特殊詐欺の「受け子」とみられる男が逮捕された。タクシーを使って逃げる男。パトカーなど4台での執念の”追跡劇”となった。

”アポ電”で暗証番号、預金残高まで

自称・会社員の古田真伍容疑者(27)は、今月13日午前10時ごろ、東京・葛飾区に住む80代の夫婦の自宅の敷地に侵入した疑いが持たれている。逮捕容疑者は、住居侵入だ。

逮捕された吉田真伍容疑者(27)はスーツ姿だった。(13日 亀有署)
逮捕された吉田真伍容疑者(27)はスーツ姿だった。(13日 亀有署)
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捜査関係者によると、この日の午前9時ごろ、夫婦の自宅に、区役所の職員などを名乗る、いわゆる”アポ電”がかかってきたという。それに、すっかりだまされてしまった夫婦は、相手に、口座番号や暗証番号、預金残高を教えてしまったそうだ。

そして、電話口で、”郵便局の職員”が、受け取りに来ると伝えられたという。実は、夫婦宅周辺の別の家に、同じような、アポ電がかかっていたため、すでに捜査員らが、警戒を始めていたという。

夫婦宅でピンポンを鳴らす男

午前9時50分ごろ、スーツ姿の野崎容疑者が、夫婦宅の前に現れて、ピンポンを鳴らしたそうだ。捜査員が、それを見かけて、声をかける。ここは「刑事のカン」が働いたのだろう。すると野崎容疑者は狼狽し、「訪問先を間違えた」と言って、その場を立ち去ろうとしたそうだ。

捜査員が、パトカーに停車を求めた現場(東京・中央区)
捜査員が、パトカーに停車を求めた現場(東京・中央区)

いかし、この段階では、逮捕に踏み切ることはできなかった。野崎容疑者は、大通りに出て、タクシーに乗車。ここは逃がしてはいけないと、捜査員らは、追跡を開始した。「小菅」入口から首都高に乗るタクシー。パトカーなど4台が後を追った。

この間、警視庁亀有署では、夫婦に接触し、野崎容疑者と面識がないことを確認。住居侵入容疑を適用できると判断し、午前11時半ごろ、捜査員が、タクシーに停車を求めたという。

受け子か 他人名義のカード所持

すでに追跡開始から、およそ1時間が経過していた。タクシーは、葛飾区から遠く離れた中央区の日本橋付近まで到達していたという。

調べに対して吉田容疑者は「話したくない」と目hしている。
調べに対して吉田容疑者は「話したくない」と目hしている。

捜査員は、その場で、野崎容疑者を緊急逮捕。所持品検査をしたところ、他人名義のキャッシュカードを1枚持っていたという。

野崎容疑者は、ほぼ間違いなく、特殊詐欺グループの「受け子」役なのだろう。調べに対しては「話したくない」と黙秘しているという。亀有署は、余罪などを追及する方針だ。