光丸山法輪寺で3年ぶりの大祭 神仏混交の名残とどめる祭りが復活

小野智美
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 栃木県大田原市の古刹(こさつ)・光丸山法輪寺で、コロナ禍の中断を経て3年ぶりに大祭が開かれた。神仏混交の名残をとどめる珍しい祭りが復活した。

 11日午後1時半。本堂に若水厚淳副住職(40)の太い声が響いた。

 「大般若転読(だいはんにゃてんどく)」の法要が始まった。副住職の左右に座る僧侶たちが、声に合わせて経本をパラパラパラとめくり、風を起こす。「その風を浴びると疫病退散になるのです」と若水副住職。

 人々が真剣な表情で「風」に見入っている間、江戸時代に作られたとされるおみこしに仏様を呼び寄せるという。その後、集落を練り歩いた。

 佐良土地区は五つの集落があり、順に大祭の当番を務める。今年の当番集落は田宿。ホラ貝を吹きながら先頭を歩いた会社員の佐藤克行さん(57)は「本番にむけて、トランペットのマウスピースで練習しました」。

 檀家(だんか)の生田目隆さん(72)の子どものころ、大祭にはサーカスが来て露店も並び、人波で歩けないほどだった。往年のにぎわいはなくなったが、生田目さんは笑顔だった。「祭りで仲間意識が育める。開催できてほっとしました」(小野智美)