1.消耗激しいロシア軍の戦車・装甲車

 ロシア軍は、侵攻当初には月に500両を超える戦車の損失を出した。

 その後は、再編成後の攻撃、東部南部での一進一退の戦闘、ハルキウ~イジュームでの撤退、へルソンでの撤退の攻防があり、200~400両の損失を出している。

 合計2900両の損失だ。

 その損耗は、投入数(充足数の90%、筆者算定)約7900両の37%を占めている。

 装甲車は、約5800の損失であり、投入数8400両の約70%だ。

 ロシア地上軍の戦車の損失は月間約300両、装甲車の損失は月間650両の損失が継続的に出ている。

侵攻後、戦車の月毎の損失数

出典:ウクライナ軍参謀部発表資料より筆者がグラフ化したもの(以下同)

侵攻後、装甲車の月毎の損失数

(図が正しく表示されない場合にはオリジナルサイト=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73107でお読みください)

 現場の戦車や装甲車化の部隊長としては(部隊長は死傷していなくなり代理の部隊長かもしれないが)、半数の兵器が破壊され、兵員の半数が死傷している場面を見ている。

 ドローンの映像を見れば、ゲーム感覚かもしれないが、現場の部隊長や兵士たちにとっては、悲惨で壮絶な状況であろう。

 今後の戦車兵の戦いはどうなるのか。

 大きな損失が出ても、戦いを強要される部隊長や兵士たちは、壕の中に入り、防御をするようになる。とても、攻勢に出ることはできない。