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昔も今も「世論工作」はわが国お馴染みの手口 プロパガンダが招いた日本の惨状を見よ(適菜収/作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2022年12月17日 9時26分

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AIで国民心理をコントロール(防衛省)/(C)日刊ゲンダイ

【適菜収「それでもバカとは戦え」】#196

 共同通信の記事によると、防衛省は人工知能(AI)技術を使い、交流サイト(SNS)で国内世論を誘導する工作の研究に着手したとのこと。複数の政府関係者への取材で判明したという。

 インターネットで影響力がある「インフルエンサー」が、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭するのが目的だという。

 こうした報道に対し、防衛省は「全くの事実誤認であり、防衛省として、国内世論を特定の方向に誘導することを目的とした取り組みを行うことはありえない」と否定したが、そりゃそうだよね。

「これから国民の洗脳工作を行います」などと言うわけがない。防衛省は「情報戦対応」も含めた体制整備を実施するとも述べていたので、これまでやってきた世論工作に積極的にAIの技術を活用するということだろう。

 例によってネトウヨ「論壇人」の類いが、この先、小遣いをもらえるとでも思っているのか、「共同通信による世論誘導だ」などと騒いでいたが、バカのふりをしているのか本物のバカなのか。

 わが国において世論工作が続けられているのは公然の事実である。元官房長官の野中広務は、官房機密費を使って政治評論家やジャーナリストにカネを配っていたことを証言している。

「インフルエンサー」に世論誘導させるのもお馴染みの手口。これを露骨な形でやり始めたのが小泉純一郎政権だった。2005年のいわゆる郵政選挙の際、自民党と内閣府が広告会社につくらせた企画書には竹中平蔵と著名人を対談させることにより世論を誘導する戦略が描かれている。

 そして実際、竹中とタレントのテリー伊藤による政府広報「郵政民営化ってそうだったんだ通信」が新聞折り込みチラシとして全国に撒かれた。

 防衛予算の大幅増額のためにユーチューバーらに「厳しい安全保障環境」について説明させる計画の件では、防衛相(当時)の岸信夫が「インフルエンサーと呼ばれる方々に、まず理解をしていただけるような説明を行うことは重要だ」と述べ、計画の存在を事実上認めている。

 プロパガンダによりバカを洗脳し動員する悪質な連中が権力を握った結果が今の日本の惨状である。

(適菜収/作家)

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