「公開法廷で録音」弁護士の半数以上が好意的、アンケートで見えた裁判制度の欠陥
弁護士ドットコムニュース / 2022年12月14日 11時10分
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海外にはアメリカのように裁判の模様が中継されたり、ウェブで配信されたりする国がある。一方、日本では裁判の録音・録画は原則認められていない。誰でも傍聴できる公開法廷であっても、裁判所の許可が必要だ。公開範囲が狭い分、プライバシーが守られている面もあるが、こうした決まりに疑問を抱く弁護士も一定数いる。
弁護士ドットコムが今年11月、会員弁護士を対象に公開法廷での録音の是非を尋ねたところ、およそ6割の弁護士が「認めても良い」と回答した。
アンケート後の12月には、大阪地裁に係属する刑事事件で、公判の録音を求めて譲らなかった国選弁護人が裁判所から解任される出来事もあった。なぜ録音にこだわる弁護士がいるのか。アンケート結果からは裁判制度の欠陥が垣間見える。
●賛成と反対は「6:4」アンケートは11月8日〜14日に実施した。企画のきっかけは、10月にあった国の指定代理人による弁論準備手続の無断録音。非公開の手続きであることに加え、相手方と裁判所との個別聴取を「盗聴」したことが問題視された。では、公開法廷だったらどうかという趣旨だ。
アンケートの結果、回答者は66人と多くはないものの、録音を認めても良いとした弁護士は59.1%だった。ただし、その中でも録音を許可する範囲についてはグラデーションがあった。
内訳は範囲が狭い順に、当事者や代理人に限って認めるべき(31.8%)、メディア関係者も許可して良い(9.1%)、傍聴人すべてに認めるべき(18.2%)だった。以下で各立場の意見を見ていきたい。
●録音なしだと「裁判所の責任逃れ」を許す「当事者や代理人に限って認めるべき」(31.8%)とした弁護士からは、流出のリスクはあるが、適正な訴訟活動のために録音が必要という意見が多く見られた。代表的な意見を2つ紹介する。
「録音を禁止することで、裁判官の不当な発言や訴訟指揮を立証することが困難になっている」
「調書が全てという前時代的な制度はやめるべきだが、ネットに流出するとプライバシー侵害につながる恐れがある。録音は当事者や代理人に限定し、かつ、流出させた場合の罰則を定めるべき」
法廷での証言などについては、裁判所に録音され、文字起こし(調書)がつくられるが、人の話し言葉は書き言葉のように整然とはしていない。テキスト化の過程で発言が丸められ、発言の意味やニュアンスが変わる可能性がある。
ところが、裁判所は一部の例外を除いて、録音データそのものは基本的に公開していない。裁判所以外にも録音が認められないと、調書の間違いや裁判官の非を指摘することが難しい。録音を求める声には、そうした実務的な理由が隠れているようだ。
●裁判の公開とプライバシーのバランス-
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