」→ ノルウェーでも売れてます。バッテリーの温度管理次第。冷えた状態からの起動にはむしろ強い。 ・「バッテリーの劣化が…」→ 初代リーフ等は早かったが、テスラ(パナ)だと数十万km持つ。 ・「排出量削減に…」→ 昨今の技術なら、世界の95%の地域で削減になる。現状の日本でも。古いデータやデマにご注意。 ・「電力需要が…」→ 全乗用車6千万台置き換えても国の電力需要の1割ぐらい。量より充電タイミングの調整だいじ。 ・「水没したら…」→ HV同様、エンジン車と安全性は同等。どの車も、昔ながらの電極剥き出しな12V鉛蓄電池がショートしやすい。 (CC-BY 4.0 K.Sakurai (AIST) 2021.1.24)
  55. 55. 日本の課題 (商売ネタ?) ・充電インフラの整備 ・コンセントや準備工事の義務化(配管等は200V 30A以上を想定) ・集合住宅や賃貸駐車場(機械式駐車場含む)への充電設備普及 ・職場や集客施設への充電器普及 ・幹線道路沿いへの超急速充電器の整備(送電網含む;一部は特高受電に) 例えば、毎年1~数千億円を10~20年かける話に? 参考:イギリスは今年から5億ポンド投入予定。 ・充電器の情報化 ・繋ぐだけで支払いまで全自動に(テスラはそうなっている) ・混雑状況等をリアルタイムで見られるように ・柔軟性資源としての活用 ・Vehicle-to-X の普及(昼に職場で充電→帰宅後に自宅で使用、災害時対応等) ・利用形態の変化への対応 ・シェアリング、自動運転の普及に対応(おそらく都市の構造も変わる) ・産業構造の変化への対応(変化を助け、痛みを緩和) ・エネルギー需給構造の変化まで含めた総合的な対応(自動車産業だけで考えない) 電力、情報通信、交通、都市設計、化学、製鉄… → 普及が遅れると、関連産業全体で出遅れる? 2021.1.16 K.Sakurai (AIST) CC-BY 4.0
  56. 56. まとめ ・BEVは安くなる、最も便利になる、クルマとして運転しやすい。普及は必然。 安くなって充電インフラが整うと売れることは、既にノルウェー、オランダ等で実証。 ・気候変動対策からも、普及は不可避。 CO2なんか気にせずに暮らせるようにするための要。 ・普及しない、という主張は既に現実で否定されつつある。 ・FCVよりも便利、かつ効率も良い。一部用途を除き、BEVが主流になると見られる。 (長距離輸送等ではFCVが使われるかも。コスト面の不利をどこまでカバーできるか?) ・おそらく中国等との競争で価格が下がり、車両の販売自体では儲けにくくなる? 安くなったものを利用する側のビジネスの比重が増すのではないか。 ・大きな蓄電資源として電力の脱炭素化や電力価格の安定化に寄与できる。 →EVを持たない家庭や、広く他の産業にも貢献できる
  57. 57. 解説記事 前編:https://energy-shift.com/news/41ea0992-1f9e-49ee-a138-0dc3c058c5f6 後編:https://energy-shift.com/news/47f78e8e-506c-4741-925b-d0d8b692a0a9

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